🎊異世界転生が流行っているので１ミリも知らないけど書いてみたら何か良作が生まれた件 （▶20から毎日投稿挑戦開始）

#117 アクションゲームの異世界

俺はゲーマーだ。そして、死んだ。いや、正確には死んだ「はず」だった。突然目を覚ますと、目の前に広がるのは見知らぬ中世風の街並み。目の前には仮面を被った男が立っていた。  

「ようこそ、『デス・サーキット』へ」  

どうやら俺は、異世界に転生したらしい。ただし、ここは普通の異世界ではない。この世界のルールは「ゲームオーバーを避けろ」。  

男は言う。
「この世界では、あなたの命はリスポーン制です。ただし、リスポーンできる回数は有限。死ねば、その時点でゲームオーバーだ」  

なるほど。つまり、慎重に行動しなければ本当に「詰む」。  

武器を手に取り街を出た瞬間、俺は早速モンスターに襲われた。スライムだ。ゲームでお馴染みのザコ敵……のはずが、動きが速い。回避に失敗し、剣を振る間もなく刺される。  

「リスポーンします」  

次の瞬間、俺は街の広場に戻っていた。胸にはスライムに貫かれた傷が鈍く痛む。  

「慎重にやれって言ったろ？」
仮面の男が嘲笑する。  

だが俺は笑っていた。
「分かった。次は負けない」  

スライムに負けた理由を分析し、動きのパターンを学ぶ。次の戦いでは見事にスライムを倒した。だが、その先に待っていたのはゴーレム。  

襲撃され、俺はまた死んだ。  

「リスポーン終了まであと1回」  

俺は愕然とする。だが、負ける気はしなかった。俺はゲーマーだ。死んで覚える。それが俺のやり方だ。  

慎重に計画を練り、最後のリスポーンでゴーレムを倒す。そして、ついに目的地である「デス・サーキット」の最終ステージに到達した。そこにいたのは……仮面の男だった。  

「よくここまで来たな。だが、ゲームはここで終わりだ」  

彼が最後のボスだった。戦いは熾烈を極めた。体力はゼロ寸前。だが、俺は彼の剣をかいくぐり、最後の一撃を放つ。  

「ゲームクリアだ」  

目の前の世界が崩壊し、次に目を覚ますと俺は自室のベッドにいた。ゲームの記録も何も残っていない。  

しかし、手のひらには異世界で手に入れた剣の模様が刻まれていた。  

俺は笑った。
「次のステージが楽しみだ」