157 / 302
百五十六話 お題:山吹色 縛り:振り返る、シミュレーション、後
しおりを挟む
大学の同期の話である。彼は大学を卒業後、大手の広告会社に就職したのだが、ある時重要な企画のプレゼンが迫っているにも関わらず上司から大量の仕事を押しつけられたという。
「あのクソ野郎、俺がプレゼンのシミュレーションもまともにできてない状態なのに仕事押しつけやがって、後よろしくね、じゃねぇんだよ。上司じゃなかったらほんと殴り飛ばしてたよ」
彼は時間の経過も忘れて仕事に没頭していたのだが、不意に背後から光が差してきたことで我に返った。
「あー、朝になっちまったかと思ってさ。休憩もかねて朝日を見ようとしたんだよ」
彼は後ろを振り返り、窓の方を見た。だが朝日を見ることはできなかった。
「振り返った方の窓全部が山吹色に光ってて外が全く見えないんだよ。一体何が光ってるんだろうと思って、窓の方に歩いていったら」
気がつくと、彼は窓を開けて外に飛び出していたという。彼の職場はビルの20階にあった。
「医者から助かったのは奇跡だって言われたよ。というか俺もそう思うしな。ただ、もう二度とまともには歩けないらしいから、これからのことを考えると気が重いよ」
私が窓の外には何があったんだ、と聞くと、
「いや、何もなかったよ……せめて何かあってくれたら、飛び降りたのをそいつのせいにできたのにな」
彼はひどく残念そうにそう言った。
「あのクソ野郎、俺がプレゼンのシミュレーションもまともにできてない状態なのに仕事押しつけやがって、後よろしくね、じゃねぇんだよ。上司じゃなかったらほんと殴り飛ばしてたよ」
彼は時間の経過も忘れて仕事に没頭していたのだが、不意に背後から光が差してきたことで我に返った。
「あー、朝になっちまったかと思ってさ。休憩もかねて朝日を見ようとしたんだよ」
彼は後ろを振り返り、窓の方を見た。だが朝日を見ることはできなかった。
「振り返った方の窓全部が山吹色に光ってて外が全く見えないんだよ。一体何が光ってるんだろうと思って、窓の方に歩いていったら」
気がつくと、彼は窓を開けて外に飛び出していたという。彼の職場はビルの20階にあった。
「医者から助かったのは奇跡だって言われたよ。というか俺もそう思うしな。ただ、もう二度とまともには歩けないらしいから、これからのことを考えると気が重いよ」
私が窓の外には何があったんだ、と聞くと、
「いや、何もなかったよ……せめて何かあってくれたら、飛び降りたのをそいつのせいにできたのにな」
彼はひどく残念そうにそう言った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる