文明トカゲ

ペン牛

文字の大きさ
上 下
66 / 266
四 照魔の鏡

22

しおりを挟む
 ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! 
 ――音は一定のリズムで、部屋の外から聞こえてきた。それが階段を踏み鳴らす音だと気づいた時には、音は既に部屋の扉のすぐ側まで来ていた。
(今日、真奈さんのご両親は二人とも帰りが遅くなるはずだ。家の中には僕達の他には誰もいない。泥棒の類だとしたら、こんな馬鹿げた大きさの足音を立てるはずがない。何より――)
「――あ、あ、あ」
 真奈さんの反応を見て、確信する。今、この部屋の外までトカゲが来ているのだと。
 カチャリ、と静かに部屋の扉が開き、そこで僕は初めて、自分が真奈さんを連れて部屋から逃げることすら思いつかなかったことに気がついた。
(――諦めてるのか、僕は!!)
 真奈さんを助けたいと、見捨てたくないと言っておきながら、本当はどうしようもないと諦めていたのか。
(いや、まだだ、まだ間に合う!)
「真奈さん、逃げ――」
 青ざめた顔をした真奈さんの手を取り、窓に視線をやると――それは、既に部屋の中にいた。
 一見すると、それは人間の形に近かった。だが人間にしては体のあらゆる箇所の凹凸が少なかった。衣服の類は身に着けておらず、徹底的に簡略化されたマネキン、という印象を受けた。それは僕が見ていることに気づいたのか、自身の胴体に手を突っ込むと、そこから、人間の顔の鼻から下の部分を取り出した。
 ――僕の見ている前で、それが動き、喋り出す。
「おい、お前、逃げるって、言ってたな」
「……僕、は」
 ――体が宙に浮く。トカゲが僕の胸倉を掴み、片腕一本で持ち上げたのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ピアノ教室~先輩の家のお尻たたき~

鞭尻
大衆娯楽
「お尻をたたかれたい」と想い続けてきた理沙。 ある日、憧れの先輩の家が家でお尻をたたかれていること、さらに先輩の家で開かれているピアノ教室では「お尻たたきのお仕置き」があることを知る。 早速、ピアノ教室に通い始めた理沙は、先輩の母親から念願のお尻たたきを受けたり同じくお尻をたたかれている先輩とお尻たたきの話をしたりと「お尻たたきのある日常」を満喫するようになって……

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

処理中です...