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富国強兵
第60話 スライム型汚物処理施設
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晩秋を迎えそろそろ冬支度が始まろうとしていたころ……
「うう……臭え」
マコトの国、ハシバ国は「首都」はもちろんの事ミサワ領などの各地域で人が増え始め、
定礎があり1階だけとはいえ石やレンガで出来た頑丈で都市化されるのを想定して作られた縦長の家や、
それが間に合わずに仮説住居として建てた掘っ建て小屋も順調に増えていったが、ある問題を抱えていた。
ごみ処理、もっと言えば、汚物や排泄物の処理である。
それまでは既定の場所に埋めて処理していたが人が増えたことでそれが間に合わなくなり指定のゴミ捨て場も処分場もだんだん処理が追いつかなくなってきている。
今はまだ町が汚物まみれになる。とまでは行かないが、このままではそうなるのも時間の問題だ。
どうしたものかとマコトは頭を悩ませる日々を送っていたそんなある日、注文の品をもって商人がやってきた。
「メリル様。ご注文の品物をお持ちいたしました」
「御苦労さま」
「? メリル、何か注文でもしたのか?」
マコトは商人が持ってきた石でできた箱の上についた栓をとると、中には青いアメーバ状の何かが詰め込まれていた。なんだろうと思いふれようとすると……
「待って! 無闇に触ると身体が溶けちゃうよ!」
「!? な、なに!?」
妻に言われて慌てて彼は手を引っ込める。
「なぁメリル、何なんだコレ?」
「この国にはスライム型ゴミ処理施設ってなかったから、お父様やシューヴァルに頼んで分けてもらったのよ」
「スライム型ゴミ処理施設? 何だそれ?」
「あら、あなたは知らなかったの? じゃあ教えてあげる」
スライム
知性の類は無くただ本能のままに食って、繁殖(分裂)する事を繰り返して生きている生き物である。
その身体は斬撃や打撃と言った物理攻撃が効かず、魔法の炎で焼く事でしか対抗できないため敵に回すと厄介だが、
粘液やゼリー状の身体は錬金術の材料になる上に、金属や石以外なら何でも消化してしまう性質を利用して生ゴミや汚物の処理に利用しているとの事だ。
「それがあれば少しは汚物は減らせるのか?」
「そうね。少なくとも今よりはマシになると思う。すぐに稼動できるように手配しとくわ」
2週間後……年末を迎えたハシバ国地域に2か所、石を積んで作った小さい納屋程の箱が作られた。
子供がイタズラしないように2重にかけられたカギを開錠し、ゴミの投入口を開けて中にゴミを放りこんでいく。
マコトは地球では見たことも無い施設を見ようと興味津々に視察する。
「へー。そうやって汚物を処理するのか」
「ええまぁ。スライムが増えすぎたら殺して粘液やゼリー状の身体を錬金術師たちに売れば金にもなりますしいいもんですよ」
地球の中世においては汚物処理を「豚に食わせる」事で処理していたらしく、「豚は人間の糞を食べて、人間は豚を食べる」という命の循環が行われていたらしい。
どうしても問題が解決しないのであればこの方法をとるしかないと覚悟は決めていたが、しなくても済んだようで何よりだ。
現代地球で生きていたマコトにとって、人間の糞を食った豚など食べるのは無理だと思っていたのだ。
夕食を終えて、今日例の設備の視察についてマコトは妻と話し合っていた。
「こっちの人間も色々考えるものなんだな」
「そう言うものかしら? 私たちにとっては普通の事なんだけど」
「いや地球にはスライムなんていなかったからなぁ。代わりに豚に汚物を食べさせて処理していたらしい」
「うわ、そんなことするの!?」
「地球には今でも豚便所って言って豚に食わせて処理させるところもあるらしい。この目で見た事は無いがな。お前がいなけりゃ本当にその方法で処理せざるを得なかった。内助の功、ありがとうな」
「この程度でよければいくらでも助けてあげるわ。だって私たち夫婦なんだから、ね?」
結婚して1年と半年弱経ったから分かることがある。メリルは自分には過ぎた嫁だ。
この世界に不満が無いわけではないがそれを帳消しにできるほどの良さが彼女にはある。
結婚当初は年齢の差に戸惑いがあったが、今では何とかなってるし、こうして助けられることも多い。
良い嫁を貰った。大切にしないと。マコトはそう思った。
【次回予告】
ハシバ国初代国王、カトウ=マコト。
