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#103 異世界リクエスト転生譚

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天野悠真(あまのゆうま)は、異世界転生ものの小説が好きな平凡な大学生だった。ある日、オンラインで「異世界転生ライトノベルのリクエスト」を投稿する掲示板を見つけた。以来、自分なりのアイデアを投稿して楽しんでいたが、ある晩、彼が特に練り上げたリクエストを投稿した瞬間、スマホから光が放たれた。

気づいたとき、悠真は見知らぬ森の中に立っていた。

「……え? どこだ、ここ?」

目の前には不気味な文字が浮かんでいた。

「リクエスト受理しました。」

悠真は驚愕した。自分のリクエストそのものが、この世界に具現化しているのだ。
彼が投稿した内容は、「一見無力だが、リクエストすることでどんな力も得られる主人公」だった。つまり、この異世界では「リクエストを行う」ことで、悠真はどんな能力も手に入れられる設定になっていたのだ。

試しに口に出してみる。

「えーっと……『強力な剣が欲しい』!」

すると、目の前の空間が歪み、黒く輝く剣が現れた。悠真がそれを握ると、力がみなぎるような感覚がした。彼の心は興奮に満ちた。

「これ……最強じゃないか?」

しかし、すぐに気づく。リクエストを使うたびに、「リクエストしたものの代償」が何かしらの形で現れることに。

例えば、「強力な剣」を手に入れた代償として、彼の体力は半分以下になり、衰弱してしまった。また、「美しい魔法の鎧」をリクエストした際には、周囲の人々から嫉妬され、村から追放される羽目になった。

それでも、悠真の冒険は続く。リクエスト能力を使いこなしながら、彼は次第にこの世界の謎を知っていく。

この世界の真の創造主は、「リクエストされたものでしか動けない存在」だった。そして、彼自身がこの異世界の鍵を握る存在として呼ばれたことを知る。すべての物語を動かす能力を持つ反面、作り手である彼はいつでも消される運命にあった。

「この世界の命運はお前のリクエストにかかっている」
と告げられた悠真は、最終的な決断を迫られた。

悠真は自分の代償を覚悟し、最後のリクエストを叫んだ。

「この世界を本当の意味で自由にしてくれ!」

その瞬間、彼の体は光に包まれ、世界が解放されるのを感じた。彼のリクエスト能力は失われたが、異世界は自らの力で未来を紡ぐ自由を得たのだ。

悠真が元の世界に戻ると、スマホに一言だけメッセージが残っていた。

「リクエスト、ありがとうございました。」

彼は微笑み、また新たな物語を書き込んだ。
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