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人体発火の謎

人体発火とは、人間の体が突然炎に包まれて燃え尽きるという不可解な現象です。
この現象は超常現象として古くから知られており、過去300年間で200件以上の報告があるとされています。
しかし、その原因やメカニズムは未だに解明されていない謎に包まれた現象です。

人体発火の事例には、いくつかの共通点があります。まず、出火原因が不明であることです。被害者の周囲には火気や電気などの明らかな発火源が見当たらないことが多いです。
また、被害者の体だけが燃えており、周囲の物品や建物にはほとんど焼け跡がないことです。
さらに、被害者の胴体は骨まで焼けてしまうのに対し、脚や頭部などの一部が残っていることです。

人体発火の原因については、様々な仮説が提唱されてきました。
その中でも有名なものは、アルコール大量摂取説、球電説、特異体質説などです。
アルコール大量摂取説は、アルコールを多く飲んだ人の体内にアルコールが残り、それが何らかのきっかけで発火したというものです。しかし、この説はアルコールを飲まない人も被害に遭っている事実や、アルコールが発火するには高温である必要があることから否定されています。
球電説は、雷の際などに観測される特殊な形態のプラズマである球電が被害者に燃え移ったというものです。しかし、この説も球電が人体だけを燃やす理由や、球電が発生する条件などが不明確であることから疑問視されています。
特異体質説は、被害者の体内で作られた可燃性物質が熱気によって発火したというものです。しかし、この説もどのような物質が作られるかや、どうして他の人には起こらないかなどが説明できていません。

これらの仮説に対して、現在最も有力視されているのは人体ロウソク化現象説です。これは人体がロウソクのように燃えるという現象で、以下のようなメカニズムで起こると考えられています。

１　何らかの原因（タバコや暖房器具など）で衣服に火がつく。
２　火が皮膚を破って皮下脂肪を溶かす。
３　溶け出した皮下脂肪が衣服や周囲の物品に染み込み、燃料となる。
４　皮下脂肪を芯としてロウソク効果（芯燃焼）が起こり、長時間低温で燃え続ける。
５　窓や扉が閉じられた密室状態で酸素が消費され、周囲への延焼が抑えられる。
６　胴体の皮下脂肪が多い部分は燃え尽きるが、皮下脂肪が少ない脚や頭部は残る。

この説は、人体発火の事例に見られる共通点や、実験によって再現された事実と一致しています。また、人体発火の被害者が肥満体形の人や高齢者が多いことも、皮下脂肪の量と関係していると考えられます。
しかし、この説も完全には証明されておらず、疑問点も残っています。例えば、衣服に火がついたときになぜ被害者が気づかなかったのかや、なぜ人体発火の事例が非常に稀であるのかなどです。

人体発火は、科学的に解明されていない不思議な現象です。その原因やメカニズムを探ることは、人間の体や火の性質についてもっと深く理解することにつながるでしょう。
しかし、その過程で新たな謎や疑問も生まれるかもしれません。人体発火の謎は、まだまだ解き明かされていないのです。