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二百七十七話 お題:金粉 縛り:開腹、らっきょう、墨絵、割合に、アームチェア
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男友達の話である。彼は自分の部屋に悪趣味な墨絵を飾っており、こんなものを部屋に飾って気分が悪くならないのか、と私が聞くと、
「失礼だな。俺はこの絵を気に入ってるし、それに飾っているといいこともあるんだぞ」
と彼は言った。私は改めてじっくりと墨絵を眺めてみたものの、開腹された人体が精密に描かれているそれがいいことをもたらすとはとても思えなかった。私が、
「どう見たってこれは不幸を呼ぶ絵だろう」
と言うと彼は、
「墨絵の表面を触ってみろよ」
と言った。私は直接触ることに抵抗感を抱きつつも、言われた通り墨絵の表面に触れた。触れてみると何やら粉っぽい感触がしたので、指先を確認すると金色の粉がついていた。
「その墨絵に描かれてる人体な、垢が出るんだよ。まぁ垢っていっても1グラム4000円で売れる垢だけどな」
私は指についた金粉を落とすと、お前がどうしてこの墨絵を飾ってるのかやっとわかったよ、と彼に言った。彼は得意げな顔でアームチェアに腰かけると、私が手土産に持ってきた自家製のらっきょうを齧り、
「あぁ、お前が漬けた割合には美味いじゃないか」
と嬉しそうに言った。
「失礼だな。俺はこの絵を気に入ってるし、それに飾っているといいこともあるんだぞ」
と彼は言った。私は改めてじっくりと墨絵を眺めてみたものの、開腹された人体が精密に描かれているそれがいいことをもたらすとはとても思えなかった。私が、
「どう見たってこれは不幸を呼ぶ絵だろう」
と言うと彼は、
「墨絵の表面を触ってみろよ」
と言った。私は直接触ることに抵抗感を抱きつつも、言われた通り墨絵の表面に触れた。触れてみると何やら粉っぽい感触がしたので、指先を確認すると金色の粉がついていた。
「その墨絵に描かれてる人体な、垢が出るんだよ。まぁ垢っていっても1グラム4000円で売れる垢だけどな」
私は指についた金粉を落とすと、お前がどうしてこの墨絵を飾ってるのかやっとわかったよ、と彼に言った。彼は得意げな顔でアームチェアに腰かけると、私が手土産に持ってきた自家製のらっきょうを齧り、
「あぁ、お前が漬けた割合には美味いじゃないか」
と嬉しそうに言った。
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