悪役令嬢は、面倒事が大嫌い!

リカ

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目の見えない少女と従者

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マーレン伯爵家、リネン室________________________________

リネン室では、黙々とアリッサが作業していた。傍らには、飲みかけのコーヒーが置いてあり、休憩も兼ねつつという事なのだろうとジェシカは思う。そんなアリッサに声をかけた。



「すこし、お話を聞いてもいいかしら」


「ええ、勿論です。ジェシカ様」



そうニッコリ笑うと、アリッサはエプロンで手を拭きながら、ジェシカ達に近寄って行った。



「エレインの婚約者を貴方は見なかった?」



「はい、見ました。婚約者様がこの屋敷にいらっしゃった時ですかね。いつも通りやって来て、いつも通りのように過ごされていつも通りに過ごされました」

やはり気掛かりな部分があるのだろう、レイが積極的に質問をしていこうとする。



「いつも通り?」


「はい、いつも通りですわ。婚約者様はこの家を好きに歩くことができますから。」


「好きに歩くことができる?」


「ええ、子供の頃からの幼馴染という事で許されているのだとか。だから必ず、挨拶、手土産が必要なわけではないとの事でです」


「なるほどね」




「婚約者が来てからのアリッサの行動を聞いてもいい?」


「ええ。」


そこでアリッサは自分自身も疑われる対象になっていたということに気が付いたらしい。怪訝そうな目をしながら口を開こうとする。
ジェシカはそれでいいのだと思う。自分が疑われている対象だと気が付いた輩は、自分自身の保身のために、様々なことを話してくれるからだ。


「私はずっと、仕事をしてましたよ。メイドの仕事はいくら手があっても足りないぐらいですから。朝ここに来てから、玄関とホールの掃除をして、エレイン様の朝食を作って、洗濯をして、掃除をして。そんな感じかしら。時間なんて見る暇もないから、ずっとそんな感じかしら。時々もう一人のメイド、メアリーにも指示したりね。あの子新人だから一緒には仕事はしないのよ。」


「メアリーにはどんな指示をしていたの」


「あそこの掃除をしていてとか、花瓶の水を変えてとか。まあ新人でも任せられそうなことばかりよ」



それぞれで仕事を別々にしていたというわけだ。エレイン以外の家族はいない状態で使用人が少ない状況だ、それに対しての不自然さはない。だからこそだ、使用人が殺人を行った可能性が高い。ただ、とジェシカは思う。殺人の行われたタイミングすら予想できないのに、どうやって犯人が見つけられるのかと、一番の疑問は婚約者が殺された時間なのだ。

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