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第2話 伝説の錬金術師
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フレデリカと通信をした翌日の昼。約束の時間になってエクムントは依頼主が治める街の郊外に来て、持っていた辞書のように分厚い本を取り出す。
彼がページを開くと本の文字が光りだし目の前に魔法陣が浮かび上がる。
「召喚……フレデリカ=ノーラ!」
彼がそう言った瞬間、辺りは光に包まれた。それが静まると、魔法陣のあった場所の中心に、1人の女が立っていた。
「やぁフレデリカ。直接会うのは久しぶりだな」
「ええ、久しぶりね。相変わらず冒険者を続けてるのね。そろそろ引退して私の所に来たらどう?」
「召喚されたばかりで何だが早速仕事をしてもらいたい。良いか?」
「もう、そういう話はスルーして。まぁいいわ、行きましょう」
2人は城へと向かった。
「エクムント=バルミングです。ただいま参りました」
「おお、君か。待ってたぞ。で、その隣の女性は?」
「知り合いです。彼女がサポートしてくれることになったんで連れてきたんです」
「そうか……まぁいい。早速来てくれないか?」
現国王に言われ、2人は先代の国王がいる寝室へと向かう。中には酷く老けた男がゼエッ、ゼエッと荒い息をしながら横になっており、彼を見守るようにお抱えの医者が立っていた。
「父上が病に伏せてから1年が経つ。いまだに原因不明で対症療法が精いっぱいで、抱えの医者からは3ヶ月からもって半年だと言われているんだ。頼む、治してくれ」
「分かったわ。じゃあちょっと診てみるね」
フレデリカは診察を始めた。
「ふむふむ、なるほど……やっぱりそうね」
しばらくして……フレデリカが診断を下す。
「肺の病ね。薬のレシピを書くから材料を集めてちょうだい。集まり次第調合するわ」
「あ、ああ。わかった」
国王は彼女が書いたレシピ表を渡される。今の国力なら1日で何とか揃えられる程度には集める難易度は高くはなかった。
「では材料が集まるまで客間で待機していてくれ。明日の昼までには揃わせる」
「分かりました。ではそうしますね」
彼女は去っていった。
「ところでエクムント、と言ったか? 彼女はいったい何者なんだ?」
「フレデリカっていう薬剤師兼医師です」
「そうか、わかった、君も下がってくれ」
彼もフレデリカを追いかけるように先代国王の部屋から去っていった。
「ふーむ……フレデリカフレデリカ……!! まさか!」
2人が去った後、国お抱えの医者がどこかで聞いたことがある彼女の名前にふと気づく。
「? どうした? 何かあるのか?」
「ま、まさか伝説の医師にして薬剤師、フレデリカ=ノーラか!?」
「え? そんなに有名なのか?」
クワッと見開いた目で話す医者に国王はただ事ではないとは分かってはいたが、腑に落ちないまま問いかける。
「有名とかいう次元じゃないですぞ! 世界で10名もいない秘薬エリクサーを調合できる薬剤師にして世界最高の名医ですぞ!?
我々医者からしたらそれこそ雲の上の人というか現人神とさえいえるお方ですぞ! ……後でサインもらっておこうか」
どうやら今回の治療は世界でもトップクラスによるものだったらしい。
国とは言えまだまだ小規模で自力で世界的名医を呼ぶことができず、冒険者ギルドに頼らなくてはいけないほどには貧しい国家運営だったため、
まさか世界に名をはせる程の医者が来るとは思ってもいなかった。
「う~……疲れた」
客間に着くなりフレデリカはベッドで横になる。時刻はまだ昼を過ぎたばかりだというのにもう体力が持たなかったらしい。
「疲れただろう。無理言ってすまない」
エクムントは彼女を気遣ってねぎらいの言葉をかける。
「いいんですよエクムントさんのためなら。ところで、一緒にクスリ屋をやるっていう約束、忘れてないよね?」
「……あなたが一方的に押し付けただけではありませんか。その約束だけは守れませんよ」
「もう。頑固なんだから」
「あなたはもう結婚して子供もいるんでしょ? 彼らの代わりを私が勤めるわけにはいきませんよ。それに、私は生涯をかけて償いをしなくてはいけない。悪いが、それに応えることはできない」
「そりゃ夫や娘たちには感謝してるし大事だけど、諦めたわけじゃないからね」
一応は子持ちの人妻とはいえ、その表情は「恋する乙女」であった。
「ところで最近困ったことは無いか? 良ければすぐに人をよこすぞ」
「特にこれといった事は無いわねぇ。強いて言えばあなたが傍にいないことね」
「それは無理だな。まだ落ち着くには早すぎる」
「そこで意地を張るのは相変わらずね。そこが貴方らしいんだけど」
彼女は話し相手が何年たっても変わらない頑固な部分に残念に思いながらも少し安心した。
