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呼び出し

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「タケシ殿、アルフォンス伯爵様がお呼びです。屋敷までお越しください」

 いつも通りの昼営業を終えた時、オルシャー伯爵家の家令のロロンさんが声をかけてきた。

 ちなみにそのロロンさん、しっかりとうちの店で昼食は済ませている。家令って忙しいんだろうに、毎日うちに食べに来てるけど大丈夫なのかな?

「サエ殿とポーシャ殿もご一緒にお越しください」

「え、私たちもですか?」

「はい。大事なお話があるそうですので、ぜひ」

「大事な話ですか?」

「詳しくことはアルフォンス様から直接お聞きください。さあ、どうぞ」

 なんとロロンさんは馬車を用意してくれていた。

 いつも歩いていた道を馬車で揺られてすすむ。

「なんか、見られて恥ずかしいね」

「だよなあ。俺たち馬車なんて乗る機会ないもんなあ。せいぜい、浅草とかの人力車くらいか?」

「私は人力車はないなあ。エジプトに行った時にラクダに乗ったことはあるけど」

「あ、ケンタッ◯ーのとこで客引きしてるボッタクリのやつか?」

「よく知ってるねたーくん。そのケン◯ッキーの2階がね、ピラミッド見る穴場スポットなんだけどなかなかいい感じだったよ。いつかふたりで行こうよ」

「んー、俺はエジプトよりトルコがいいなあ。世界三大料理食いまくりたい。あと、カッパドキアで気球に乗りたい」

「それもいいねー。私、ベリーダンス習おうかな」

「ならもっとダイエット頑張れな」

「むー、多少肉付きいいくらいのほうが男の人は好きなんじゃないの?」

 そんな話をしているうちに、あっという間に伯爵邸に到着した。

「こちらへどうぞ。伯爵様も間もなくおこしになります」

 顔馴染みになったメイドさんの案内で応接室に案内される。

 俺とサエちゃんはもう何度か来たことがあるから慣れてるけど、ポーシャはまだ緊張しているのか体と表情がカチカチだ。

「ポーシャ大丈夫よ。アルフォンスさんならそこまで緊張しなくても」

「は、はいサエさん」

 深呼吸をして、紅茶をひとくち含もうとしたその時、

「タケシさん、サエさん、ポーシャ!」

 ドアをバーンと開けてエリシャが飛び込んできた。

 びっくりしたポーシャが紅茶を噴き出して……いや、見なかったことにしよう。メイドさん、すみません、ありがとう。

「皆さま、おめでとうございます!」

「「「え???」」」

 は? おめでとうって? え、何?

 俺たちの頭をクエスチョンマークがぐるぐる回る。

「こらこらエリシャ。それじゃあ何も分からないよ」

 アルフォンスさんが、苦笑した表情で彼女の頭を撫でる。

「さて、今日はいきなり呼び出してすまなかったね。実はタケシ殿。キミに、国王陛下から贈り物が届いている」

「はい?」

 思わず素で聞き返しちゃったけど、仕方ないよね。
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