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#128 ツナマヨに転生した
しおりを挟む「うわ、マジかよ……」
俺は昼休みに買ったツナマヨおにぎりを口に運ぼうとした瞬間、何やら事故に遭った。
次に目を覚ますと、そこは白い光に包まれた異世界だった。
目の前に浮かんだ女神らしき人物が告げる。
「貴方はツナマヨおにぎりに対する執着が強すぎたため、次の生では『ツナマヨ』として転生します。」
ツナマヨ……?
状況を飲み込む間もなく、俺はツナマヨスライムとして異世界に送り込まれた。
異世界は平和そのものだった。俺は食材として村人たちに愛され、料理に使われたり、パンに塗られたりして役立っていた。意外なことに、この生活も悪くない。味を追求されるたびに嬉しさがこみ上げてくる。
しかし、俺には一つだけ未練があった――俺自身がツナマヨおにぎりを食べることは、もう二度とできないということだ。
ある日、旅の冒険者が俺の住む村を訪れた。彼女は金髪碧眼の美しい剣士で、ツナマヨが大好物らしい。彼女が村の市場で「ツナマヨおにぎり」を手にした瞬間、俺のスライム体は不思議な引力に引き寄せられた。
「あ、これ美味しそう!」
彼女が嬉しそうにおにぎりを頬張る姿を見た時、俺は気づいた。この瞬間が俺の使命の終わりだ、と。俺は静かに体を溶かし、彼女のおにぎりの中へと溶け込んでいった。
最後の一口を彼女が飲み込んだ瞬間、不思議な暖かさが俺の中に広がった。そして、彼女がつぶやく。
「これ、最高のツナマヨだった!」
それを聞いて俺は笑った――いや、もう笑う顔もないが、確かに俺は満たされていた。俺はツナマヨとして誰かを幸せにできたのだ。
切なくも温かい感覚に包まれながら、俺の意識は静かに消えていった。
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