🎊異世界転生が流行っているので１ミリも知らないけど書いてみたら何か良作が生まれた件 （▶20から毎日投稿挑戦開始）

#109 冤罪からの転生後

「これが最後か……」  
男は冷たい鋼の刃を見上げながら、静かに目を閉じた。罪状は冤罪、裁判は茶番、そして命の灯が消える刹那。  
カシャン！
鈍い音とともに刃が落ち、視界が闇に閉ざされた――はずだった。  

「……ん？　痛くない？」  
目を開けると、男は広大な草原の中に立っていた。青空には二つの太陽が輝いている。手にはなぜかギロチンの刃が握られていた。  

「転生……か？　いや、なんで刃を持ってるんだよ！」  
男が呆然としていると、突然目の前に一人の少女が現れた。青い髪に白いローブを纏い、どこか神々しい雰囲気を纏っている。  

「勇者様！　ようやくお越しいただけましたね！」  
「勇者……？　俺が？」  
「はい！　その手に持つ聖なる刃、『ギロティナ』こそが魔王を討つ唯一の武器です！」  

男は目を白黒させた。
「いやいや、なんでギロチンの刃が武器なんだよ！」  

少女は微笑む。
「この世界では、罪を裁く力こそが最大の正義。そしてギロティナは、魔王の心に巣食う『偽りの罪』を断つ神器なのです！」  

「……いや、待てよ。俺、冤罪で死刑になったんだけど？　罪を裁くとか、皮肉すぎないか？」  
「それこそが選ばれし理由です！　冤罪で命を奪われたあなたこそ、真の正義を見極める力を持っています！」  

男はため息をついた。
「なんか納得いかねぇけど、戻る方法もなさそうだし……やるしかないのか。」  

こうして、男は「ギロティナ」を振るい、異世界の平和を取り戻すべく冒険に出ることとなった。  

しかし、彼の心には常に疑問があった。  
――この世界の「正義」とは、本当に正しいものなのか？  

そして物語の結末で、彼は驚愕の事実に直面することになる。  
「魔王……お前、俺と同じく冤罪でここに送られたのか？」  

物語の刃は、真実の上を滑る――次に断ち切られるのは、果たして誰の運命か。