ふとん・おあ・こたつ

藤原アオイ

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私はお布団派。

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 炬燵。冬になると大体の家庭で活躍するあの家電製品。みかんが幾つか乗っかったあれの姿を、日本人なら一生に一度は見ることになるらしい。

 ちなみに私はそんな風景を現実世界で見たことは無いけれど。

「お布団……超絶サイコーなのれひゅ……」

 私自身がこんな状態だから、わざわざ炬燵にする必要が無いのだ。むしろお布団の方がいい。というか炬燵にしてしまったら、睡魔に襲われた時にそのまま眠れないじゃないか。普通に風邪引くし。

「ほにゃー」

 ただでさえ乾燥する季節に、自ら乾燥している場所に飛び込むなど馬鹿げている。正確には炬燵の熱によって肌の表面の水分が飛んでいくのだが、どちらでもそこまで変わることはない。

「むぅー」

 その点においてならば間違いなく布団の方が勝っている。熱源が人間のため、湿度だけはそこそこ高いのだ。布団の中でかいた汗とか……おっとこれ以上は言わないでおこう。

「ふがーっ!」

 まぁ布団にしても炬燵にしても、一度入ったら出ることは出来ないけれど。その点でドローなのか。

「ふにゃ……」

 というわけでおやすみなさい。あと三時間は寝たいから起こさないでくれ。グッナイ。


 ピピッ……ピピッ……ピピッ……


 ……寝かせろって言ってんだろ。人の話はちゃんと聞くものって教わらなかったのか。そりゃ目覚まし時計だもんな。問答無用で人を起こすのが仕事だもんな。


 ピピピッ……ピピピッ……ピピピッ……


 流石に鬱陶しいとは思う。アラームを止めたいとも思っている。でも時計があるのはちょっと離れた場所。布団からぎりぎり届かない場所。

「よし、寝るか」


 ピピピピッ……ピピピピッ……ピピピピッ……


「うん、私は何も聞いてない。それに今日は土曜日だ。寝たところで罰は当たるまい。おやすみっ!」

 頭は完全に冴えてしまったが、暖かい布団にいる限り何度でも寝ることは出来るはずだ。だから寝る。目覚ましの音はうるさいけれど、布団に籠っていれば聞こえないはずなのだし。

「すぅ……すぅ……」


 ピピピピピッ……ピピピピピッ……ピピピピピッ……


 部屋に響くのは規則的な寝息と、一音ずつ増える目覚まし時計のアラームだけ。時計の電池が切れるのが先か、それとも誰かが電話か何かでモーニングコールをしてくれるのが先か。

 どちらにしても私に起きる気など無いし、こんな寒い日に布団の外に出ようとは思わないのだけれど。
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