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#78 異世界の求人情報
しおりを挟む「えーっと……『魔王討伐に協力してくださる人材募集』?」
平凡なサラリーマンだった俺は、仕事中に突然、書類に埋もれて死んでしまった。そして次の瞬間には、見知らぬ森の中で目を覚ました。どうやら、いわゆる「異世界転生」というやつらしい。
少し歩くと、街に着き、求人ボードが目に入った。「魔王討伐チーム」? ふざけた名前だと思ったが、気になる文章が目に留まる。
募集要項
募集職種:剣士、魔法使い、僧侶、サポート役全般
仕事内容:魔王討伐を目的とした、冒険チームの一員としての活動。
求めるスキル:
剣術、魔法、回復術のいずれか
チームワークを重視できる方
転生者歓迎!(実務未経験者も応募可能)
給与・待遇:倒したモンスターから得られるアイテムを分配、魔王討伐成功時には特別報酬あり。
福利厚生:ポーション支給、訓練所無料使用、墓場での即日復活制度
「墓場での即日復活制度って、どういうことだ……?」
俺は不安に思いながらも、気づけば足は求人の貼り紙が示す事務所へ向かっていた。
事務所に入ると、カウンターには派手な鎧を着た男が待っていた。
「おう、新入りか? 転生者だな? 履歴書はいらねえ、手早くいこうぜ! 剣は持てるか?」
「い、いや、剣は使ったことないんですが……」
男はにやりと笑った。
「問題ない、うちのメンバーはほとんど素人だ。それに魔王なんぞ、なんだかんだで倒される運命だって言われてんだ」
言い方に不安を覚えたが、背に腹はかえられない。この異世界で生き抜くためには、何か仕事が必要だ。それに魔王討伐なんて、冒険者らしい響きがいい。
「やってみます!」
俺は思わずそう言ってしまった。
その日から、俺の「魔王討伐チーム」での冒険者生活が始まった。毎日訓練に励み、魔物相手に悪戦苦闘するものの、何度も「即日復活制度」にお世話になった。それでも、仲間と共に戦い、少しずつ成長していく自分に気づいた。
数ヶ月後、ついに俺たちは魔王城へとたどり着いた。薄暗い玉座に座る魔王は、俺たちを見下ろし、重々しい声で言い放った。
「貴様らのような素人に、我が倒せるとでも思うか?」
だが、その瞬間、ふとした気持ちが湧き上がった。仲間と一緒なら、きっと倒せる。俺は勇気を振り絞り、仲間たちと共に魔王へと立ち向かった――。
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