三姉妹のせいいっぱい

とものりのり

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キャンプでお手伝い

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金曜日の夜、家族で夕食を食べている時の事。お父さんが
「よし、明日みんなでキャンプに行こう」
と、言い出しました。

長女のひとみちゃんは
「やったー」
と言いましたが、お母さんと次女のはなちゃんと三女のまゆちゃんは声をそろえて
「え~~」
と言いましたが、お父さんが決めた事はくつがえらないのです。

お父さんは何でもすぐに決めて行動に移す性格です。お母さんと初めて会ったその日にプロポーズしたほどです。

翌朝、暗いうちからお父さんがキャンプの道具を車に積み込んでいました。お父さんの運転で車が発車するとちょうど日の出を見られました。
お母さんと三姉妹は
「わ~きれい」
と言うとお父さんは
「そうだろ、そうだろ」
とご機嫌でした。

キャンプ場に着いたのは10時前。キャンプ場には他にも沢山のお客さんが来ていました。

お父さんははりきっています。
「さあ、これからテントをはってカレーを作るぞ」
と言いました。

お母さんが
「お皿と調理器具はあるけどお米やカレーの材料が見当たらないんだけど」
と言うとお父さんは車の中を探し回り
「ふぅ、無いな。家に忘れた」
みんなは
「え~~!」
と言いました。

お父さんは少し考え込んでからこう言いました。
「じゃあ子供たちでお米やカレーの材料を集めてこい。他のお客さんから分けてもらうんだ」
三姉妹は声をそろえて
「え~!」
と言いました。

お父さんは
「何事も経験だ。ただもらうだけじゃダメだぞ。お手伝いしてそのお礼にもらうんだ。自分なりのせいいっぱいを見せればいいんだ」
と言いました。
三姉妹は声を声をそろえて
「どうしよー」
と言いながら頭を抱えました。

お父さんとお母さんは三姉妹を待っている間にテントを張ったり料理の準備をしています。お母さんは
「あの子達大丈夫かしら」
と心配そうに言うとお父さんは
「心配するな。あの子達はやれる子だ。ダメでも水はあるからお腹は空くけど生きられる」
と笑いながら言いました。
「もう、お父さんったら」

1時間後、ひとみちゃんが戻ってきました。お米や野菜や肉まで持っています。

お父さんが
「どうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「テント張りをお手伝いして回ったの。テントを張れない大人が多くてびっくりしたわ。すごい感謝されて沢山もらっちゃった」
と誇らしげに言いました。

お父さんが
「がんばったな、えらいぞ」
と言って頭を撫でるとひとみちゃんはニコニコしました。

次にはなちゃんが戻ってきました。
はなちゃんも沢山食材を持ってきました。

お父さんが
「どうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「私はお料理の手伝いをして回ったの。野菜の皮をむいたり切ったり料理したり。私が作った料理を食べてみんなおいしいって言ってくれたわ」
と誇らしげに言いました。

お父さんが
「がんばったな、えらいぞ」
と言って頭を撫でるとはなちゃんはニコニコしました。

お母さんが
「もう材料そろったわね。まゆちゃんも沢山持ってきたら食べきれないわ」
「そうだな」
と話しているとまゆちゃんが戻ってきました。

まゆちゃんはアイスキャンディーを食べながら戻ってきました。
「お姉ちゃん達がカレーの材料を沢山持っていってるのが見えたからアイスキャンディー貰ったのよ。みんなの分もあるよ」

ひとみちゃんとはなちゃんは
「やったー。ありがとう」
と言ってアイスキャンディーを食べ始めました。お父さんとお母さんもアイスキャンディーを食べました。
「天気の良い日に外で食べるアイスキャンディーはうまいな」
と言いながらお父さんが頭をなでるとまゆちゃんはニコニコしました。

お父さんはまゆちゃんに
「アイスキャンディーはどうやって手に入れたんだ?」
とたずねると
「そこの林にカブトムシが沢山いたから捕まえて交換してもらったのおまけに釣った鮎を5匹もらったわ」
と、まゆちゃんが言うとお父さんが
「鮎いいな。塩焼きにしよう」
と言って頭を撫でるとまゆちゃんはニコニコしました。

お父さんは
「じゃあカレーライスはお父さんとお母さんが作るからお前達は遊んできていいぞ」
と言うと三姉妹は
「やったー」
と言って走って出て行きました。

三姉妹が森や川で沢山遊んでから戻るとカレーライスが出来ていました。早速みんなでいただきます。

それは食べた事のないおいしいカレーライスでした。
はなちゃんが
「いろんな人から少しずつルーをわけてもらったから、いろんなメーカーのルーがブレンドされたのね」
とみんなに説明していました。

鮎の塩焼きも食べてみんなお腹いっぱいです。するとお父さんが
「よし食べたら寝るぞ」
と言ってテントに入り寝転がりました。みんなも眠かったのでテントに入り昼寝しました。

起きたら夕方になっていたので、みんなでテントを片付けて車に乗り込みました。

車を運転しながらお父さんが
「今日のキャンプ楽しかった人ー」
と言うとみんな手をあげて
「はーい」
と言いました。

お母さんが
「お父さんが食材忘れたって言った時はどうなるかと思ったけど子供たちががんばってくれたおかげで助かったわ。みんなありがとうね」
と言うと三姉妹はニコニコしました。

お父さんが
「実はなカレーライスの材料忘れたのはわざとなんだ。というか買ってもいない」
と言うと他のみんなは
「えー!」
とおどろきました。

まゆちゃんが
「なんで?なんで?」
と聞くとお父さんは
「そんなの面白いからにに決まってるじゃ無いか。必要な物がそろっていたら家の庭でカレーライス作ってるのと変わらんだろ?」
それを聞いてまゆちゃんは
「もう!お母さん、お父さんになんとか言ってよ」
と言いました。

お母さんは
「あ~実はお母さん知ってた。だってカレーの材料なんて家の冷蔵庫に無かったし、お父さん昨日の夜に買い物に行かなかったもの。それにお母さんも面白いかなって思って黙ってたの」
三姉妹は声をそろえて
「えー!」
と言いました。

お父さんは
「あははは。面白かったからいいじゃないか。食べた事無いカレーライスに鮎の塩焼きにアイスキャンディー美味しかっただろ。お父さんのおかげだな」
と言うと三姉妹は声をそろえて
「私達のおかげでしょ!」
と言いました。
お母さんはそのやりとりを見ながらニコニコしていました。
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