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第二章 王子殿下の悪徳

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「独断で決めることは出来ないわ。ロイスター公にきかなければ。跡取り息子なのだもの」
「……公は一言、煩わせるな、と言われたそうです」
「いつか頬が腫れるまで殴ってやるわ。夫人も一緒に」

 ギスランのこと子猫か何かだと思っているのではないだろうか。
 跡取りのことを全く考えていない。貴族として血を繋ぐことは責務だ。それを放棄して、ロイスター家を潰してしまう気なのだろうか。ギスランに関わろうとしない態度に憤りを感じる。
 無責任な怒りだと流石に気がついていた。私は重要な決定を独断で下せるような人間ではない。両親が放棄した穴を埋めることが出来ないので、怒りに変えて誤魔化している。
 私が決めていいものか。決めてどうするという気持ちもある。どちらを選んでも、選ばなかった方を夢想して悔しがる自分が想像できる。どう頑張っても、私が望む結果は得られない。
 幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。
 そんな優しい童話のような終わり方はない。
 ギスランは死ぬ。おそらく私より先に。それは覆せない事実だ。残されたのは死ぬまでの道のり。苦しみにもがいて死ぬか、眠りながら消えていくか。そのどちらしか残っていない。
 だめだ。やはり、私には決められない。ギスランはどうしたいのだろう。こいつは、どう生きて、死にたかったのだろう?

「はなおとめ、そっとして差し上げてはいかが? ギスラン様に苦痛を強いるような真似は……残酷だわ。胸をかきむしるような苦しみは貴女にも伝播する。二人とも辛いわ。死んでいく者も、見届ける者も、お互いを蝕むように傷付け合うことになる」

 ヴィクターの言葉は、するりと心のなかに入り込んできた。二人して傷付くと分かっているのならば起こすべきではない。至極真っ当な意見だった。
 私は死に逝くギスランを見守ることしかできない。私が苦しくなる分には構わない。けれど、それがギスランにも伝わって、あいつが泣くのは耐えられない。嫌みな宝石が、頬から落ちた瞬間、死にたくなるに決まっている。

「ギスラン様も、はなおとめを傷付けてまで一緒に生きていたいと思うでしょうか?」

 近くにいたギスランの気持ちが分からない。あの男は、死に近付いていく体でどう思っていたのだろう。真っ赤な部屋。質素で家具の少ない室内。いつでも死んでもいいと言わんばかりなのに、どうして私の愛を欲しがっていたのだろうか。思い出ならば頭のなかで繰り返せる。寝台の上で、死ぬ寸前に、それを思い出すために? 

「ギスラン様はたとえ苦痛でも、姫と生きていたいと思いますよ」

 イルは突然、大声で叫んだ。握った拳はぷるぷると震えていた。

「これは、越権行為だ。道具が口にすべき問題じゃない。それは、分かってますよ。ギスラン様の気持ちが俺には分かりませんからね。分かっていいものじゃない。俺とあの人では、身分もなにもかもが違い過ぎる。――それでも、姫の近くにいるときだけギスラン様はいつも楽しそうだった。俺にだってそれは見てれば分かった」

 長い吐息がこぼれた。迷いを振り切るように、イルが私の目の前で騎士のように跪いた。

「カルディア姫、俺の主は政治にも、領土にも、家族にもろくに興味を示さない。心が死んだような方だ。政敵達には心がないと言われています。まるでよく出来た人形が命令通りに動いているだけだとね。だが、貴女の前だけではそうではなかった」

 煌煌と光る灯火のような瞳で、イルが私の顔を凝視する。はるか遠い星を見上げるような、夢見る少年の表情だった。

「貴女の傷付く姿が見たくないとあの方は言った。自分の命を粗末に扱うから、目が離せないのだとも。ずっと悲しい目に合ってきた人だから、幸福にしてあげたい。幸せにすることで自分も幸せになりたい。俺は、その願いをかなえたいと思った。だって、人の幸せを願えるのは善良な人間の証だ。少なくとも、汚泥のような俺とは違う。美しい、人間だ」

 ギスランを人形のようだと思っていた時期があった。両親のいいなりになっているのだと疑いもしなかった。
 けれど、イルの目からはギスランは人形ではなく。
 それどころか、憧憬の瞳で夢想するような。血肉の通った人だったのか。

「ギスラン様は美しい人だ。貴女が美しい人にした」

 鼻がつんと痛んだ。目を細めなければ、なにもかも耐えられなくなって泣き叫んでいただろう。
 人が自分のためにしてくれることが、どうしてこんなにつらいのだろう。

「貴女が死にかけた話を聞きました。炎が上がる屋敷の下で虫けらのように息をしていた。生きたいと叫んでいたと。ならば、分かるはずだ。生きたい人間の気持ちが。ギスラン様の願いを最期まで叶えさせて欲しい。貴女を幸せにしたいだけなんだ。そのためならば、どんなことだって我慢できる」

