→賛否分かれる面白いショートストーリー（1分以内で読了限定）

#39 窓の向こう側（意外なラストの哀しみ）

私は毎日、窓の向こうにある世界を見ていた。
窓の向こうには、私が知らない色や形や音が溢れていた。
私はその世界に憧れていた。
でも、私は窓を開けることができなかった。窓には鍵がかかっていたからだ。

私は鍵を探した。
家中をくまなく調べた。
でも、どこにも見つからなかった。
私は泣いた。
私は窓の向こうに行きたかった。
でも、私は窓を開けることができなかった。

ある日、私は窓の向こうにある世界が変わっていることに気づいた。
色や形や音が消えていって、灰色の空と黒い地面だけが残っていた。
私は怖くなった。
私は窓の向こうにある世界が消えてしまうのではないかと思った。

私は必死になって鍵を探した。
家中をめちゃくちゃにした。
でも、どこにも見つからなかった。
私は叫んだ。
私は窓の向こうにある世界を救いたかった。
でも、私は窓を開けることができなかった。

そして、ついにその日が来た。
私は窓の向こうにある世界が完全に消えてしまったことを知った。
窓の向こうには何もなくなって、真っ暗な闇だけが広がっていた。
私は絶望した。
私は窓の向こうにある世界を失ってしまった。

その時、私は鍵を見つけた。
鍵は窓の下の引き出しの中にあった。
鍵は小さくて錆びていて、見落としてしまっていたのだ。
私は喜んだ。
私は窓を開けることができると思った。

私は鍵を手に取って、窓に駆け寄った。
鍵穴に鍵を差し込んで、力一杯回した。
すると、カチッという音がして、窓が開いた。

私は驚いた。
窓の向こうにある世界が消えてしまったのではなかった。
窓の向こうにある世界が、実はこの家の中だったのだ。
色や形や音が溢れているのは、この家の中だったのだ。
灰色の空と黒い地面だけが残っているのは、本当の外の世界だったのだ。
真っ暗な闇だけが広がっているのも、本当の外の世界だったのだ。

私は理解した。
この家は核戦争で滅び去った世界から逃れるために作られたシェルターだった。
この家に住んでいる人々は生き残りであり、最後の希望だった。
この家から出ることは禁じられており、鍵も隠されていた。

この家から出れば死ぬしかないということを忘れさせるように、窓から見える景色も偽物だったのだ。
私は悲しくなった。
私は窓の向こうにある世界に憧れていた。

私は窓の向こうにある世界を、開いてしまったのだった。