文明トカゲ

ペン牛

文字の大きさ
上 下
49 / 266
四 照魔の鏡

しおりを挟む
「その子はすごく頭がいいらしいんだけど、テストでわざと0点を取ったりするみたいなのよ。それで怒られると、今度は九十何点とかすごい点を取っちゃうらしくてね。お客さんも本当にどうしたらいいのかわからないって」
「……その話が本当なら、確かに困るでしょうね」
 勉強が嫌いで家庭教師をつけても成績が上がらないから困る、というのであればよくある話なのだろうが、テストの点数を0点から百点近い高得点まで好き勝手に取るというのはあまり聞いたことがない。
「でも、それなら余計に僕にできることなんて何も――」
「いいえ、私は楓ちゃんだからこそ可能性があると思ってるわ」
「可能性、ですか?」
「そう。私、知ってる人の中に若くて、しかも優しくて真面目で穏やかな子はいたかな? って考えたの。そういう子に家庭教師をしてもらえば、お客さんのお嬢さんも心を開いてくれるんじゃないかなって。そうしたらすぐに楓ちゃんのことが思い浮かんだのよ。だから楓ちゃんに家庭教師に興味はない? って聞いたんだけど……どう?」
「――そう、ですね」
 日頃からお世話になっている雪子さんにここまで言われてしまっては、断ることは難しかった。不安は大きい、というより、不安しかないのだが、それでも雪子さんのためであれば全力を尽くそう、と思える自分がいる。
「わかりました。上手くいくかはわかりませんが、やってみます」
「――嬉しい! ありがとうね、楓ちゃん。もしも上手くいかなくても、何も気にしなくていいからね。あと家庭教師のお給料もなるべく多くもらえるようにお客さんに相談しておくから安心してね」
(……話を聞く限り、勉強を教えるどころか僕が勉強を教わることになってもおかしくないんだけどな)
 とはいえ、ただ勉強を教える、という仕事ではない以上、あるいは僕にもできることがあるはずだ――僕は半ば無理矢理にそう信じ込むことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ピアノ教室~先輩の家のお尻たたき~

鞭尻
大衆娯楽
「お尻をたたかれたい」と想い続けてきた理沙。 ある日、憧れの先輩の家が家でお尻をたたかれていること、さらに先輩の家で開かれているピアノ教室では「お尻たたきのお仕置き」があることを知る。 早速、ピアノ教室に通い始めた理沙は、先輩の母親から念願のお尻たたきを受けたり同じくお尻をたたかれている先輩とお尻たたきの話をしたりと「お尻たたきのある日常」を満喫するようになって……

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

処理中です...