51 / 127
富国強兵
第51話 グレムリン
しおりを挟む
貴重な武官であるアルバートが戦力として加わった翌朝。今なら勢いがついているという謎理論の元、2匹目のドジョウ狙いでマコトは再び召喚の儀を行った。魔法陣が「白く」輝いた。
(あーあ、Nか……)
現れたのは、大きな耳が特徴的のかなり小柄な人型の魔物だった。
「とりあえず自己紹介してくれないか?」
「オレはギズモ。種族はグレムリン。魔導器具に関しては任せておけ」
グレムリン……一説には旧エルフ文明が使い魔として創造したとされる生き物で、本能で魔導器具の整備、修理、設計、さらには改造までこなせるという生粋の技術者だ。
「お前の望みは何だ?」
「俺を技術者として雇ってくれないか? 結構前に雇用先の国が潰れて無職になっちまってツケがたまってきてるんだ」
「分かった。部屋は用意する。他に欲しいものがあったら遠慮なくいってくれ」
「いやぁ、助かりますぜ。俺はギズモ。俺の腕、アンタに預けることにするよ。今後ともよろしく!」
ギズモの胸から白い球状の光が飛び出し、マコトのスマホの中に入っていった。
数日後、ラタトスクの情報網に乗せたエンジニア募集の告知を聞きつけたグレムリン達、それとギズモを含めて総勢5名による技術者集団が出来ていた。工具も一通りそろえて準備が出来た彼らに、マコトは初仕事としてアレンシア国が使っていた洗脳装置を持ってくる。
「最初の仕事だ。コイツをバラして使えそうなパーツを取り出してくれないか? パーツはお前が責任を持って管理してくれ」
「はいよ。分かりました」
そう言って一斉に作業を始める。初仕事だというのに全員息の合ったチームワークで実に滑らかな動きでばらしていき、30分もしないうちにバラバラに分解してしまった。中々の技術力を持っているのがうかがえる。
「俺は魔導器具に関しては素人なんだが、お前らが見た感じ価値とかどうなんだ?」
「んー、大体のパーツはありふれていて今のエルフや人間でも作れる類の物ですぜ。神霊石が動力源ってのはちょっと珍しいですがね。まぁこれもマナを動力源にすることも簡単に出来ますがね。あとレアなパーツも混じってますね」
「ふーん。大して希少でも無いんだな」
パーツに関する説明を聞いているマコト。そこへシスティアーノがやってくる。
「おおマコトか。ラタトスク達から聞いたんじゃが技術者を雇ったそうじゃな」
「ああ。コイツらさ」
「わらわも参加してよいかの? 久々に技術者魂とやらがたぎるわい」
「あー、そう言えばシスティアーノさんは元技術者だったらしいとは聞いていましたけど」
「うむ。知っているのなら話は早い。4000年かけて編み出した理論を使えないか検討してみようぞ。吉報を待っておれ」
しばらくして……
「ふむ。それならばこの理論が使えそうじゃな」
「す、スゲエ。これがガチで使えるなら火力4割増しで副作用もねえぞ」
ギズモとシスティアーノが話し合いをしている。会話の詳細は分からないがいい具合だというのはマコトにもわかる。
「いやぁカシラァ、システィアーノの姉御にはビックリさせられ続けてますよ。俺なんかじゃ逆立ちしても出ねえアイディアがバンバン出てきますよ」
「そうか、そりゃよかった。最終的にはこいつを作るっていう大仕事が待っているから期待してるぜ」
そう言って10年後のマコトが持ってきた兵器の設計図を見せる。小さきエンジニアは一目見ただけで気づいた「奇妙な点」を問う。
「カシラ。コイツどこで手に入れました? この設計図の字、全部俺の字ですぜ。クセとかそのまんまですよ」
「なるほど、だったら10年後のお前が書いたんだな」
「??? 何言ってるんですか閣下?」
「言葉通りだ。10年後のお前が書いたんだ。まぁ気にするな。言っても分かんねえだろうからな」
「カシラ、大丈夫ですかい? 変な物でも食ったんですか?」
「なぁに気にするな。邪魔して悪かったな、続けて作業してくれ。そうそう、設計図はお前に預けるから大事に保管してくれ。じゃあな」
意味深な言葉を残してマコトは去っていった。
【次回予告】
いつからなのかははっきりしない。
物心ついた時から、彼は魔物という生き物に彼は魅了されていた。
第52話「魔物図鑑」
(あーあ、Nか……)
現れたのは、大きな耳が特徴的のかなり小柄な人型の魔物だった。
「とりあえず自己紹介してくれないか?」
「オレはギズモ。種族はグレムリン。魔導器具に関しては任せておけ」
