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#42 独立の自由
しおりを挟む異世界に転生した少年・隆一は、ある日突然、大陸を支配する帝国の圧政下にある小国の下に、生まれ変わった。彼が転生したのは、まさにその国が独立を求める反乱を計画している最中だった。
反乱軍のリーダーたちは、なぜか「神の予言により導かれし救世主」として隆一を担ぎ出そうとする。
「おいおい、僕はただの高校生だったんだけど……。救世主なんて聞いてないぞ?」
しかし、彼らにとって予言は絶対的であり、背後にあるのは圧倒的な信仰心。言い訳をする余地はなかった。
「救世主様、我らが自由を得るために、どうかお導きを!」
隆一は戦略も戦術も何も知らない。だが、彼はふとある歴史を思い出す。かつて独立を成し遂げた国の指導者たちが何をしたのか。
「独立か……。じゃあ、まずは交渉から始めよう」
反乱軍のリーダーたちは目を見張る。
「交渉……ですか? それは無謀すぎます!」
隆一は冷静に答える。
「無謀なのは戦争だよ。最初から命を賭けるのは、勝算がないと無意味だ。でも、言葉には力がある。それに、相手は強大すぎる。だからこそ、まずは話し合いの場を作るんだ」
彼の指導に従い、反乱軍は意外なことに和平の使者を帝国に送った。帝国は「救世主」の名のもとに警戒し、事態を収めるために交渉の場に応じた。
帝国との交渉の場で、隆一は堂々と発言する。
「あなた方の圧政は、この地に不幸をもたらしている。独立は避けられない。戦いではなく、平和的に手を引いてもらおう」
そして、帝国の代表は言う。
「ならば、独立後の責任はお前にある。支配者の座に座る覚悟はあるか?」
隆一は一瞬考え、にっこりと笑った。
「支配者? そんなの興味ないよ。ただ、僕はみんなが自由に生きられる世界が欲しいだけなんだ」
数か月後、小国は平和的に独立を勝ち取り、隆一は「救世主」として語り継がれることになった。
だが、彼はその後すぐに行方をくらませた。新たな国を支配することよりも、次の「独立」を求める冒険を選んだのだ。
「僕が欲しいのは、誰かを支配する力じゃなくて、自分の道を選ぶ自由さ」
こうして、隆一は自由の布教者として、異世界を旅し続けた。
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