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百六十七話 お題:春告げ鳥 縛り:練り餌
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従姉から聞いた話である。従姉は変わった人で、野鳥達が一番の友達だと言って山の近くに家を買い、そこで一日中バードウォッチングをしているらしいのだが、昨年の十二月に従姉の家に遊びに行ったところ、従姉は、
「ちょうどいいところに来たわねぇ。今ね、すごい子が来てるのよ」
と言って私を家のテラスまで案内してくれた。テラスには小さなテーブルが置いてあり、テーブルの上には一匹のウグイスがいた。
「この子すごいのよ。ウグイスは春告げ鳥って呼ばれてるけど、この子は春を告げるんじゃなくて、春を運んでくるの。この子がヘソ曲げちゃったらずっと冬のままなんだから」
そう言って従姉はウグイスに、ウグイスのお気に入りだという練り餌を与え始めた。従姉があなたもあげてみて、と言って練り餌の入った容器とスプーンを渡してきたので、私は内心ウグイスが春を運んでくるなんて馬鹿馬鹿しいと思いながら、スプーンでウグイスに練り餌をあげようとした。だがウグイスは練り餌を一切食べず、飛んでいってしまった。従姉はそれを見て、
「あぁ、飛んでいっちゃった……何か失礼なことでも考えてたんじゃないの? あの子人の考えてること結構わかるみたいだから」
そう言って従姉は自分の部屋に引っ込んでしまった。折角遊びに来たのにすぐ帰ることになった私は、従姉の家に遊びに行ったことを少なからず後悔した。なおそれから五ヶ月ほど経ったが、未だに桜が開花したというニュースが流れない。
「ちょうどいいところに来たわねぇ。今ね、すごい子が来てるのよ」
と言って私を家のテラスまで案内してくれた。テラスには小さなテーブルが置いてあり、テーブルの上には一匹のウグイスがいた。
「この子すごいのよ。ウグイスは春告げ鳥って呼ばれてるけど、この子は春を告げるんじゃなくて、春を運んでくるの。この子がヘソ曲げちゃったらずっと冬のままなんだから」
そう言って従姉はウグイスに、ウグイスのお気に入りだという練り餌を与え始めた。従姉があなたもあげてみて、と言って練り餌の入った容器とスプーンを渡してきたので、私は内心ウグイスが春を運んでくるなんて馬鹿馬鹿しいと思いながら、スプーンでウグイスに練り餌をあげようとした。だがウグイスは練り餌を一切食べず、飛んでいってしまった。従姉はそれを見て、
「あぁ、飛んでいっちゃった……何か失礼なことでも考えてたんじゃないの? あの子人の考えてること結構わかるみたいだから」
そう言って従姉は自分の部屋に引っ込んでしまった。折角遊びに来たのにすぐ帰ることになった私は、従姉の家に遊びに行ったことを少なからず後悔した。なおそれから五ヶ月ほど経ったが、未だに桜が開花したというニュースが流れない。
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