三姉妹のせいいっぱい

とものりのり

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お母さんへの誕生日プレゼント

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夏休みさいしょの日、お父さんから三姉妹に話がありました。
「お母さんのたんじょうびは来週だ。一人五百円ずつあげるから、これでお母さんのよろこぶプレゼントを用意するんだぞ」
といいました。

すると三姉妹は声をそろえて
「何をあげればいいの?」
とたずねました。

「お母さんは食べるのが大好きだから食べ物がいいな。時間はあるから自分たちでじっくり考えろ。自分なりのせいいっぱいを見せればいいんだ」
と言うと三姉妹は声をそろえて
「どうしよー」
と言いながら頭をかかえました。

お母さんのたんじょうび。
朝から天気がよくあつい日になりそうです。
朝ごはんの時にお父さんがお母さんに
「今日はみんながお母さんにおいしいものをごちそうするそうだぞ」
と話しました。

お母さんは
「うわぁ、楽しみ。何をごちそうしてくれるの?」
とたずねると三姉妹は声をそろえて
「ないしょ」
と言いニコニコしながらそれぞれの部屋にもどって行きました。

お母さんはお父さんに
「お父さんは知ってるの?」
と聞くと
「う~ん、どうだろ?」
と言いました。
さて、三姉妹はお母さんにどんなプレゼントをするのでしょう。

長女のひとみちゃんは体力ならだれにも負けません。
学校のマラソン大会で男子をおさえて一位になりました。
次女のはなはちゃんは料理ならだれにも負けません。
小さいころからお母さんの料理をてつだっていました。今はお母さんがいそがしい時ははなちゃんがみんなのごはんを用意します。
三女のまゆちゃんはズルがしこさならだれにも負けません。
よくお手伝いで買い物に行ってくれるのですが、じぶんのポイントカードにポイントをためています。

お昼前、ひとみちゃんがさいしょにプレゼントを持ってきました。
シュークリームでした。
お母さんが食べると
「うわぁ、すごくおいしい!こんなにおいしいシュークリーム食べたことないよ」
と言いました。

お父さんがひとみちゃんに
「どこで買ってきたんだ?」
とたずねるとひとみちゃんは
「となりの市にあるゆうめいなケーキ屋さんで買ってきたの。この前テレビで見ておいしそうだったから」
と言いました。

お父さんが
「となりの市って遠かっただろ」
とたずねるとひとみちゃんは
「自転車で行って帰ってくるのに二時間くらい。行列に並ぶのに一時間。ぜんぶで三時間もかかったよ」
と言いました。

するとお母さんが
「お母さんのためにこんなにあつい日に3時間もかけて買ってきてくれたのね。ありがとう」
と言いながらひとみちゃんをだきしめました。
ひとみちゃんはニコニコしました。

夕ごはんの時にはなちゃんがプレゼントを持ってきました。
手作りのオムライスです。
お母さんが食べると
「あ、おいしい。今まで作ってくれたオムライスとはぜんぜんちがう。レストランのオムライスみたい」
と言いました。

お父さんが
「はなちゃんは一週間も前からおいしいオムライスの作り方をべんきょうして、作るれんしゅうもしてたんだ。毎回お父さんがししょくしてたから太っちゃったよ。ハハハ」
と言いました。

お母さんが
「お母さんのためにいっしょうけんめい作ってくれたんだね。ありがとう」
と言いながらはなちゃんをだきしめました。
はなちゃんはニコニコしました。

お父さんがまゆちゃんに
「もうゆうごはんも終わったけど、プレゼントわたさないのか?」
とたずねるとまゆちゃんは
「用意はできてるけどまだタイミングじゃないんだよ」
と言いました。

お母さんがお風呂に入るとまゆちゃんは台所へ行きました。

お母さんがお風呂から出るとまゆちゃんがプレゼントを持ってきました。
クリームソーダです。
お母さんが食べると
「うわぁ。冷たくておいしい。お母さんクリームソーダ大好きなのよ。お風呂上がりに食べるとすごくおいしいよ」
24P
お父さんがまゆちゃんに
「あのクリームソーダ高いやつ?」
と聞くとまゆちゃんは
「スーパーで買った百円のメロンソーダとバニラアイスだよ。器と長いスプーンも百円。好物をさいこうのタイミングで出したの」
と言いました。

お母さんが
「お風呂上がりに冷たいクリームソーダさいこう。お母さんの好物だって知ってたのね、ありがとう」
と言いながらまゆちゃんをだきしめました。
まゆちゃんはニコニコしました。

お父さんが三姉妹に
「みんなお母さんのためにせいいっぱいがんばったな。ひとみちゃんは体力、はなちゃんは料理、まゆちゃんはズルがしこさ」
と言うとまゆちゃんが
「ズルはよけい!かしこさだよ」
と言うとみんな笑いました。

お母さんが
「今日はみんなにおいしいものをごちそうしてもらって幸せな日だったわ」
とうれしそうに話しました。

まゆちゃんがお母さんに
「だれのプレゼントが一番よかった?」
とたずねると、お母さんは少し悩んでから「じゅん番なんか決められないわ。勝った子はいても負けた子なんていないもの」
と言って三姉妹をギュッとだきしめました。
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