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金曜日、放課後。
軽音楽部の部員やその友だちがたくさん音楽室に集まっている。中間テスト目前の五月上旬の今日、新入生歓迎会を兼ねたミニライブを行っているのだ。
牛乳箱を並べた上に板を乗せた、即席のステージ。窓には暗幕をかけて薄暗くする。ステージにだけライトを当てればそれっぽい。
「楽しみだなあ」
「あれ、シロー緊張してないの?」
思わず呟けば、後ろから優士が顔をのぞき込んできた。
「そ、そりゃあ緊張してるけど……」
クリスマス以降の活動は、バンド練習とか部内での発表ばかりだった。久しぶりに大勢の前でやるから全くの平常心ではいられないけど、でも、それよりワクワクしているんだ。
「みんなに演奏を聞いてもらうのが楽しみだから」
「へえ、メンタル強くなったね。あれだけ練習したら自信もつくか」
「…………うん」
春休みはスパルタだった。僕に対してはもちろん、優士も皐月も自分に本当に厳しくて。僕の作る曲に合った演奏を――そう言って、今までとは異なる弾きかたや音作りをいろいろ考えて、挑戦してくれたんだ。「二人がもともと持ってる味を生かせないなら曲を作り直す」と言ってみたんだけど、それじゃあ意味がないって突っぱねられた。
僕が思うがままに作った曲が好きだから、って。
すごく嬉しかったから、二人の頑張りに報いるため、春休みは寝ても覚めても曲作りとドラム練習ばかりしていた。その成果が今日、みんなにやっと届けられるんだ。
しかも、初めてのトリ。うー緊張するけど、やっぱり楽しみだなあ! ……って、意気込んでいたんだけど。
(………手、手汗が……どうしよう!)
本番、四曲を終えて。お客さんの反応に僕の緊張は増していた。部外の生徒も多く見に来てる今回、インストというのはノリにくいらしくて……直前までの熱気が冷めてしまったんだ。特に皐月と優士目当てで来たらしい女子たちは棒立ちになってる。
でも、これで最後だから――。そう思ってラストの曲を全力で叩いた。
「アンコール! アンコール!」
ステージからはけたら、部員の一声を皮きりに、お客さんからコールが始まった。
(あれ?)
さっき立ち尽くしてた女子たちも、楽しそうに叫んでくれてる。全員とはいかなくても、僕らの音楽が届いていたみたいだ。
嬉しくて、もっとがんばりたくて、アンコールの演奏ではつい力みすぎてしまったけど、お客さんと繋がれてると思えばすっごく楽しかった。
軽音楽部の部員やその友だちがたくさん音楽室に集まっている。中間テスト目前の五月上旬の今日、新入生歓迎会を兼ねたミニライブを行っているのだ。
牛乳箱を並べた上に板を乗せた、即席のステージ。窓には暗幕をかけて薄暗くする。ステージにだけライトを当てればそれっぽい。
「楽しみだなあ」
「あれ、シロー緊張してないの?」
思わず呟けば、後ろから優士が顔をのぞき込んできた。
「そ、そりゃあ緊張してるけど……」
クリスマス以降の活動は、バンド練習とか部内での発表ばかりだった。久しぶりに大勢の前でやるから全くの平常心ではいられないけど、でも、それよりワクワクしているんだ。
「みんなに演奏を聞いてもらうのが楽しみだから」
「へえ、メンタル強くなったね。あれだけ練習したら自信もつくか」
「…………うん」
春休みはスパルタだった。僕に対してはもちろん、優士も皐月も自分に本当に厳しくて。僕の作る曲に合った演奏を――そう言って、今までとは異なる弾きかたや音作りをいろいろ考えて、挑戦してくれたんだ。「二人がもともと持ってる味を生かせないなら曲を作り直す」と言ってみたんだけど、それじゃあ意味がないって突っぱねられた。
僕が思うがままに作った曲が好きだから、って。
すごく嬉しかったから、二人の頑張りに報いるため、春休みは寝ても覚めても曲作りとドラム練習ばかりしていた。その成果が今日、みんなにやっと届けられるんだ。
しかも、初めてのトリ。うー緊張するけど、やっぱり楽しみだなあ! ……って、意気込んでいたんだけど。
(………手、手汗が……どうしよう!)
本番、四曲を終えて。お客さんの反応に僕の緊張は増していた。部外の生徒も多く見に来てる今回、インストというのはノリにくいらしくて……直前までの熱気が冷めてしまったんだ。特に皐月と優士目当てで来たらしい女子たちは棒立ちになってる。
でも、これで最後だから――。そう思ってラストの曲を全力で叩いた。
「アンコール! アンコール!」
ステージからはけたら、部員の一声を皮きりに、お客さんからコールが始まった。
(あれ?)
さっき立ち尽くしてた女子たちも、楽しそうに叫んでくれてる。全員とはいかなくても、僕らの音楽が届いていたみたいだ。
嬉しくて、もっとがんばりたくて、アンコールの演奏ではつい力みすぎてしまったけど、お客さんと繋がれてると思えばすっごく楽しかった。
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