20 / 177
#20 異世界の考古学 ❖ここから毎日投稿挑戦!
しおりを挟む考古学者の田村一郎は、遺跡の発掘現場でついに夢にまで見た古代文明の秘宝を発見した。黄金に輝くそれは、何か不気味な力を宿しているかのようだった。
「これだ……! ずっと探していたものが……!」
一郎は震える手で遺物を握りしめた瞬間、足元が崩れ、奈落の闇へと飲み込まれた。
目を覚ますと、彼は見知らぬ世界に立っていた。空は紫色に染まり、周囲には見たこともない植物や岩が浮かんでいた。驚きと混乱で胸がいっぱいになる。
「どこだ、ここは……? 夢か? いや、あまりにリアルすぎる……」
手元には発掘道具だけが残っていた。彼を引き寄せるかのように、巨大な神殿が目の前にそびえ立っていた。そこには、今まで調べていた遺物と酷似したものが並んでいた。
「まさか……転生なんてあり得るのか? こんなことが……」
神殿内で古い石碑を読み取ると、背後から声が響いた。
「お前はこの世界に呼ばれた者だ。選ばれし考古学者よ。」
黒いローブをまとった謎の人物が現れ、こう続ける。
「この遺跡の力を誤れば、この世界は崩壊する。だが、正しく使えば未来は開ける。すべてはお前にかかっている。」
一郎はその言葉に背筋を伸ばし、決意を新たにした。
「俺は考古学者だ。この世界の真実を解き明かすために全力を尽くす。それが未来を救うことになるなら、なおさらだ。」
彼は神殿の奥へと進み、ついに遺物の核心へとたどり着いた。そこには巨大な石の扉があり、彼が手にした秘宝が扉を開ける鍵だった。しかし、扉の向こうからは強烈な暗黒の気配が漂っていた。
「これが……悪しき力か……」
一郎の手は震えていた。だが、遺物の封印を解かねば、この世界の真実も未来も手に入らない。覚悟を決め、扉を開けたその瞬間、黒い霧が一気に吹き出し、一郎を包み込んだ。
「くっ……!」
激しい頭痛と共に、一郎の意識は闇に沈みかけた。しかし、その時、彼の耳に誰かの声が聞こえた。
「負けるな……一郎。お前は知識でこの力を制御できる……!」
それは、一郎が師匠として敬っていた故人の声だった。彼はかつて学んだ知識と経験を思い出し、心を落ち着かせた。冷静に遺物の力を操作し、黒い霧を鎮め始めた。
「そうだ……これが遺物の真の使い方だ……!」
黒い霧は徐々に消え去り、代わりに遺物からは温かな光が放たれた。それは、この世界を救うための力だった。
「やった……俺は成功したんだ……!」
一郎はその場に膝をつき、深く息をついた。目の前には、かつての古代文明が築いた美しい光景が広がっていた。彼の知識が、この世界の未来を救ったのだ。
「俺は考古学者だ。この世界の歴史も、未来も、これから俺が守っていくんだ……」
こうして、田村一郎は異世界の考古学者として、新たな使命を胸に抱きながらこの世界を歩み続けることを決意した。
地球の歴史が異世界に置き換えられたことを知る者は誰もいなかった……。
1
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…


だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。



あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?

てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました
お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる