🎊異世界転生が流行っているので１ミリも知らないけど書いてみたら何か良作が生まれた件 （▶20から毎日投稿挑戦開始）

#25 オーロラから生まれる物語

夜空にオーロラが広がる。
澄んだ空気の中、主人公・一ノ瀬涼は、天を仰ぎながらふとした違和感を覚えた。光のカーテンがゆらゆらと揺れる中、彼の視界がかすかに歪んだ。瞬き一つ、気づけばそこは知らぬ地。

「ここは……どこだ？」

周囲を見渡すと、銀色の砂漠が広がり、オーロラが地面にまで伸び、彼の周りを包み込んでいた。
涼が足を踏み出すと、砂がやけに柔らかく、まるで意志を持っているかのように彼の足元を撫でた。

突然、目の前に現れたのは、銀色に輝く狼。だが、その目には知性が宿り、口を開く。

「ようこそ、星渡りの地へ。お前は選ばれたのだ。」

涼は戸惑ったが、同時にその言葉が心に響いた。選ばれた？　 一体何に？　狼は続ける。

「お前が見たオーロラは、この世界とお前の世界をつなぐ道だ。だが、その道は閉じられる寸前だった。お前が最後の一人だ。」

涼は全く状況が理解できなかったが、狼の視線が鋭くなる。

「選択肢は二つ。戻るか、ここに残るか。この世界は、流れる光のように移ろい、形を持たない。だが、ここで生きる者は全て、無限の可能性を持つ。」

涼は静かに考えた。彼の世界には、平凡な日常と空虚があった。オーロラの向こうに広がる未知の地には、何かが待っている気がした。

「残る。」
そう言い放った瞬間、涼の体は光に包まれた。

狼は静かにうなずき、言葉を残す。
「お前は今、オーロラそのものだ。形を持たぬまま、世界を創り変える者となる。」

そして涼は消えた。いや、消えたのではなく、光そのものとなり、無限の世界を渡り歩く存在へと変わったのだ。

果てしない空のどこかで、新たな物語が、光と共に始まり出した……。