彼が生前成し遂げた偉業の一つである「砂糖立国の偉業」
その始まりだった。
第61話 「砂糖立国の偉業の始まり」
「うう……臭え」
マコトの国、ハシバ国は「首都」はもちろんの事ミサワ領などの各地域で人が増え始め、
定礎があり1階だけとはいえ石やレンガで出来た頑丈で都市化されるのを想定して作られた縦長の家や、
それが間に合わずに仮説住居として建てた掘っ建て小屋も順調に増えていったが、ある問題を抱えていた。
ごみ処理、もっと言えば、汚物や排泄物の処理である。
それまでは既定の場所に埋めて処理していたが人が増えたことでそれが間に合わなくなり指定のゴミ捨て場も処分場もだんだん処理が追いつかなくなってきている。
今はまだ町が汚物まみれになる。とまでは行かないが、このままではそうなるのも時間の問題だ。
どうしたものかとマコトは頭を悩ませる日々を送っていたそんなある日、注文の品をもって商人がやってきた。
「メリル様。ご注文の品物をお持ちいたしました」
「御苦労さま」
「? メリル、何か注文でもしたのか?」
マコトは商人が持ってきた石でできた箱の上についた栓をとると、中には青いアメーバ状の何かが詰め込まれていた。なんだろうと思いふれようとすると……
「待って! 無闇に触ると身体が溶けちゃうよ!」
「!? な、なに!?」
妻に言われて慌てて彼は手を引っ込める。
「なぁメリル、何なんだコレ?」
「この国にはスライム型ゴミ処理施設ってなかったから、お父様やシューヴァルに頼んで分けてもらったのよ」
「スライム型ゴミ処理施設? 何だそれ?」
「あら、あなたは知らなかったの? じゃあ教えてあげる」
スライム
知性の類は無くただ本能のままに食って、繁殖(分裂)する事を繰り返して生きている生き物である。
その身体は斬撃や打撃と言った物理攻撃が効かず、魔法の炎で焼く事でしか対抗できないため敵に回すと厄介だが、
粘液やゼリー状の身体は錬金術の材料になる上に、金属や石以外なら何でも消化してしまう性質を利用して生ゴミや汚物の処理に利用しているとの事だ。
「それがあれば少しは汚物は減らせるのか?」
「そうね。少なくとも今よりはマシになると思う。すぐに稼動できるように手配しとくわ」
2週間後……年末を迎えたハシバ国地域に2か所、石を積んで作った小さい納屋程の箱が作られた。
子供がイタズラしないように2重にかけられたカギを開錠し、ゴミの投入口を開けて中にゴミを放りこんでいく。
マコトは地球では見たことも無い施設を見ようと興味津々に視察する。
「へー。そうやって汚物を処理するのか」
「ええまぁ。スライムが増えすぎたら殺して粘液やゼリー状の身体を錬金術師たちに売れば金にもなりますしいいもんですよ」
地球の中世においては汚物処理を「豚に食わせる」事で処理していたらしく、「豚は人間の糞を食べて、人間は豚を食べる」という命の循環が行われていたらしい。
どうしても問題が解決しないのであればこの方法をとるしかないと覚悟は決めていたが、しなくても済んだようで何よりだ。
現代地球で生きていたマコトにとって、人間の糞を食った豚など食べるのは無理だと思っていたのだ。
夕食を終えて、今日例の設備の視察についてマコトは妻と話し合っていた。
「こっちの人間も色々考えるものなんだな」
「そう言うものかしら? 私たちにとっては普通の事なんだけど」
「いや地球にはスライムなんていなかったからなぁ。代わりに豚に汚物を食べさせて処理していたらしい」
「うわ、そんなことするの!?」
「地球には今でも豚便所って言って豚に食わせて処理させるところもあるらしい。この目で見た事は無いがな。お前がいなけりゃ本当にその方法で処理せざるを得なかった。内助の功、ありがとうな」
「この程度でよければいくらでも助けてあげるわ。だって私たち夫婦なんだから、ね?」
結婚して1年と半年弱経ったから分かることがある。メリルは自分には過ぎた嫁だ。
この世界に不満が無いわけではないがそれを帳消しにできるほどの良さが彼女にはある。
結婚当初は年齢の差に戸惑いがあったが、今では何とかなってるし、こうして助けられることも多い。
良い嫁を貰った。大切にしないと。マコトはそう思った。
【次回予告】
ハシバ国初代国王、カトウ=マコト。
彼が生前成し遂げた偉業の一つである「砂糖立国の偉業」
その始まりだった。
第61話 「砂糖立国の偉業の始まり」
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