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新たな客

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暑かった夏もようやく終わり、秋の風が吹くようになった。

 うちの畑も実りの秋を迎えている。

 根菜類、芋類を中心に10種類ほど。

 里芋やレンコンを使って豚汁でも作りたいけど肝心の豚肉が無い。

 異世界では豚肉の代わりにオークを食べることが多いと、あれは確か⋯⋯パートの鴻池さんに聞いたことがあるけど、この辺りにオークは生息していない。

 アシェラ曰く「オークの長たるオークキングでも、この森では生き抜けません」だそうだ。残念。

 ああ、けんちん汁なら作れるな。それと雄羊でジンギスカン。体も温まるし、栄養もある。

 今夜にでもさっそく作るとするか。

 まずはゴボウの下拵えをしようとしたタイミングでアシェラから声がかかった。

「森で魔獣に襲われていた人間を発見しました」

 発見されたのは4人の成人男性と2人の成人女性。

 それと10才くらいの少女が1人。

 全員ボロボロになり意識は無いみたいだけど、看病してくれていたハイエルフによると命の危険はないらしい。良かった。

「重症で死にそうでしたのでいちおう保護しました。いかがいたしますか?」

「回復魔法とか、薬草とかに詳しいやつはいるか? どうしてこんな森の中にいたのか、話を聞きたいから治療して静養してもらおう」

「デイジーが回復薬を魔法で作れます。呼んできますね」

 デイジーの回復薬は、水魔法で作った水に彼女の特別な魔力を溶かしこんだもの。

 それを意識が無いので、無理やり口の中に流し込んでいく。

「ん⋯⋯う⋯⋯うぅ、ここは?」

 ほどなく1人が意識を取り戻した。

「ここは安全な場所だ。怪我の具合はどうだ?」

 大精霊といわれるクラスのデイジーが作る回復薬はゲームに出てくるエリクサーなどの最上級の代物だ。

 見る限り怪我は治っているようだが、念のため聞いておかないとな。

「⋯⋯信じられない。もう駄目かと覚悟していたのに、むしろ普段より体の具合がいい気すらする。お前が⋯⋯いや、あなたが俺たちを助けてくれたのか?」

「俺の仲間たちが魔獣にやられそうなあんたたちを見つけて連れてきた。治療したのは、そこにいるデイジーだ。礼なら彼女たちに言ってくれ」

「そうか。危ないところを救ってもらい感謝する」

 ハイエルフやデイジーに振り返り、深々と頭を下げて感謝の言葉を口にする。

 身に纏う雰囲気や物腰からして、少なくとも悪い奴ではなさそうだな。

「それで、なんでこんな森の中にいたんだ?」

「そ、そうだ! ミーア様⋯⋯ミーア様もご無事だろうか?」

 慌てた様子の彼の視線の先には、傷もすっかり癒え、
 疲れて眠る少女の姿があった。
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