【次回予告】
結論から言うと、今回の仕事は無事に終わった。国王はその後順調に回復したという。
第3話 「クエストクリアー」
彼がページを開くと本の文字が光りだし目の前に魔法陣が浮かび上がる。
「召喚……フレデリカ=ノーラ!」
彼がそう言った瞬間、辺りは光に包まれた。それが静まると、魔法陣のあった場所の中心に、1人の女が立っていた。
「やぁフレデリカ。直接会うのは久しぶりだな」
「ええ、久しぶりね。相変わらず冒険者を続けてるのね。そろそろ引退して私の所に来たらどう?」
「召喚されたばかりで何だが早速仕事をしてもらいたい。良いか?」
「もう、そういう話はスルーして。まぁいいわ、行きましょう」
2人は城へと向かった。
「エクムント=バルミングです。ただいま参りました」
「おお、君か。待ってたぞ。で、その隣の女性は?」
「知り合いです。彼女がサポートしてくれることになったんで連れてきたんです」
「そうか……まぁいい。早速来てくれないか?」
現国王に言われ、2人は先代の国王がいる寝室へと向かう。中には酷く老けた男がゼエッ、ゼエッと荒い息をしながら横になっており、彼を見守るようにお抱えの医者が立っていた。
「父上が病に伏せてから1年が経つ。いまだに原因不明で対症療法が精いっぱいで、抱えの医者からは3ヶ月からもって半年だと言われているんだ。頼む、治してくれ」
「分かったわ。じゃあちょっと診てみるね」
フレデリカは診察を始めた。
「ふむふむ、なるほど……やっぱりそうね」
しばらくして……フレデリカが診断を下す。
「肺の病ね。薬のレシピを書くから材料を集めてちょうだい。集まり次第調合するわ」
「あ、ああ。わかった」
国王は彼女が書いたレシピ表を渡される。今の国力なら1日で何とか揃えられる程度には集める難易度は高くはなかった。
「では材料が集まるまで客間で待機していてくれ。明日の昼までには揃わせる」
「分かりました。ではそうしますね」
彼女は去っていった。
「ところでエクムント、と言ったか? 彼女はいったい何者なんだ?」
「フレデリカっていう薬剤師兼医師です」
「そうか、わかった、君も下がってくれ」
彼もフレデリカを追いかけるように先代国王の部屋から去っていった。
「ふーむ……フレデリカフレデリカ……!! まさか!」
2人が去った後、国お抱えの医者がどこかで聞いたことがある彼女の名前にふと気づく。
「? どうした? 何かあるのか?」
「ま、まさか伝説の医師にして薬剤師、フレデリカ=ノーラか!?」
「え? そんなに有名なのか?」
クワッと見開いた目で話す医者に国王はただ事ではないとは分かってはいたが、腑に落ちないまま問いかける。
「有名とかいう次元じゃないですぞ! 世界で10名もいない秘薬エリクサーを調合できる薬剤師にして世界最高の名医ですぞ!?
我々医者からしたらそれこそ雲の上の人というか現人神とさえいえるお方ですぞ! ……後でサインもらっておこうか」
どうやら今回の治療は世界でもトップクラスによるものだったらしい。
国とは言えまだまだ小規模で自力で世界的名医を呼ぶことができず、冒険者ギルドに頼らなくてはいけないほどには貧しい国家運営だったため、
まさか世界に名をはせる程の医者が来るとは思ってもいなかった。
「う~……疲れた」
客間に着くなりフレデリカはベッドで横になる。時刻はまだ昼を過ぎたばかりだというのにもう体力が持たなかったらしい。
「疲れただろう。無理言ってすまない」
エクムントは彼女を気遣ってねぎらいの言葉をかける。
「いいんですよエクムントさんのためなら。ところで、一緒にクスリ屋をやるっていう約束、忘れてないよね?」
「……あなたが一方的に押し付けただけではありませんか。その約束だけは守れませんよ」
「もう。頑固なんだから」
「あなたはもう結婚して子供もいるんでしょ? 彼らの代わりを私が勤めるわけにはいきませんよ。それに、私は生涯をかけて償いをしなくてはいけない。悪いが、それに応えることはできない」
「そりゃ夫や娘たちには感謝してるし大事だけど、諦めたわけじゃないからね」
一応は子持ちの人妻とはいえ、その表情は「恋する乙女」であった。
「ところで最近困ったことは無いか? 良ければすぐに人をよこすぞ」
「特にこれといった事は無いわねぇ。強いて言えばあなたが傍にいないことね」
「それは無理だな。まだ落ち着くには早すぎる」
「そこで意地を張るのは相変わらずね。そこが貴方らしいんだけど」
彼女は話し相手が何年たっても変わらない頑固な部分に残念に思いながらも少し安心した。
【次回予告】
結論から言うと、今回の仕事は無事に終わった。国王はその後順調に回復したという。
第3話 「クエストクリアー」
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