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#82 異世界の女子トイレ

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目を開けると、そこは見覚えのない場所だった。周囲には荒れ果てた建物が並び、薄暗い空がどこまでも広がっている。私は呆然と立ち尽くしていたが、目の前に現れたのは一人の男性冒険者。彼の手には剣が握られ、顔には焦燥が浮かんでいた。

「君も、異世界に転生したのか?」

異世界転生? 私はただの女子高生だ。だが、状況はそれを否定しているようだった。ふと、私は目の前にある小屋に目を向けた。それはあまりにも現実的なものだった。木製のドアに白い看板――「女子トイレ」の文字。

「ここは……女子トイレ?」

「異世界でもそんな施設が?」

男性冒険者が驚きの表情を浮かべているが、私の頭の中では一つの疑問が渦巻いていた。なぜ、この異世界に女子トイレが存在するのか? しかも、ここは荒れ果てた世界だというのに、まるで生きているかのように存在感を放っている。

私がそのドアを開けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。どこか幻想的な雰囲気を持つ空間。豪華な洗面台に、煌めく鏡。まるで異世界の王宮にでも迷い込んだかのような、信じられない美しさだった。

「どうしてこんなところに……?」

私は呆然とした。だが、気づいた時には遅かった。突然、鏡の中から異世界の住人が現れた。彼女は手を広げ、私に向かって言った。

「選ばれし者よ、ようこそ。」

私は無意識にトイレの個室に飛び込んでいた。そして、個室の中で次々と不思議な声が聞こえてきた。

「女子トイレを守護せし者よ。」

「異世界の危機を救いたまえ。」

「さあ、任務を果たす時が来た!」

私はただの女子高生だ。トイレを守護するなんて、あり得ない話だ。それでも、鏡の中の彼女は続けて言った。

「君にはこの力がある。選ばれた力だ。」

その瞬間、私は不思議な力が体中に満ちるのを感じた。トイレの個室が、まるで異世界への扉のように輝き始めた。

「トイレの力?」
私は驚きながらも、その力に導かれるまま異世界の戦いへと足を踏み入れた。

不安はあったが、なんとなく心の中で感じるものがあった。それは――私が女子トイレに選ばれた理由なのだろうと。

異世界の英雄として、私の冒険が今、始まった。


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