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Happy new world
3.My dear sisters 〜久しぶりだね《はじめまして》。〜
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久しぶりの母さんとのランチを終えて部屋に戻った俺は、記憶を手繰り寄せながらこれからやりたい事のヒントを探す為にPCと向き合っていた。
様々な情報を見ていて〈やってみた動画〉と呼ばれる、YourTubeという動画サイトを見つけ、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりしているのを視聴していて興味が湧いてきた。
「へぇ~、コレ面白そうだなぁ。学校と両立出来そうだしやってみたいな」
優哉としてこれまで習い事をそれなりにしていて、ピアノとギター位なら弾けるし、ダンスも何とかなりそう感じで、音痴でも無いっぽいので何かやれるかも?と考えていた。前世でも一通りの貴族教育を受けていたし、厳しい授業だったのでかなり努力していた。
特にダンスのステップとピアノに関しては自信がある。地球でいうところの社交ダンスではあるが。
「問題は配信環境を整える事かな?」
動画投稿するような機材はもちろん無いので、母さんに相談して買ってもらう必要がある。
比較的お金には困って無さそうな榊家ではあるが、安い買い物では無いのでしっかりとプレゼンしなくちゃいけないだろうと思う。
ただ男の少ない世の中なので、動画投稿自体を許可してもらえるかが1番の難関なのだけど。
「...後できちんと話し合わなきゃな」
そんな事をしていると、玄関の扉が開き誰かが帰宅した音が聞こえてきた。まぁ消去法で妹だと分かっているのだけど。
『...いまー!....ちゃんが?!』
『えっ!?....ントに?...』
バタバタと階段を駆け上がる音、両隣りの部屋の扉がそれぞれ開いては閉まるバタンッ、バタンッと賑やかな音と人の気配が伝わってくる。
再度扉の開閉があり、少ししてから俺の部屋の扉がノックされた。
「優兄ちゃん、ただいま。今いい?今日お昼ご飯ママと一緒に食べたってホント?ねぇ、お部屋から出たの?私も優兄ちゃんとお話したい!ねぇ、ダメ?」
「優兄。私達とも一緒にオヤツを食べるべき」
双子の妹達が扉越しに捲し立てながら話してくる。そんな状況でも決して、いきなり扉を開けない優しい妹達に、嬉しくも寂しい思いをさせてきた事に、少し悲しくなる。
これからまた仲良くしていこうと、扉を開けて笑顔で話し掛けた。
「お帰り、2人共。今まで心配かけてごめんな。これから沢山仲良くしてくれるかい?」
ーーーッ!!!
2人は口を大きくあけたまま、双子らしく息ぴったりの反応をした。
「ふふふっ。何て顔をしてるんだよ。俺の顔に何かついてるか?」
ブンブンと音が鳴りそうなくらい首を横に振る2人は、そんな行動までしっかりとシンクロしていた。
「ち、違う!ゆ、優兄ちゃん、お顔見たの久しぶり!すっごくビックリしたッ!」
「ん、反則級の笑顔。3年振りの優兄、恐るべし」
双子の妹達は容姿はそっくりだが、話し方や性格は個性がしっかり出る。
俺の事を〈優兄ちゃん〉と呼ぶのは次女の【榊 美月】、〈優兄〉と呼ぶのは長女の【榊 朔夜】。まぁ産まれてきた時間の僅差だけなのでお互いに姉とか妹とかは全く感じておらず、小さい頃から一心同体といったところらしい。2人共、心根の優しいとても良い子達だ。
因みに名付けは祖母である(祖母も溺愛している)。
「そうか?久しぶりだからそう感じるのかもな。さぁ、リビングに行って皆んなでおやつを食べよう」
「は~い!」
「り!」
リビングに移動した俺達はソファに座り、母さん手作りのお菓子を食べ始める。
「そうだ!折角のマドレーヌだから紅茶を淹れるよ」
そう言うと、母さんが『私が淹れるわ』と言うが、俺は『大丈夫だよ、俺にやらせて』と、席を立ち紅茶の用意を始める。
カチャカチャとスムーズに紅茶を淹れて皆に配ると、3人から驚いた顔で俺を見ていた。
