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エピローグ
大切な栞
しおりを挟む10月◇△日(金) 23歳の誕生日
初めての一人で迎える誕生日。でもあんまり嬉しくない。20歳を超えると途端に誕生日が嬉しくなくなるのは私だけじゃないよね?
と、そんなことよりも、先週の出来事。やっとルミルチア(ルミィ)さんが作ってくれた栞が届きました!
栞の部分はフック形状になっていて、薄すぎず厚すぎず、ルミィさんのこだわりがありそう。プラチナでできているらしい。貴金属だからかなりお高いかも?
挟まる方の先端には丸い窪みがあって、そこには綺麗なシトリンが埋め込まれている。挟んでも外から見える反対側の先端には5つ、直径2㎜くらいのボタン形状の金具(これまたプラチナかな?)の真ん中に栞側からシトリン、アメトリン、アメジスト、アメジストとクオーツの境界?、クオーツの順に綺麗に色が変化するように並べられている。
これなら変に目立つことなく学校でも使える。
一生ものの私の宝です。
それから、今更だけど、母の日の渡しそびれたハーバリウムを実家に贈ったよ。
心配してくれる気持ちにちゃんとありがとうって伝えて、もう私も大人だし、一年も経っていないのに頼りになる人が何人もできた。だから、本当に大丈夫だよって、電話で、自分の口で伝えた。
また宝石の花が育つくらいネガティブにならないように、壁にぶつかっても自分一人で抱えこまずに周りに相談する。話すだけでも楽になるってあの子たちが教えてくれたから。そばで見ていてね。
来年はカラフルなベランダにするぞー、おー!
――教卓の上に板書用のノートともに一つの栞が置かれている。新米教師・藤田穂は、半年にも満たない短い間に自分を支えてくれた不思議なアサガオに、今もなお見守られながら、生徒一人ひとりを見て、今日も笑顔で授業を行っている。それは、明日も明後日も明々後日も一週間後も一か月後も一年後も、その先もきっと続くことだろう。
〈了〉
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