 イルの言葉は感動的だった。衝動的に起こしてしまいたいと気持ちが傾きかける。
 頭を回転させて考えろ。熟考して決めろ。感情的になるな。大きく息を吸い込んで肺を膨らませる。

「起きたとして、ギスランはどれくらい生きられるの?」
「……詳しくは分かりませんわ。妖精達に聞いてみなければ。契約して聞き出した方がいいかしら」
「……その契約、リスクがあるのでしょう?」

 もともと強大な魔力を貰う特典として教えて貰うものだ。今回は自分の寿命ではなく、他人の寿命だ。普通より重い要求をされるかもしれない。

「何事にも危険はつきものですわ。ギスラン様の寿命を知るためにどこを差し出せばいいと思う? ――――」

 上手く聞き取れなかったが、どうやらヴィクターはミミズクを呼んだらしい。こくりこくり居眠りをかいていたやつはぱちりと目を開くと、首元の毛を自分で突いた。それで意思疎通ができたのか、ヴィクターは目を見開いた。

「眼球だけでいいの? あら、案外安上がりね。はなおとめ、ちょっと契約してみましょうか?」
「ちょ、ちょっと待って。眼球って、お前の? そんなこと、許容出来るわけない!」
「死後取られるのだから、別に困りはしませんわ。それにわたくし、はなおとめのためならば、して差し上げたいもの」
「……私はお前と昵懇ではないわ。そうやって尽くされる理由がない」
「清族が王族の方に忠誠を誓うのがそんなにおかしいことかしら」

 どうしてそんなに躊躇するのかと言わんばかりの顔をされる。不思議だと首を傾げたいのはこっちなのに。
 会った時から、妙に親切な態度が不気味だったが、ここにきて困惑に変わる。
 はなおとめ。やはり、ミミズクとヴィクター。そして、死に神が呼んだこの名称になにかあるのではないだろうか。

「どこにも所属していない清族に頼るわけにはいきません。俺が契約できませんか」
「無理よ」

 ヴィクターはイルの質問を一刀両断した。

「妖精を視認できないものは契約できないわ。そもそも、結果が聞けないでしょう」
「……じゃあ、私も無理ね。お前に頼るわけにはいかないわ。イル、ギスランの従者で清族のものはいないの?」
「はなおとめなら、できる」
「……は?」

 ミミズクが羽を広げて、ギスランの寝台の上に飛び乗った。億劫そうに足を動かして、腕の前まで進むと、ふわあっと口を開けてあくびする。

「私は妖精が見えないわ」
「できる。はなおとめ、とくべつ」
「……ああ、なるほど、それでいいの、ミミズク?」

 二人の間だけで事態が進んでいる!
 止めようとしたが、しいと人差し指で牽制された。

「ろどんなまどろみは天帝様の夢をのぞきこむよう。空に星は輝かず、月は地を照らさない。老樹の大木が空木になるのは、いつ? しりたい、しりたい。おしえて、しえて」

 どっと空気が重くなる。あたりを見渡してみるが、さっきとなにも変わりないように見える。だが、確かに部屋の空気が変わった。イルも同じ感覚があったのか、胸ポケットに手を突っ込んで臨戦態勢を取っている。

「うつろぎ、うつぎ。空は、きれい。なかにいるのはだれ? 知らない、妖精? 森? あそこはとじた。あと、あと、すこし? 月が、満ちて、欠ける。満ちて、欠けて。満ちて、欠けて。それが、五回?」

 月の満ち欠けが五回?
 つまり、あと五カ月ということか?
 目の前が真っ暗になりかける。五ヵ月じゃあなにもできない!

「体、もたない。起こしたら、もっとひどい、の?」

 ミミズクはすっと横倒れになった。
 ヴィクターが慌てて拾い上げる。ミミズクはすやすや眠りっていた。大切なところなのに、眠ったのか!?

「魔力切れのようですわね」
「どういうこと? どうして、ミミズクが寿命を調べることに?」
「ミミズクが妖精と契約して調べたのですわ。これは越権行為ともいえる。はなおとめのためでも、流石にごっそり魔力消費しましたわね」
「訳が分からない。どうして、お前もミミズクも私になにしたがるの? 私はお前達になにもしていない。だいたい、そんなことをしたらひどい代償を背負わされることになるのではないの?」
「その話はあとに。問題は、ギスラン様の余命が一年もないことです。ミミズクが言うには月の満ち欠けが五回。つまり、約五カ月後ですわね」

