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二百三十七話 お題:傾ける 縛り:診せる、反対給付、一喝
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幼馴染の話である。彼女はアクセサリー作りが趣味なのだが、あまりにもそれに情熱を傾けすぎておかしくなってしまった。
「私やっと自分がアクセサリーを作るために生まれてきたことに気づいたの。アクセサリーを一つでも多く作って、一人でも多くの人に私のアクセサリーをつけてもらうの!」
彼女は給料の大半をアクセサリーの製作費に費やし、作ったアクセサリーは片っ端から人にあげていた。流石に反対給付を一切受けないのはおかしいだろうと私は彼女に言ったのだが、
「私が好きでやってることなの! 口出ししないで!」
と一喝されてしまった。彼女を精神科医に診せることも考えたが、とりあえず私は彼女に代わってアクセサリーの代金を回収することした。手始めに私と彼女共通の知人で、彼女からアクセサリーをもらった人物のところを訪ねて回ったのだが、
「あげるって言われたからもらったのに今更代金をよこせって何? っていうか作った本人でもない人がなんで代金の回収なんてやってんの?」
といった反応ばかりで話にならない。仕方がないのでそういった反応をした人達の家に強盗に入って金目のものを根こそぎいただき、アクセサリーの代金としたのだが、私が早々に逮捕されてしまったせいで代金を回収できた人数は十人にも満たなかった。果たして幼馴染はちゃんと生活できているのか――刑務所の中で、私はそのことばかり考える。
「私やっと自分がアクセサリーを作るために生まれてきたことに気づいたの。アクセサリーを一つでも多く作って、一人でも多くの人に私のアクセサリーをつけてもらうの!」
彼女は給料の大半をアクセサリーの製作費に費やし、作ったアクセサリーは片っ端から人にあげていた。流石に反対給付を一切受けないのはおかしいだろうと私は彼女に言ったのだが、
「私が好きでやってることなの! 口出ししないで!」
と一喝されてしまった。彼女を精神科医に診せることも考えたが、とりあえず私は彼女に代わってアクセサリーの代金を回収することした。手始めに私と彼女共通の知人で、彼女からアクセサリーをもらった人物のところを訪ねて回ったのだが、
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