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 慌てて咳き込んでも、クスリはとっくに喉からなくなっている。やだ、やだ、やだ。こわい。
 クスリって何、どうなってしまうんだ。青ざめる僕をよそに、皐月は僕の口を再び塞ぎ、唇をこじ開けた。し、舌が、なかに入ってきた!
「おまえ、なに、竹松のクソビッチとベロチューしてないの? 慣れてなさすぎ」
「竹松さんとキスしてたってだけで許せないけど。この様子じゃセックスはまだみたいで安心したよ」
 勝手なことを言われて頬が熱くなる。彼女との話のなかで、ううん、彼女に限らず、友達とだってそんな会話、ほとんどしたことがない僕は、とっさに何も言えなかった。
 皐月の舌を押し返そうにも、舌同士が擦り合わさるたび絡め取られ、いいようにされていく。口の端からこぼれる唾液が頬や首筋に伝っていき、ベタベタで気持ち悪い。なのに、なぜか腰回りがムズムズしてしまう。激しいキスに息がうまく吸えない。皐月のタイミングで僕も空気を吸い込むのがやっと。苦しい、やめて。気持ちよくなんて……、なって、ない!
 グッと眉を寄せて、皐月を突っぱねる。すると、腕をまとめて頭上に留められてしまった。
 優士の手のひらが、自由をなくした僕の身体中を撫でていく。産毛に触れるかどうかの、かすかな感触がくすぐったくて、でも、なんの反応もするもんかと、お腹に力を込める。
「シロー、おまえ、声殺してんなよ」
 そのうち皐月が顔を上げて、むすっとした顔で言った。そして、口内に指を突っ込んで、無理やり口を開けさせる。
 横で僕の体をまさぐっていた優士が、まるで猫のお腹をくすぐるように指先でへその穴をほじくって―――
「ひはァっ!!」
 こらえていたぶん、その声は一層高く、その場に響いた。ヒュウ、と、皐月の口笛がかん高く空気を裂く。
「ちゃんと鳴けんじゃねえかよ」
「泣いて、ないよ……ッ!」
 眉をひそめて言葉を絞り出す僕を笑いながら、皐月が僕のアレを指ではじく。「ひっ!」それだけで僕のアレは刺激に震えた。無反応を貫きたいのに、そんなことで感じているなんて、許せないのに。
 身体をよじって拒絶の意思を示したけれど、今度は優士が膝をつかんで動きを封じる。
「シローは素直じゃないよね」
 腕も脚も固定された僕は、優士の口が僕のモノを飲み込むのを防げなかった。
「やだ、やめ、んッ」
「おーおー、感じてる」
 皐月に上から全部見られている。それに気づいた僕のアレは、さらに大きくなる。音を立てて先走りを吸われるたび、恥ずかしいのに、ダメだ、もっと先走りが出てしまう。
「あ、ん、ん、あ、優、しぃ」
「なあに? シロー」
「……⁉」
 ジュボジュボと唇で僕のそれをしごいていた優士が、呼びかけに顔をあげた。そしてわざとらしく、アレに息を吹きかけるように答える。
 優士の口の周りが、僕の透明な液でぬらりと光っていた。その光景に目をそむける。やだ、こんなの、変だ! 絶対、変だ!!
 寝ている最中にされるイタズラは、目を閉じればやり過ごせたのに。もう二人は、僕が見ないふりでいることを許すつもりはないみたいだ。
 視線を逸らした先には、ベッドに片膝をついて身を乗り出す皐月の腰。ボタンを緩めたジーンズのなかが大きくなっている。そこに無理やり手を持っていかれた。
「シローの喘いでるカッコ見て、こんなになってんだぜ?」
 ジーンズ越しでも熱くて、僕のものなんかとは比べものにならない質量。怖い。なんで、僕が、皐月の、友人のモノを触らないといけないの。
「他の誰でもねえ、おまえ相手だけだ。触られる前からこんなに勃起してるのなんて」
 普通友達相手にそんなことにならないよ。
「愛してる」
 聞きたくない。皐月、やめて。おかしいよ。友達じゃないか。拳を固く握りしめたままでいると、皐月の口元まで持っていかれ舐められた。ねっとりと、指のまたを味わうように。
「あ、シローのコレ、また先走りがいっぱい出たよ。ふふふ、指を舐められただけなのにね。エッチだ」
 間近で僕のアレを観察していた優士は、そう言って再び僕のモノをくわえた。その刺激が、さっきよりも強い。熱い。
「アッ、や、やめて、アッアッア!!」
 やめてと叫びながらも、腰が揺れ動いて、優士の口内を突いてしまう。嫌なのに、刺激にあらがえない。快感に背筋が震える。なんだこれ、なんで、イキたい、頭が、体が、熱い。イキたい。頭がぐちゃぐちゃだ。イキたい。
「やだやだやだ、怖い、やだ、やめて……!!」
 ギュッと目をつぶれば、目じりに水滴がたまっているのが分かった。その涙を、舐めとったのは皐月。
「やーっとクスリが効いてきたか?」
 笑みを含みながらそう言って、乳首に舌を寄せる。僕の顎の下でもぞもぞと茶髪が動く。髪の毛先が鎖骨に触れる刺激だけでもゾクッとする。体中がこんなに敏感になったことなんてない。これが、クスリの力?
「シローはただ気持ちよくなっていればいいんだよ」
「なんも考えんな」
「何も考えないでいられるわけない!」と叫びたかったけれど、僕の口からでたのは快感に流された喘ぎ声だけだった――。
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