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あくる日の悪役様
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しおりを挟む少し冷たい柔らかな指が首に触れた。ドキリと胸が踊る。単純に恐怖心と、捕まってしまったのだと、そういう諦めにもにた高揚感。
「あら、生きてるのね」
紛らわしいことはしないで
そんな落胆を見せる。可憐な人。きっと彼女の中では、俺は道端に転がっている死体だとおもっただろう。なぜ、君は生きるか死ぬか、そんな基準で動いているのか、僕には理解できない。
僕には理解出来なくても、理解ができたとしても、彼女はそういう世界で生きてきたのだろう。
「残念ながら、息はしてるよ」
そう言って、僕が起き上がると。
まあ、と口に指先をあて上品に微笑んだ。
彼女は公爵家の令嬢。なのにも関わらず、彼女と仲良く社交以上の関係を持とうとする人間はいない。
何故なら彼女は歩く天災であり、近くでウロウロしてしまったが最後、何かしらの不利益を被ることになるからだ。
「つまらないわね。」
彼女は自分の非凡さを憂ながらも、どこか常に特別な自身を高揚させる様ななにかを探している様だった。
つまらないことが続くことなど許さない。そんな言葉さえ吐いてしまえる、傲慢さを持っていた。
「死んでると思った?」
「だってここで寝てたんですもの。今まで誰も訪れなかったし。それに、最近学園では人が死んではいないから」
「僕も君と一緒にいたら、死んでしまうかな」
「さあ?悪運が強ければ生き残れるんじゃないかしら」
彼女は嘆息を吐くと、体を反転させて僕から離れた。そして、背面のベンチへ座った。
どうやら機嫌が悪いらしかった。
どうすれば、この子の機嫌を持ち直すことが出来るのだろう。
そんな、陳腐な始まりだった。
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