sandwich

wait

　白黒だけどよくわかる、皐月と優士のベッドシーンや飲酒の写真。机の上に広げた週刊誌たちを挟んで、僕らは向かい合っていた。
　皐月と優士に会うのは二日ぶりだ。面と向かって話すのはもっと久しぶりで、どう切り出せばいいかわからない。
　そんな僕を、二人はどこか面白そうに眺めている。普段の二人なら、僕が何を言いたいか先回りして言葉にしてくれるから、こんなに言葉にしづらいことはなかった。
「ＵＯＨさん、まずはお二人を信じましょう！　ね？」
　そう励ましてくれた竹松さんの顔が浮かぶ。そうだ、この写真は何か事情があったんだ。きっと。
「えっと……さ、この写真のこと、なんだけど……」
　あんまり凝視もできなくて、ちょっとうつむいたまま雑誌を二人のほうに向ける。竹松さんと立てた作戦だと、二人の目をちゃんと見て、スッと話すはずだったんだけど……だめだ、気まずくて……。優士が雑誌の一冊を手にとって、ふーんとページをめくった。
「このアオリは確かに、ナカさんも怒るよね」
「シャチョーは面白がってたじゃねえか。だからお咎めなしなんだろ」
(そうなんだ……)
　お咎めなし、という言葉にホッとする。
　相変わらず二人が特に気構えた様子もなく話していることにちょっと違和感を覚えるけれど、今は無言になるよりいい。
「何か大変なことにならなくて、良かった」
「大変なことってなんだよ」
「わ、わからないけど……」
　ハハッと皐月に笑われる。そんな変なこと、言ったかな……？ 僕は本気だったんだけど、優士もクスクス笑ってる。
「シローは今でも僕らのこと心配してくれてるの？」
「あ、あた、当たり前だよっ……」
「優しいね」
　身を乗り出した優士に頬を触られた。ビクッと体を震わせると、その手は上に伸び、いつもの優しい笑顔のまま、髪を梳かれる。
「でも、大丈夫だよ」
「もう少しだから待ってろ」
　その微笑みに、何も言えなくなる。
(何が大丈夫なの？ この記事は結局、……嘘？ 本当？)
　全然わからないよ。だけど、度胸のない僕は、ただ小さく頷くことしかできなかった。