じゃあ、苺のパフェで!

まりあ

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苺パフェ

苺パフェ 7

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軽い足取りで家に帰る。
なぜだか、最近学校が楽しい。
彼氏とできないことを、湊くんとやっている。
もう、健とは無理だ。楽しくないし、最近話もしない、もういい。
別に、彼氏がいなくてもやりたいことが今は湊くんが一緒に叶えてくれる。
健に電話をした。プルルル…

健「もしもし?」

茜「健・・・・あのさ」

いざ口に出そうとすると泣きそうになる。
これまでの思い出が白く塗りつぶされてしまうような気がして、でも今言わなければずっと言えない。

健「どした?なんかあったの?」

茜「あの、さ」

健「ん?」

茜「・・・別れよう」

健「え」

30秒ほど長い沈黙が続いた。
経験したことないくらい長い30秒で、息の音だけ聞こえる。
健はやっと口を開いた。

健「なんで」

茜「健は、ゲームばっかりで遊ぶのも健の家だし、カフェも言ってくれない。もっと、カップルらしい事がしたいかったの!」

つい感情的になった。
怒りの感情が一気に解き放たれたように、すると今度はスッキリして別れたいという感情が薄れた。そして健はこう言った。

健「無理だよ。無理!」

茜「なぜ?好きじゃないでしょ?私の事なんか・・・・」

健「好きだよ!大好きだよ?」

1度固く決心したはずなのに、心が揺らぐ。
こういう時には決まって良い思い出だけが思い浮かぶのは何故だろう。
さっきまで、健のこと嫌いまで思っていたのに。

茜「ごめん・・・別れよう?」

健「なんで・・」

このやりとりが1時間程続いた。その度別れるための言い訳をし、解決法を提案されての繰り返し。
拉致があかずこの日は別れない、の結論に至った。
少しほっとしたが、それもつかの間だった。
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