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#111 ハンムラビ法典を使用すると・・・
しおりを挟む目が覚めたら、俺は巨大な石柱の下に立っていた。その表面には謎の文字がぎっしりと刻まれている。
なんだここは? 俺はただコンビニで肉まんを買って帰る途中で車に轢かれただけだぞ!
「ようこそ、ハンムラビ法典の世界へ!」
声がした。振り向くと、髭をたくわえた老紳士が現れた。どうやらこの世界の神らしい。
「あなたには、この法典を使って秩序を取り戻してほしいのです」
いやいや待て。ハンムラビ法典って、復讐の原則とか目には目をとかいうヤツだろ? そんな古代の法律、役に立つのか?
老紳士は不敵に笑い、俺の手に石板を渡した。
「この法典は魔力を持っています。使えば、法が現実となるのです」
興味本位で試してみた俺は、村人同士の喧嘩の場に飛び込んだ。一人がもう一人の畑を荒らしたと騒いでいる。俺は法典を開き、指を文字に滑らせる。
「罪人の畑も荒らされるべし!」
すると突然、畑泥棒の畑が一瞬で枯れ果てた! 村人たちは歓声を上げるが、当の罪人は涙目で俺に食ってかかった。
「これでは俺の家族が飢え死にするじゃないか!」
確かに。その視点は完全に忘れてた。俺は法典をもう一度開く。
「罪人の損害は、社会が補填すべし!」
すると空から小麦が降り注ぎ、罪人の家が豪華に改築された。村人たちはまたも歓声を上げるが、今度は別の村人が怒鳴る。
「なんであいつだけ得するんだ!」
俺は冷や汗をかきながら、何度も法典を使い続ける。しかし解決するたびに別の不満が噴出し、村全体がカオスに陥っていった。
最終的に俺は、「すべての者が平等であるべし!」と叫んだ。すると村全体が荒れ地になり、誰もが何も持たない状況に。
老紳士が再び現れた。
「どうです、法の公平さと限界を学びましたか?」
俺は法典を叩きつけた。
「そんなもん、現実の人間関係でなんとかしろ!」
そして次の瞬間、目が覚めた。コンビニの前で肉まんを持って立ち尽くす俺。
「二度と法律なんてごめんだ……」
だが手元には、奇妙な石板がまだ残っていた。
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