「さぁ、冷めないうちに召し上がれ」
「ゆ、優君?いつの間に紅茶淹れれるようになったの?」
「優兄ちゃん、何か執事さん?みたい!」
「動きが洗練されてる。プロ並み?」
優哉として初めて淹れた紅茶に3人共ビックリしたみたいだが、飲むと揃って『美味しい』とお褒めの言葉を頂けた。
これは前世で学んだ事なので、ある意味でプロと言うのは正しいのかな?あの超厳しい(俺にだけかもしれないが)執事長のロイスさんにギリギリ及第点をもらった、俺の数少ない特技の1つだからな。
兎に角、みんながティータイムを楽しんでくれる為なら頑張り甲斐があるというものだ。
「(この世界では)初めて淹れたよ。ネットの中でそういう動画があったから、見様見真似だよ」
「すごく美味しいよ、優君!」
「美味しいー!」
「お金取れるレベル」
「そう?喜んで貰えて良かった」
「...♡」
「うわぁ...」
「ヤバぃ...」
そう返すと、3人は頬を赤らめながら上目遣いで俺を見てきた。
「ほわぁ...優兄ちゃんの笑顔、キレイ...」
「コレはヤバいやつ...反則」
「優君♡天使様♡」
本当に可愛らしい反応をする妹達にほっこりすると同時に、母さんから感じる熱い視線に少々戸惑いながらティータイムは穏やかに過ぎていく。
ちょうど家族が揃っているから良い機会だと、先程考えていた事を相談する事に。
「そういえば話変わるんだけど、俺、動画投稿してみたいなぁって考えてるんだけど、どう思う?夜の空いた時間にやれば学校とかに支障は出ないと思うんだけど」
「え?」
「は?」
「ま?」
3人揃って同じ反応を見ると、血の繋がった親娘だなぁと微笑ましく思っていたのも束の間、
「優君!動画投稿って、優君のお顔を世の中に晒して発信するんだよ!?」
「優兄ちゃん、それはちょっと危なくないかな~?」
「ん。ゼッタイ大騒動になる」
...どうやら俺が思っていたよりも、世間では男が与える影響力は大きいらしい。
他の男性達は基本的に自分から世の中に何かを発信する事など皆無で、動画に顔を出すのは猛獣の檻に兎を入れる様なモノ(それくらい危ないぞって意味らしい)だとか。
じゃあ、他の男性諸君は何をしているかと言うと、最低3人の妻を娶り(義務らしい)定期的に精子バンクに精子提供をして家に篭っているっぽい...それが本人にとって幸せであるのであれば良いかと思うけれども。
...折角生まれ変わったのにそんな人生は絶対に嫌だ。
「俺は世の中の男性達と同じような生き方はしたく無いよ。もちろん、男性優遇策の恩恵を受けている以上、義務である精子提供と一夫多妻制の件はきちんと考えるけど、だからといってやりたい事まで制限された人生を過ごしたくないんだ」
やっと、やっと掴んだ自由への切符を、破り捨てるような選択はしたくない。
「一度きりの人生なんだから、やりたい事にチャレンジしたい。家族のみんなとももっと仲良くしたいし、沢山の楽しい思い出をつくっていきたいんだ」
「......」
「......」
「......そう、なのね...」
少しの沈黙の後、母さんが決意した表情で口を開いた。
「....わかったわ。優君がやりたい事をやりなさい。お母さんは応援する!!」
「ママッ!?」
「本気!?」
「貴女達もお兄ちゃんを信じて、助けてあげてくれない?優君が頑張ろうとしているのを皆で支えていきましょう?」
「...うん!私も優兄ちゃんを助ける!」
「...分かった、私に任せて!」
「ありがとう!みんな!」
真剣に考えて、心配し、支えてくれる家族の温かさに、感動して少しうるっときてしまった。
本当にいい家族だよ。
その後、動画投稿の機材の買い出しのために家族でお出掛けの予定を決めたり、妹達の学校での出来事を聞いたりしながら、楽しい時間を過ごした。
機材の費用は俺の貯金が結構な金額になっているらしく、そこから出すということに。
そろそろ夕飯の準備をするわ、と母さんが席を外し、妹達も宿題をやらなきゃ、とそれぞれ部屋に戻っていった。
俺も自室に戻り、ベッドに仰向けに寝転がる。
「妹達も良い子達だったな。兄として恥ずかしく無いように頑張らなきゃな」
可愛い妹達に元気をもらい、これからの人生が益々楽しみになった。
