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Happy new world

2.5.Re contact 〜こちらこそヨロシクね〜

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~榊 美夜みや

 優君が部屋から出てくる日を、どれだけ夢に見てきた事だろう...。

 幼い頃から整った容姿だった優君は、過去に私が目を離した僅かな時間で連れ去られてしまった。数時間後に無事に保護された優君は心に大きな傷を負ってしまい、女性を怖がるようになってしまった。
 そして、中学生になると状況は悪化して部屋に引き篭もるようになってしまった。

 私は自分を責めた。責めても責めても優君が良くなる訳では無いと頭では理解していたが、そうでもしていないと私が壊れてしまいそうだったから。
 母と起こした会社ブランドの軌道が比較的安定するとすぐに、母や会社の人達に無理を言ってリモートワークに切り替えてもらい、優君の心のケアの為に試行錯誤したが、結果は散々だった。
 何一つ上手くいかない日々に、隠れて泣いた。

 今日もお昼ご飯を用意して、優君の部屋へ。
 扉越しに話し掛けても会話にもならない。もう3年近くまともに顔も合わせて居ないが、声を聞くだけでも少し救われた気持ちになれていた。

 でも、今日は。

『ありがとう、母さん。その、今日は一緒に食べたいんだけど良いかな?』

 扉が開き、身長も伸びすっかりイケメンに育った私の、私の愛しい息子がそこに居た。

 涙が止まらない。優君が優しい口調で落ち着かせてくれ、かなり久々に2人で食卓を囲んだランチは味が全く分からなかった。
 色んな話をして、笑い合って、失った時間を取り戻すかのように楽しい時間を過ごすと、突然優君が真剣な表情で伝えてきた。

『母さん、今まで迷惑ばかりかけてごめん。これからは色んな事に挑戦して、人生を楽しみたいんだ。だからさ、これからもよろしくね、母さん』

 ....優君は悪くない!悪いのは私なの!だから謝らないで優君!

 俯いて感情が爆発しそうなのを我慢した後、少し見上げ優君の顔を見るとまるで御伽噺に出てくる天使のような笑顔の優君がそこに居た。
 『貴女は悪くなんか無い。頑張ったね』って言ってくれているようで、涙が溢れてきそうになると同時に、愛しい息子の優君に、男性としての魅力を感じてしまい、顔が真っ赤になるのを自覚した。
 なんとか、明るい口調で誤魔化しながら、こちらこそよろしくね、と伝える事が出来た。
 
 身体の奥が熱い...下腹部がキュンとした。
 目の前の男性が欲しいと、本能が訴えてくる。に戸惑いを隠せなかったが、これが小説とかで読んだ〈恋〉なのかもしれないと気付くと、自分の理性に歯止めが効かなくなっていた。


ーーー優君、私の愛しい優君。私ね、一人の女として、優君の事、好きになっちゃったみたい♡


 部屋に戻って行く優君カレの後ろ姿を見ながら私は、聞こえないくらいの声でもう一度、呟く。


「優君。こちらこそ末長くよろしくね♡」
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