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はじまりの物語
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しおりを挟む『なぜ、あのマトモな人間達の中で、あんな間抜けが生まれたのかしら』
ジェシカはまだ全然マシと言える、3人の王子を思い浮かべながら吐き捨てた。
『否定出来ないよ』
ハッハッハと渇いた笑い声をたてた、目の前の男はレイフ・クラーク。学園の留学生だ。
隣国の隣国のそのまた隣国のお隣にある帝国から来た騎士団長の息子らしい。この国の平均身長をゆうに越し、服の上からでも分かる程に鍛えられた体躯に騎士と言われても納得するだろう。
ただ、ジェシカは気づいていた。
その身分が嘘である事を。何かと昔から、巻き込まれ体質なジェシカは聡いのだ。
面倒事は押し付けるなよーと念を送る。
『それで、ご要件は如何程な事でしょう。何かあっていらっしゃったんでしょう?』
『ああ、そうだね。要件を言わなければ』
彼は学園の制服から小さい箱を取り出した。
いや、勘弁してくれよ。
おお、神よ。
そなたはなぜ、私に味方してくれないのか。
そんなことをジェシカは思う。面倒事は本当に御免被りたい。
『王太子と別れた暁には、僕と結婚して欲しいんだ』
言っていることは、割と屑な発言。
開いた箱には、ラピスラズリがついた指輪が収まっていて。上品な雰囲気を醸し出し、かつ芸術品と呼ぶに値するそれは、質屋に持っていけば、すみませんお店にある金では、買う事ができない金額になりますと土下座を始めるような物だろう。
もはや国宝だ。多分調べたら間違いなく国宝だ。
『お断りすることは可能ですか?』
『不可能だよ』
にっこりと、笑っていうレイフ。
絶対この結婚は回避すべきだと、全身の危険信号が警戒度MAXにしてサイレンを鳴らす。
こいつと結婚した瞬間、私の人生は終わりを告げるだろう。王太子と結婚した以上の。
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レイフ・クラーク・マーティンソン
彼は神聖ダーツ帝国を築き上げたその人の一人息子であり、何かと噂の多い王子なのだ。
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