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忠告2 お越しの際は覚悟を
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しおりを挟む「なんで、突然……?」
さっきとは百八十度変わった提案に驚きを隠せない。
口をあんぐり開けたままポカーンとしていると、
「――とても画期的な案を思いついたから……ですかね」
島田さんは整った指先で顎先に触れながら、それでもってなぜだか急に興味深そうに私のことを見つめながら、理解不能なことを答えていく。
か、かっきてき……?
なんだか、変わっていく空気に。戸惑いを隠せない。
「幸運なことに熨斗をつけたウサギが舞い込んできたというか……」
うさぎ……?
「“覚悟”によっては“協力”してもらうのも、ひとつの手かな? なんて――」
きょうりょく……?
「――悪くないというか、思わされたと言うか……あなたの熱心さに負けました」
島田さんは次々自問自答するような言い方でブツブツ連ねているけど。
言ってる意味がちっともわからない。
負けた……? ど、どういうこと……?
「――まぁ、とにかく」
そう言って、内心唖然としはじめている私を部屋の奥に追い詰めるように、ズンと足を踏み出した。
……え
「決めるのは、あなたです」
次の瞬間、凄みに圧され後ずさる私を部屋の奥へとどんどん追いやってしまう。
え、ちょっと……! なに……!?
脳内は一気に大混乱となる。
なんでいきなり、異様に楽しそうな顔してこっちに迫ってくるの……?!
そんな顔はじめて見ましたけど!
「えっ、あの……」
「ん?」
二重瞼を縁取る長い睫毛が怪しげに揺れる。
意味がわからず心で盛大にわめきながらも、いつもと違った雰囲気の彼に魅了され、今にも卒倒してしまいそう。
「考え直してくれるのは嬉しいんですが……色々追いつかないというか…… これももしかして忠告ですか――…あっ」
命乞いをしている間に誰かのデスクがコツンと腰にぶつかってしまい、行き場を失う。手元からポスんとハンドバッグが床に落ちた。
そんな私の逃げ場を奪うように、島田さんは背後のデスクに両手をついて、私をしなやかな腕の檻に捕らえ身を寄せてきた。
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