グレムリン……一説には旧エルフ文明が使い魔として創造したとされる生き物で、本能で魔導器具の整備、修理、設計、さらには改造までこなせるという生粋の技術者だ。
「お前の望みは何だ?」
「俺を技術者として雇ってくれないか? 結構前に雇用先の国が潰れて無職になっちまってツケがたまってきてるんだ」
「分かった。部屋は用意する。他に欲しいものがあったら遠慮なくいってくれ」
「いやぁ、助かりますぜ。俺はギズモ。俺の腕、アンタに預けることにするよ。今後ともよろしく!」
ギズモの胸から白い球状の光が飛び出し、マコトのスマホの中に入っていった。
数日後、ラタトスクの情報網に乗せたエンジニア募集の告知を聞きつけたグレムリン達、それとギズモを含めて総勢5名による技術者集団が出来ていた。工具も一通りそろえて準備が出来た彼らに、マコトは初仕事としてアレンシア国が使っていた洗脳装置を持ってくる。
「最初の仕事だ。コイツをバラして使えそうなパーツを取り出してくれないか? パーツはお前が責任を持って管理してくれ」
「はいよ。分かりました」
そう言って一斉に作業を始める。初仕事だというのに全員息の合ったチームワークで実に滑らかな動きでばらしていき、30分もしないうちにバラバラに分解してしまった。中々の技術力を持っているのがうかがえる。
「俺は魔導器具に関しては素人なんだが、お前らが見た感じ価値とかどうなんだ?」
「んー、大体のパーツはありふれていて今のエルフや人間でも作れる類の物ですぜ。神霊石が動力源ってのはちょっと珍しいですがね。まぁこれもマナを動力源にすることも簡単に出来ますがね。あとレアなパーツも混じってますね」
「ふーん。大して希少でも無いんだな」
パーツに関する説明を聞いているマコト。そこへシスティアーノがやってくる。
「おおマコトか。ラタトスク達から聞いたんじゃが技術者を雇ったそうじゃな」
「ああ。コイツらさ」
「わらわも参加してよいかの? 久々に技術者魂とやらがたぎるわい」
「あー、そう言えばシスティアーノさんは元技術者だったらしいとは聞いていましたけど」
「うむ。知っているのなら話は早い。4000年かけて編み出した理論を使えないか検討してみようぞ。吉報を待っておれ」
しばらくして……
「ふむ。それならばこの理論が使えそうじゃな」
「す、スゲエ。これがガチで使えるなら火力4割増しで副作用もねえぞ」
ギズモとシスティアーノが話し合いをしている。会話の詳細は分からないがいい具合だというのはマコトにもわかる。
「いやぁカシラァ、システィアーノの姉御にはビックリさせられ続けてますよ。俺なんかじゃ逆立ちしても出ねえアイディアがバンバン出てきますよ」
「そうか、そりゃよかった。最終的にはこいつを作るっていう大仕事が待っているから期待してるぜ」
そう言って10年後のマコトが持ってきた兵器の設計図を見せる。小さきエンジニアは一目見ただけで気づいた「奇妙な点」を問う。
「カシラ。コイツどこで手に入れました? この設計図の字、全部俺の字ですぜ。クセとかそのまんまですよ」
「なるほど、だったら10年後のお前が書いたんだな」
「??? 何言ってるんですか閣下?」
「言葉通りだ。10年後のお前が書いたんだ。まぁ気にするな。言っても分かんねえだろうからな」
「カシラ、大丈夫ですかい? 変な物でも食ったんですか?」
「なぁに気にするな。邪魔して悪かったな、続けて作業してくれ。そうそう、設計図はお前に預けるから大事に保管してくれ。じゃあな」
意味深な言葉を残してマコトは去っていった。
【次回予告】
いつからなのかははっきりしない。
物心ついた時から、彼は魔物という生き物に彼は魅了されていた。
第52話「魔物図鑑」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)
青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。
ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。
さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。
青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる