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三百話 お題:意 縛り:先取り、ソナチネ、アルピニスト
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知人の女性の話である。
「私の父、アルピニストだったの。凍傷で手足の指を何本もなくしても山を登るのをやめなかったんだけどね。それでも年齢には勝てなくて、引退したの」
彼女の父親は引退した後、登山学校を開校したという。
「女性限定のコースを作ったりして、結構時代を先取りしてたんじゃないかな。そのおかげか生徒さんもたくさん来てくれたんだけど、父は不満そうでね。何が気に入らないのって聞いたら」
うちの登山学校からまだ死者が出てないのが気に入らない――彼女の父親はそう答えたという。
「登山学校を作ったのは山に登って死ぬやつを増やすためだって真顔で言ったのよ。自分が山に登れなくなって悔しかったんだろうけど、それでも受け入れられなかった。父とはもう十年以上口を聞いてないし、娘を会わせたこともないの」
彼女がそう言った直後、彼女の娘さんが練習しているというモーツァルトのソナチネが聞こえてきた。
「私の父、アルピニストだったの。凍傷で手足の指を何本もなくしても山を登るのをやめなかったんだけどね。それでも年齢には勝てなくて、引退したの」
彼女の父親は引退した後、登山学校を開校したという。
「女性限定のコースを作ったりして、結構時代を先取りしてたんじゃないかな。そのおかげか生徒さんもたくさん来てくれたんだけど、父は不満そうでね。何が気に入らないのって聞いたら」
うちの登山学校からまだ死者が出てないのが気に入らない――彼女の父親はそう答えたという。
「登山学校を作ったのは山に登って死ぬやつを増やすためだって真顔で言ったのよ。自分が山に登れなくなって悔しかったんだろうけど、それでも受け入れられなかった。父とはもう十年以上口を聞いてないし、娘を会わせたこともないの」
彼女がそう言った直後、彼女の娘さんが練習しているというモーツァルトのソナチネが聞こえてきた。
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