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#40 永すぎた悲劇に終止符を
しおりを挟む彼は転生した。名も知らぬ異世界、崩れた城壁の中で目覚めた瞬間、自分がこの世界の「救世主」であることを告げられた。
世界は何百年にもわたる戦争に苦しんでおり、彼こそがその終止符を打つ存在だと言う。彼は無力な少年の姿をしていたが、内に秘めた力は膨大だった。
「君が来たことで、やっとこの長き戦乱に終わりが見える」
と、女王が感極まった表情で語りかける。
だが、彼は眉をひそめた。記憶の片隅に、一つの予感があった。
彼はかつて、何度もこの世界に転生していた。そして、何度も同じことを言われた。「終止符を打ってくれ」と。
彼は思い出した。この戦争は、無限に繰り返される悲劇のループだった。数千年もの間、何人もの転生者が同じように送り込まれ、救世主となるはずだったが、彼らが戦乱を終えるたびに新たな戦争が生まれ、世界は再び苦しむ。
「またか……」
彼はその場で立ち上がり、剣を抜いた。そして、女王に向けてこう言った。
「終止符を打つには、もう一つの敵がいる。戦争を止めた救世主を、次の戦争の火種にしている者だ」
女王の顔が一瞬凍りつき、しかし笑みを浮かべた。
「よく気づいたわね。だが、君に勝てるわけがない」
彼はその言葉を無視し、剣を振り下ろした。彼が戦うべき本当の敵、それは平和の名のもとに世界を支配し続ける「永遠の悲劇」だった。
剣が女王の胸を貫いたとき、世界は静かに終わりを迎えた。戦争も、救世主も、すべてが消え去った。これこそ、彼が本当に打つべき「終止符」だったのだ。
「やっと……終わったか」
彼は満足げに空を見上げ、崩れゆく世界と共に消えていった。
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