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#11 カスタマイズMAX
しおりを挟む「また異世界転生か……」
目を覚ますと、俺は見知らぬ森の中にいた。見慣れない草花や動物が周りを囲み、どう見ても現実の世界ではない。これが、噂に聞く異世界転生というやつか。しかし、普通の異世界転生と違う点が一つあった。
「カスタマイズ……?」
目の前に浮かぶホログラムのような画面には、「カスタマイズ開始」と書かれている。俺はおもむろにその文字をタップしてみた。
画面が変わり、キャラクター作成画面のようなものが現れた。そこには、性別や外見、スキルや特技など、細かく設定できる項目が並んでいる。
「これは……面白そうだな」
俺は、まずは基本的な外見からカスタマイズしていった。現実世界では平凡な外見だった俺だが、ここでは理想の自分を作り上げることができる。髪の色を銀色に、目の色は深い青に設定し、筋肉質な体型に変更した。
次に、スキルのカスタマイズだ。画面には数多くのスキルがリストアップされている。剣術や魔法、錬金術に至るまで、何でも選べる。
「これだけ選べるなら……」
俺は思い切って、全部のスキルを最大値に設定した。ホログラムの説明には、「自由なカスタマイズが可能」と書かれていたからだ。
「よし、これで完成!」
完成ボタンを押すと、俺の体が光に包まれ、気が付くと先ほどの森の中に戻っていた。しかし、今度は何かが違う。体が軽く、力がみなぎっている。
「これなら、どんな敵でも倒せる!」
自信満々で森を進んでいくと、巨大なドラゴンが現れた。普通なら恐怖で動けなくなるところだが、俺には最強のスキルがある。
「行くぞ!」
一瞬でドラゴンの前に立ち、手を振り下ろす。ドラゴンは一撃で倒れ、その場に崩れ落ちた。俺は勝ち誇ったように立ち上がる。
「ふふん、これがカスタマイズの力だ」
しかし、次の瞬間、画面が再び現れた。そこには「バランス調整中」と書かれている。そして、俺のスキルポイントが一気に0に設定された。
「え、そんな……」
途端に体が重くなり、立っているのがやっとの状態になった。ドラゴンの死体の下敷きになりかけながら、俺は悟った。
「カスタマイズにも限度があるのか……」
そうして、異世界での俺の冒険は、一瞬にして終わりを迎えた。
カスタマイズ調整が終わったときには、もはや再起不能だったのだ・・・。
欲張らないことが近道という教訓だった。
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