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#20 異世界の考古学 ❖ここから毎日投稿挑戦!
しおりを挟む考古学者の田村一郎は、遺跡の発掘現場でついに夢にまで見た古代文明の秘宝を発見した。黄金に輝くそれは、何か不気味な力を宿しているかのようだった。
「これだ……! ずっと探していたものが……!」
一郎は震える手で遺物を握りしめた瞬間、足元が崩れ、奈落の闇へと飲み込まれた。
目を覚ますと、彼は見知らぬ世界に立っていた。空は紫色に染まり、周囲には見たこともない植物や岩が浮かんでいた。驚きと混乱で胸がいっぱいになる。
「どこだ、ここは……? 夢か? いや、あまりにリアルすぎる……」
手元には発掘道具だけが残っていた。彼を引き寄せるかのように、巨大な神殿が目の前にそびえ立っていた。そこには、今まで調べていた遺物と酷似したものが並んでいた。
「まさか……転生なんてあり得るのか? こんなことが……」
神殿内で古い石碑を読み取ると、背後から声が響いた。
「お前はこの世界に呼ばれた者だ。選ばれし考古学者よ。」
黒いローブをまとった謎の人物が現れ、こう続ける。
「この遺跡の力を誤れば、この世界は崩壊する。だが、正しく使えば未来は開ける。すべてはお前にかかっている。」
一郎はその言葉に背筋を伸ばし、決意を新たにした。
「俺は考古学者だ。この世界の真実を解き明かすために全力を尽くす。それが未来を救うことになるなら、なおさらだ。」
彼は神殿の奥へと進み、ついに遺物の核心へとたどり着いた。そこには巨大な石の扉があり、彼が手にした秘宝が扉を開ける鍵だった。しかし、扉の向こうからは強烈な暗黒の気配が漂っていた。
「これが……悪しき力か……」
一郎の手は震えていた。だが、遺物の封印を解かねば、この世界の真実も未来も手に入らない。覚悟を決め、扉を開けたその瞬間、黒い霧が一気に吹き出し、一郎を包み込んだ。
「くっ……!」
激しい頭痛と共に、一郎の意識は闇に沈みかけた。しかし、その時、彼の耳に誰かの声が聞こえた。
「負けるな……一郎。お前は知識でこの力を制御できる……!」
それは、一郎が師匠として敬っていた故人の声だった。彼はかつて学んだ知識と経験を思い出し、心を落ち着かせた。冷静に遺物の力を操作し、黒い霧を鎮め始めた。
「そうだ……これが遺物の真の使い方だ……!」
黒い霧は徐々に消え去り、代わりに遺物からは温かな光が放たれた。それは、この世界を救うための力だった。
「やった……俺は成功したんだ……!」
一郎はその場に膝をつき、深く息をついた。目の前には、かつての古代文明が築いた美しい光景が広がっていた。彼の知識が、この世界の未来を救ったのだ。
「俺は考古学者だ。この世界の歴史も、未来も、これから俺が守っていくんだ……」
こうして、田村一郎は異世界の考古学者として、新たな使命を胸に抱きながらこの世界を歩み続けることを決意した。
地球の歴史が異世界に置き換えられたことを知る者は誰もいなかった……。
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