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二百三十四話 お題:ファシズム 縛り:全貌、巣箱、詳説

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 私の息子の話である。息子は小学三年生なのだが、ある日息子に学校で友達とどんな遊びをしてるんだ、と聞いてみたところ、
「うーん、今は遊ぶ暇ないなぁ、クラスを支配するのに忙しいから」
 という答えが返ってきた。クラスを支配するっていうのはどういうことだ、と息子に尋ねると、息子は得意げに自分が今学校で行っていることの全貌について詳説してくれた。
「きっかけは学校でやった巣箱つけだったんだ。僕は巣箱をつけるのは野鳥の暮らしをよくするためにすごく大事なことだと思ったんだ。でもクラスのやつらは皆つまらないとか意味ないとか、そんなことばっかり言っててさ。僕はクラスのやつらの方がよっぽどつまらないし、意味がないと思ったんだよ。だから僕がクラスを支配して、つまらなくて意味のないやつらを有効利用してやれば、そいつらにも意味が生まれるんじゃないかって思ったんだ。実は支配はもうほとんど完成してて、僕の命令でクラスのやつらを大人しくさせるのも暴れさせるのも思いのままなんだ。先生もクラスを管理しやすくなって喜んでるし、僕に逆らおうとするやつがでてきても徹底的にいじめてやれば大人しくなるからね、このまま支配し続けてれば大丈夫だと思う。まぁ、その支配し続けるってことが一番大変なんだけどさ」
 この話を聞いて、私は息子を育てていく自信を完全に失った。
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