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高校三年生ってこれまでの人生のなかで一番将来のことを考える時期だ。周りのみんなは四大か短大、専門学校どれにするかで悩んでいて、なかには就職活動を選んだ人もいる。
皐月も優士も迷わなかったのかな。
夏休みが終わる頃社長に出会ってすぐデビューの話が出て、そのまま年明けにデビューした。トントン拍子に話は進んだけど、二人は将来に悩まなかったんだろうか。
受験生という今の立場になって改めて思う。
売れる保証もなかったのに。
「これからどうなるかわからないのよ? 大学に行くだけ行ってみてもいいと思うの」
五月末の中間試験を終えて、六月半ば。担任の先生と個人面談の最中だ。『第一希望・芸能活動』とだけ書いた進路調査の紙をずいと返され、諭される。
それは期限最終日になってなんとか提出したもので、提出するまでに、本当は第二希望とかいろいろ考えた。専門学校で音楽関係のことをするのもいいな、とか。具体的なビジョンがなければ経済学部に行ってみるのもいい、なんて先輩の言葉を鵜呑みにしてみたり。
だけど、進学しないで3moonとして活動する優士と皐月を尻目に、僕だけ保険をかけるなんて………。
突き出された紙をじっと見つめてから、先生に向き直る。松崎先生は、三月まで皐月と優士のクラスを担当していたので、3moonとしてデビューした頃の二人を知ってる。
二人のときも、今みたいに引き止めてたのかな。それとも二人なら成功するって思ってた? 聞けばわかる話だけど、あえて聞かなかった。
「僕は、進学は………しま、せん」
その言葉に、松崎先生が眉をしかめたのがわかった。ふわふわのパーマが左右に揺れる。そして、「本当に?」と再度確認された。
「は、はい」
この決意を後悔することがあるかもしれない。いや、絶対にあるはず。だって今、こんなにもぐらついてる。
そんな気持ちをごまかすために、無理やり小さく笑ってみせた。
皐月も優士も迷わなかったのかな。
夏休みが終わる頃社長に出会ってすぐデビューの話が出て、そのまま年明けにデビューした。トントン拍子に話は進んだけど、二人は将来に悩まなかったんだろうか。
受験生という今の立場になって改めて思う。
売れる保証もなかったのに。
「これからどうなるかわからないのよ? 大学に行くだけ行ってみてもいいと思うの」
五月末の中間試験を終えて、六月半ば。担任の先生と個人面談の最中だ。『第一希望・芸能活動』とだけ書いた進路調査の紙をずいと返され、諭される。
それは期限最終日になってなんとか提出したもので、提出するまでに、本当は第二希望とかいろいろ考えた。専門学校で音楽関係のことをするのもいいな、とか。具体的なビジョンがなければ経済学部に行ってみるのもいい、なんて先輩の言葉を鵜呑みにしてみたり。
だけど、進学しないで3moonとして活動する優士と皐月を尻目に、僕だけ保険をかけるなんて………。
突き出された紙をじっと見つめてから、先生に向き直る。松崎先生は、三月まで皐月と優士のクラスを担当していたので、3moonとしてデビューした頃の二人を知ってる。
二人のときも、今みたいに引き止めてたのかな。それとも二人なら成功するって思ってた? 聞けばわかる話だけど、あえて聞かなかった。
「僕は、進学は………しま、せん」
その言葉に、松崎先生が眉をしかめたのがわかった。ふわふわのパーマが左右に揺れる。そして、「本当に?」と再度確認された。
「は、はい」
この決意を後悔することがあるかもしれない。いや、絶対にあるはず。だって今、こんなにもぐらついてる。
そんな気持ちをごまかすために、無理やり小さく笑ってみせた。
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