前世の妹達には、兄らしい事を何一つしてやれなかった分、今世の妹達にはいっぱいしてあげようと心から思う。
「美月、朔夜。久しぶりだね。これからもよろしくな」
様々な情報を見ていて〈やってみた動画〉と呼ばれる、YourTubeという動画サイトを見つけ、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりしているのを視聴していて興味が湧いてきた。
「へぇ~、コレ面白そうだなぁ。学校と両立出来そうだしやってみたいな」
優哉としてこれまで習い事をそれなりにしていて、ピアノとギター位なら弾けるし、ダンスも何とかなりそう感じで、音痴でも無いっぽいので何かやれるかも?と考えていた。前世でも一通りの貴族教育を受けていたし、厳しい授業だったのでかなり努力していた。
特にダンスのステップとピアノに関しては自信がある。地球でいうところの社交ダンスではあるが。
「問題は配信環境を整える事かな?」
動画投稿するような機材はもちろん無いので、母さんに相談して買ってもらう必要がある。
比較的お金には困って無さそうな榊家ではあるが、安い買い物では無いのでしっかりとプレゼンしなくちゃいけないだろうと思う。
ただ男の少ない世の中なので、動画投稿自体を許可してもらえるかが1番の難関なのだけど。
「...後できちんと話し合わなきゃな」
そんな事をしていると、玄関の扉が開き誰かが帰宅した音が聞こえてきた。まぁ消去法で妹だと分かっているのだけど。
『...いまー!....ちゃんが?!』
『えっ!?....ントに?...』
バタバタと階段を駆け上がる音、両隣りの部屋の扉がそれぞれ開いては閉まるバタンッ、バタンッと賑やかな音と人の気配が伝わってくる。
再度扉の開閉があり、少ししてから俺の部屋の扉がノックされた。
「優兄ちゃん、ただいま。今いい?今日お昼ご飯ママと一緒に食べたってホント?ねぇ、お部屋から出たの?私も優兄ちゃんとお話したい!ねぇ、ダメ?」
「優兄。私達とも一緒にオヤツを食べるべき」
双子の妹達が扉越しに捲し立てながら話してくる。そんな状況でも決して、いきなり扉を開けない優しい妹達に、嬉しくも寂しい思いをさせてきた事に、少し悲しくなる。
これからまた仲良くしていこうと、扉を開けて笑顔で話し掛けた。
「お帰り、2人共。今まで心配かけてごめんな。これから沢山仲良くしてくれるかい?」
ーーーッ!!!
2人は口を大きくあけたまま、双子らしく息ぴったりの反応をした。
「ふふふっ。何て顔をしてるんだよ。俺の顔に何かついてるか?」
ブンブンと音が鳴りそうなくらい首を横に振る2人は、そんな行動までしっかりとシンクロしていた。
「ち、違う!ゆ、優兄ちゃん、お顔見たの久しぶり!すっごくビックリしたッ!」
「ん、反則級の笑顔。3年振りの優兄、恐るべし」
双子の妹達は容姿はそっくりだが、話し方や性格は個性がしっかり出る。
俺の事を〈優兄ちゃん〉と呼ぶのは次女の【榊 美月】、〈優兄〉と呼ぶのは長女の【榊 朔夜】。まぁ産まれてきた時間の僅差だけなのでお互いに姉とか妹とかは全く感じておらず、小さい頃から一心同体といったところらしい。2人共、心根の優しいとても良い子達だ。
因みに名付けは祖母である(祖母も溺愛している)。
「そうか?久しぶりだからそう感じるのかもな。さぁ、リビングに行って皆んなでおやつを食べよう」
「は~い!」
「り!」
リビングに移動した俺達はソファに座り、母さん手作りのお菓子を食べ始める。
「そうだ!折角のマドレーヌだから紅茶を淹れるよ」
そう言うと、母さんが『私が淹れるわ』と言うが、俺は『大丈夫だよ、俺にやらせて』と、席を立ち紅茶の用意を始める。
カチャカチャとスムーズに紅茶を淹れて皆に配ると、3人から驚いた顔で俺を見ていた。
「さぁ、冷めないうちに召し上がれ」
「ゆ、優君?いつの間に紅茶淹れれるようになったの?」
「優兄ちゃん、何か執事さん?みたい!」
「動きが洗練されてる。プロ並み?」
優哉として初めて淹れた紅茶に3人共ビックリしたみたいだが、飲むと揃って『美味しい』とお褒めの言葉を頂けた。
