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「しょ、庄司先輩……あの、時間ありますか?!」
緊張して声が上ずってしまった。
帰り支度をしていた先輩は、驚いた顔で振り返る。
「おお、卯月。久しぶりだな」
「あの、僕、先輩のドラムにその、憧れてるので……! 教えてください、ドラム!!」
夏休み中。庄司先輩が夏期講習で学校に来てるという話を聞いてから、数日が経ったある日。僕は意を決して三年生の教室に向かった。
三年生たちはみんな大人っぽくて、僕が廊下に立ってるとすごく浮く。注目を浴びてる気がして急いで先輩のクラスに行き、そこで夏期講習は視聴覚室でやってると聞き、視聴覚室まで行き……なんとか先輩たちが帰る時間に間に合った!
「あの、勉強の邪魔をしてすみません、暇があったら、あの、今日じゃなくてもいいんですけども!」
今月頭に新バンド一回目の会議をして、オリジナル曲をやることになったんだけど、今の僕では圧倒的に技術が足りなくて。先輩が受験勉強で忙しいのは承知の上で、頼みに来てしまった。
「あー! へたっぴなのにゆちゆちとさきさきとバンド組むヤツだー!」
庄司先輩の横に立っていた美輪先輩が、僕を指差す。
「こないだとまたあだ名変わってんじゃねーか……、てンなことどーでもよくて。何失礼なこと言ってんだよ」
庄司先輩が大きな手のひらで美輪先輩を叩く。痛そう……。
へたっぴと面と向かって言われたら、多少はショックだけど、でも先輩たちからしたら当然その通りだから、叩くことはなかったように思う。
というか、美輪先輩が興味津々に僕のほうを見てくるから、緊張してソワソワする。
「ジョージはね、だめなんだよぉーこのあと赤点取った人だけのスペシャル勉強会だからぁー! あっはっはーおバカさんは余計な講習が多くて大変だねえ」
「……くそってめーには言われたくなかったぜ……バカのくせに一夜漬けだけは得意なんだよな、おまえ……」
がっくり、うなだれる庄司先輩。ああ、やっぱり忙しいんだな。先輩に教えてもらうのは諦めたほうが良さそうだ。
だけど、先輩は優しかった。
「とりあえず、今日のとこは昼休みだけなら付き合えるぜ? 早くしねーと休み終わっちまうから急ぐぞ」
さすが元部長だ……! ありがたい気持ちと申し訳なさと、何より憧れの庄司先輩に教えてもらえるっていう嬉しさから、僕は大きく一つうなずいた。
緊張して声が上ずってしまった。
帰り支度をしていた先輩は、驚いた顔で振り返る。
「おお、卯月。久しぶりだな」
「あの、僕、先輩のドラムにその、憧れてるので……! 教えてください、ドラム!!」
夏休み中。庄司先輩が夏期講習で学校に来てるという話を聞いてから、数日が経ったある日。僕は意を決して三年生の教室に向かった。
三年生たちはみんな大人っぽくて、僕が廊下に立ってるとすごく浮く。注目を浴びてる気がして急いで先輩のクラスに行き、そこで夏期講習は視聴覚室でやってると聞き、視聴覚室まで行き……なんとか先輩たちが帰る時間に間に合った!
「あの、勉強の邪魔をしてすみません、暇があったら、あの、今日じゃなくてもいいんですけども!」
今月頭に新バンド一回目の会議をして、オリジナル曲をやることになったんだけど、今の僕では圧倒的に技術が足りなくて。先輩が受験勉強で忙しいのは承知の上で、頼みに来てしまった。
「あー! へたっぴなのにゆちゆちとさきさきとバンド組むヤツだー!」
庄司先輩の横に立っていた美輪先輩が、僕を指差す。
「こないだとまたあだ名変わってんじゃねーか……、てンなことどーでもよくて。何失礼なこと言ってんだよ」
庄司先輩が大きな手のひらで美輪先輩を叩く。痛そう……。
へたっぴと面と向かって言われたら、多少はショックだけど、でも先輩たちからしたら当然その通りだから、叩くことはなかったように思う。
というか、美輪先輩が興味津々に僕のほうを見てくるから、緊張してソワソワする。
「ジョージはね、だめなんだよぉーこのあと赤点取った人だけのスペシャル勉強会だからぁー! あっはっはーおバカさんは余計な講習が多くて大変だねえ」
「……くそってめーには言われたくなかったぜ……バカのくせに一夜漬けだけは得意なんだよな、おまえ……」
がっくり、うなだれる庄司先輩。ああ、やっぱり忙しいんだな。先輩に教えてもらうのは諦めたほうが良さそうだ。
だけど、先輩は優しかった。
「とりあえず、今日のとこは昼休みだけなら付き合えるぜ? 早くしねーと休み終わっちまうから急ぐぞ」
さすが元部長だ……! ありがたい気持ちと申し訳なさと、何より憧れの庄司先輩に教えてもらえるっていう嬉しさから、僕は大きく一つうなずいた。
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