 イルが髪を掻きむしって、唸り声を上げた。獣のような咆哮だった。

「まじで言ってるなら、さっさと起こしたほうがいい。ギスラン様の貴重な時間がなくなる!」
「わたくしは反対ですわ。きっと妖精は今の状態のギスラン様の余命を告げたはずです。今周囲に妖精はいない。つまり、ギスラン様の魔力が体外に排出されていないということですわ。生命維持に魔力がつぎ込まれているかは不明ですけれど、体に負荷はかかっていない状態だと推測できます。起こしてしまったら、魔力が元の量に戻って体の崩壊を速めてしまう恐れがあります」
「とりあえず、俺がこいつの声を物理的に遮断します。それから、決断してもらってもいいですか?」
「イル、過激なことはやめて。……ヴィクター、本当にギスランを救う方法はないの?」
「今のところ、まだ」

 いま起こせば、残り五ヵ月弱の時間をギスランと過ごせる。苦痛に満ちたものであっても、ある程度は普通に過ごせる。けれど、ギスランは五カ月後に必ず死ぬ。そのときの喪失感を考えるといまから眩暈がする。
 眠り込んだままにすれば、苦痛を与えずに送り出せる。けれど、それはギスランの望みではないとイルは言った。下手をすると、懲罰覚悟でイルはギスランを起こしてしまうかもしれない。そうなれば、眠らせるという選択自体が歪んでしまう。
 息を吐く。起こすべきだ。イルの暴走を考えれば、そうすべき。
 だが、なにも対策を取れないまま、このままギスランが死んでいくのをおめおめ見守るつもりか?
 本当に、それでいいと思っているのか?

「体の崩壊が、魔力のせいならば、ギスランの魔力を消してしまえばいいのではないの? それはできない?」
「……魔力を体から取り除く実験は、何世紀にも分かって清族も模索してきました。わたくし達だって短命のままでいたいわけではないもの。死にたいわけではないの。けれど、そのどれも上手くいきませんでした。時間が、足りないのです。まだ、足りない」
「ギスランにはあと半年も残されていない。今なければ意味がない。何かないの? 延命する方法」

 力なく、首が振られる。八方ふさがりだった。ギスランはこの絶望を隠すために、黙っていたのだろうか。人はいつか死ぬ。避けられない真理で汚物のような欠点。
 現実から目を逸らして苦痛など知らないと振舞うあいつを見守ろうか。狡い私がそう誑かす。ギスランは死ぬ。あいつの望みにそえば、悲しいことを考えずに楽に生きていける。失うことが辛いならば、痛覚を魯鈍にしてしまえばいい。麻薬でもやって麻痺させてしまえ。

「――いや、駄目。駄目だわ。私が弱気になってどうするのよ。ヴィクター、魔力を消してしまう方法はなくても、ギスランをまた眠らせる方法はあるの?」
「……どういう意味かしら?」
「一度、目覚めさせて、再び寝かせるのよ。魔力によって体が蝕まれないこの状態がいいわ」
「仮死状態を疑似的に再現するということ? ――硫化水素を使った実験で、細胞の仮死状態が認められたことがあったけれど。あるいは雪山のような場所で低体温状態で見つかった人が蘇生したという話も……」
「できるの、できないの?!」
「やったことはありませんけれど、理論的には可能だと思いますわ。……勿論、長くはもたないでしょうし、限度があるでしょうけれど」
「どれくらい持つ?」
「……二ヵ月が限界でしょうか? もっと短くなる可能性もあります。長くは保たないわ」

 うんと頷く。これならば、いけるかもしれない。

「なにを考えているんです? ギスラン様を一度起こして、寝かせる意味が分かりません」
「お前ね、私はこれでも王女よ。結婚となればそれ相応の手続きが必要なの。……私もきちんと聞いたことがないけれど、半年はかかるはずよ。降嫁となれば持参金としてそれなりの額と領土を用意しなくていけないし、挨拶周りにだって行かなくちゃいけない」

 イルは勢いよく立ち上がって、私をじっと凝視した。

「それを二ヵ月で終わらせるわ。終わらせてみせる。用意ができるまで眠らせて、新婚旅行ぐらいゆっくりするの。ギスランの誕生日には私達は夫婦よ。それが目標。一度起こすのは事情を説明するため。……結婚式の用意をしている間、私はギスランの延命の方法も探るわ。意地でもみつけて、未亡人を回避してやる」
「……。は、はは。本気ですか? ギスラン様と結婚を?」
「嫌とは言わせないわよ、イル。お前も馬車馬のように働いてもらうのだから」
「ええ、ええ。俺は馬のように動き回るのが性に合っています。ギスラン様のためなら、駿馬に、驢馬にもなりますよ」
「じゃあ、ヴィクターの準備が済み次第、ギスランを起こしましょう」

 ぱんと手を打ち鳴らす。重い空気が窓から抜けて、真っ暗闇のなかに逃げていく。
 まだ、終わりじゃない。最期まで、抗って、抗って、運命をひっくり返してやる。
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