これは前世で学んだ事なので、ある意味でプロと言うのは正しいのかな?あの超厳しい(俺にだけかもしれないが)執事長のロイスさんにギリギリ及第点をもらった、俺の数少ない特技の1つだからな。
兎に角、みんながティータイムを楽しんでくれる為なら頑張り甲斐があるというものだ。
「(この世界では)初めて淹れたよ。ネットの中でそういう動画があったから、見様見真似だよ」
「すごく美味しいよ、優君!」
「美味しいー!」
「お金取れるレベル」
「そう?喜んで貰えて良かった」
「...♡」
「うわぁ...」
「ヤバぃ...」
そう返すと、3人は頬を赤らめながら上目遣いで俺を見てきた。
「ほわぁ...優兄ちゃんの笑顔、キレイ...」
「コレはヤバいやつ...反則」
「優君♡天使様♡」
本当に可愛らしい反応をする妹達にほっこりすると同時に、母さんから感じる熱い視線に少々戸惑いながらティータイムは穏やかに過ぎていく。
ちょうど家族が揃っているから良い機会だと、先程考えていた事を相談する事に。
「そういえば話変わるんだけど、俺、動画投稿してみたいなぁって考えてるんだけど、どう思う?夜の空いた時間にやれば学校とかに支障は出ないと思うんだけど」
「え?」
「は?」
「ま?」
3人揃って同じ反応を見ると、血の繋がった親娘だなぁと微笑ましく思っていたのも束の間、
「優君!動画投稿って、優君のお顔を世の中に晒して発信するんだよ!?」
「優兄ちゃん、それはちょっと危なくないかな~?」
「ん。ゼッタイ大騒動になる」
...どうやら俺が思っていたよりも、世間では男が与える影響力は大きいらしい。
他の男性達は基本的に自分から世の中に何かを発信する事など皆無で、動画に顔を出すのは猛獣の檻に兎を入れる様なモノ(それくらい危ないぞって意味らしい)だとか。
じゃあ、他の男性諸君は何をしているかと言うと、最低3人の妻を娶り(義務らしい)定期的に精子バンクに精子提供をして家に篭っているっぽい...それが本人にとって幸せであるのであれば良いかと思うけれども。
...折角生まれ変わったのにそんな人生は絶対に嫌だ。
「俺は世の中の男性達と同じような生き方はしたく無いよ。もちろん、男性優遇策の恩恵を受けている以上、義務である精子提供と一夫多妻制の件はきちんと考えるけど、だからといってやりたい事まで制限された人生を過ごしたくないんだ」
やっと、やっと掴んだ自由への切符を、破り捨てるような選択はしたくない。
「一度きりの人生なんだから、やりたい事にチャレンジしたい。家族のみんなとももっと仲良くしたいし、沢山の楽しい思い出をつくっていきたいんだ」
「......」
「......」
「......そう、なのね...」
少しの沈黙の後、母さんが決意した表情で口を開いた。
「....わかったわ。優君がやりたい事をやりなさい。お母さんは応援する!!」
「ママッ!?」
「本気!?」
「貴女達もお兄ちゃんを信じて、助けてあげてくれない?優君が頑張ろうとしているのを皆で支えていきましょう?」
「...うん!私も優兄ちゃんを助ける!」
「...分かった、私に任せて!」
「ありがとう!みんな!」
真剣に考えて、心配し、支えてくれる家族の温かさに、感動して少しうるっときてしまった。
本当にいい家族だよ。
その後、動画投稿の機材の買い出しのために家族でお出掛けの予定を決めたり、妹達の学校での出来事を聞いたりしながら、楽しい時間を過ごした。
機材の費用は俺の貯金が結構な金額になっているらしく、そこから出すということに。
そろそろ夕飯の準備をするわ、と母さんが席を外し、妹達も宿題をやらなきゃ、とそれぞれ部屋に戻っていった。
俺も自室に戻り、ベッドに仰向けに寝転がる。
「妹達も良い子達だったな。兄として恥ずかしく無いように頑張らなきゃな」
可愛い妹達に元気をもらい、これからの人生が益々楽しみになった。
前世の妹達には、兄らしい事を何一つしてやれなかった分、今世の妹達にはいっぱいしてあげようと心から思う。
「美月、朔夜。久しぶりだね。これからもよろしくな」
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