🎊異世界転生が流行っているので１ミリも知らないけど書いてみたら何か良作が生まれた件 （▶20から毎日投稿挑戦開始）

#135 七草粥で救う異世界

目覚めたとき、私は深い森の中にいた。手に握られていたのは一振りの光る鍬（くわ）。見覚えのない異世界だったが、目の前に現れた小柄な妖精が状況を説明してくれた。  

「あなたは七草の騎士として召喚されました。この世界では、粥が命を繋ぐ力そのもの。七草を揃え、聖なる七草粥を炊き上げ、魔物を鎮めてください！」  

妖精の言葉に戸惑いながらも、私は異世界の村へ向かうことになった。この世界では「七草」と呼ばれる特別な植物が人々の心と体を癒やす力を持っているらしい。ただし、七草は魔物が守る危険な場所に生えており、集めるのは命がけだという。  

村に着くと、さっそく長老が頼み込んできた。
「今年は七草の精霊が怒り、村の粥は不完全。助けてくれ！」

まず私は、せりを探しに川辺へ向かった。水辺に待ち構えるのは巨大な蛇の魔物だったが、鍬を振り回し、なんとか退治。
次に、なずなを求めて畑へ行くと、土の中からゴーレムが現れた。鍬を地面に叩きつけ、なんとか撃退する。  

次々と草を集めていくうちに、私は「七草」がそれぞれ強い生命力を持つことに気づいた。例えば、すずしろ（大根）は氷を操る力を持ち、すずな（蕪）は土を掘り起こす力を宿している。  

やがて、最後の草・ほとけのざを探して山へ向かうと、そこには真の敵が待っていた。
「七草を集め、粥を炊こうとする者、これ以上進むな！」
と叫ぶのは、異世界を支配する魔王だった。  

魔王の正体は、七草を独占しようとする者だった。
人々に粥を行き渡らせることで平和を取り戻す私の使命に気づき、私は最後の力を振り絞った。鍬を地面に突き刺し、七草の精霊たちと共に魔王を封印することに成功した。  

村に戻った私は、集めた七草で粥を炊き上げた。その香りは癒しの力を宿し、村人たちの疲れを癒やしていく。  

「七草粥、異世界でも最高だな」
と呟く私を、妖精は満足げに見つめていた。