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クレール・クール

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これからのこと、そして……

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 ダイヤモンドタートルの素材の売り上げ、金貨400枚。金貨1枚がおよそ10万円分の価値があるので、4千万円の値がついた。

 本来ダイヤモンドタートルが生息しているのは9層以降で、オレが落ちた4層あたりで目撃された事例はほとんどないらしい。

 地盤の問題と合わせて、現在鉱山内で生息域に変化がみられるかどうかも調査中。

 それはベテランの先輩たちに任せるとして、この4千万は当然その場で受け取るのは無理だった。大きめな街のギルドでもさすがにそれだけの現金が常時あるというわけはなく、金貨20枚だけ受け取って残りは約1か月後に受け取ることになった。

 かなり時間がかかるなとは思ったけど、他のギルドとの連絡も馬を走らせてやりとりするしかないため、仕方ないんだそうだ。

「ヒカリ殿、これを」

 ミリゼットが、約束の取り分から金貨を差し出してきた。

「これは?」

「わたしの腕の治療費だ」

 そういえばそんな話もあったっけ。すっかり忘れてたな。

「いや、いいよ別に。あれ? というか、治療費分貯まるまではいっしょに組んでもらうって言ったけど、別にそのお金を請求するからとは言ってないよな?」

「しかしそれではわたしの気持ちが収まらない。ぜひ、受け取ってほしい」

 うーん、困ったな。

 お金の問題はデリケートだ。きちんと清算してすっきりしたいという気持ちもわからなくはないけど、正式にパーティーメンバーとして加わってもらう約束をしたのに今更治療費を受け取るのもなんとなくオレには抵抗があるんだよな。

 どうしたものかと唸っていると、メルルからナイスな案が飛び出した。

「わたしにいい案があります」

 メルルの案は、3人で住める家をとりあえず1か月借りないかというものだった。

 なるほど、今はオレとメルルは同じ宿に泊まっているけどミリゼットだけは別の宿に部屋をとっている。ミリゼットにお金が無かったからというのもあるけど、効率も悪いし合計3部屋の宿代もかなりのものになってしまう。

 これからの生活費はパーティーの必要経費として出す必要があるから、いくら亀の売り上げがあると言っても節約するにこしたことはないか。

「それで、その最初の家賃をミリゼットさんに先ほどのお金から出していただければいいと思うんですけど、どうですか? パーティーのためという大義名分があれば、ヒカリさんもミリゼットさんも、それにわたしも納得しやすいと思うのですけど」

「それはいい。ヒカリ殿、ぜひ我々全員のための費用ということで受け取ってもらえないだろうか」

「わかったよ。ありがたく使わせてもらう。ありがとな」

 オレたちの新居探しが決定した。

 決まれば善は急げだ。とはいえ、オレとメルルは当然として、ミリゼットにも特に不動産の関係者に当てがあるわけではない。

 かららん

 悩んだあげく、冒険者ギルドのいつもの受付嬢に相談することにした。

 昨日の打ち上げには勝手についてきたあげく、酒に酔っぱらってやたら自分は役に立ちますアピールしてきてたもんな。それなら役に立ってもらおうじゃありませんか。

 彼女の名前も昨日聞いたんだけど、ロレツが回ってなくてよく聞き取れなかったんだよな。また聞いておかないと。

「はい、もちろん当てはありますよ。 わたしを頼っていただけて嬉しいです!」

「おお、さすが冒険者ギルド受付嬢主任、頼もしいな」

「午後からは半休を取りますので、いっしょに商業ギルドへ行きましょう。任せてください、必ずいい物件を見つけて見せますね。わたしたち4人で住めるいい家を!」
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