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11月
第55話 優先基準こそ金持ちと貧乏人の違い
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11月の終わりが見え始め、街では来月に向けてのイルミネーションが灯り始める頃、「金持ちと貧乏人は優先基準が違う」というのを議題にススムの講義が始まった。
「いいか小僧、金持ちと貧乏人を分ける差の一つが「優先基準の違い」だ。
例えばの話だが、金持ちと言うのは『カネは使うがカネは使わない』ものだ。一方貧乏人は『カネは使わないがカネは使う』ものだ。小僧、どういう意味か分かるか?」
「?? いえ……似たようなこと言って何のつもりなんですか?」
進にとっては全く意味が分からないことを言うススムに少々戸惑いながらも言葉を返す。
「ふーむ、分からんと来たか。仕方ないな、小僧には少々難しい事だったようだな。良いだろう、教えてやってもいい。
前に「金持ちはケチか?」という話でもしたが、貧乏人は無駄遣いをしているから貧乏なんだ。
これも前に言ったが貧乏人は特にこれという理由もなく会社帰りの自販機で毎日缶コーヒーを買って飲むものさ。
これを辞めるだけでも月20日働くとしたら2600円の得になる。上手くやれば本が2冊は買えるだろう。
それだけの無駄遣いをしているのに気づいていないからこそ貧乏人は貧乏人のままなんだ」
ススムは、貧乏人は『カネは使わないがカネは使う』という言葉にそう補足説明をつける。
「逆に金持ちはカネを使う優先順位を厳格に決めていて、払わない、もしくは払う価値が無いと思ったら何があっても払わん。逆に必要なことにはいくらでもカネを惜しまない。
自販機は余程の事でもない限り利用しないが、もし友人が入院するほどの病気になったら1億でも2億でもためらわずに払うものさ。
貧乏人はそれとは完全に正反対だ。優先順位を決めていないか、決めていても間違った順位になっている。
無駄遣いをしてばかりで肝心なことには一切カネを払わない。これではどう頑張っても貧乏になるのは当然の事だ。
当たり前のことが当たり前に起こっているだけだ。不思議も謎も一切無い」
優先順位の付け方こそ金持ちと貧乏人を別つもの……ススムはそう断言する。
「例を挙げるとどんなことがあるんですか?」
「フム、例と来たか……例えば貧乏人は芸能人が不倫したとか、あるいは政治家が不祥事を起こしたといったスキャンダルなニュースが大好物だ。
不倫や不祥事というのは誰からも後ろ指を指されずに安心してぶん殴れるサンドバッグだからな。
他にも自分より良い給料をもらってる連中を叩くのが何よりも大好きだし、パチンコ、競馬、競輪に競艇といったギャンブルの話もよくする。
そういう下らなくて何の価値もない話ばかりを重要視する。だから死ぬまで貧乏人なんだ」
そういう話ばかりしてるから死ぬまで貧乏なんだ。とススムはバッサリ斬り捨てる。
「それに、車を買うのなら貧乏人は新車をローンを組んででも買い、金持ちは中古を「仕方なく」買うものだ。何故なら金持ちは車は金食い虫だというのを知っているからな。
まず乗らずに持っているだけでも自動車税と自動車重量税がかかる。それに2年や3年ごとの車検にもカネがかかるし、事故を起こした際の保険も必要だ。
もしも人を轢き殺してしまったら何億というカネを払わなくてはならないから自賠責保険だけでは到底足らん。
世の中には『車は欲しいけど維持費が払えないから買えない』という人間だっているんだぞ? それくらい自動車というのはカネがかかる物だ。
高級外車を見せびらかすように乗ってる奴はせいぜいが成金だ。本物の金持ちとは程遠い」
ススムは車を話題にして金持ちと貧乏人の違いを説く。
「他にも選挙に行くか行かないかの違いもでかい。貧乏人は「自分の1票で結果なんて変わるわけがない」と選挙に行かない。
だが金持ちは「自分の意志を政治家に叩きつける唯一の機会だ」と進んで投票所へと向かう。
海外のデータになるが、金持ちの投票率が貧乏人より高いという調査結果だってあるんだぞ」
ススムは他にも選挙に関して金持ちと貧乏人の違いをさらに説く。
「あとはそうだな。全部そうとは言えないが大まかな傾向として貧乏人は「利己的」で金持ちは「利他的」なんだ。
カネというのは人と人の間を循環しているものだが、大まかな傾向としてカネは利他的な人間に流れやすいというデータがある。
例えば貿易商なんかがそうだ。彼らは物や人や情報、それにアイディアをつなげることを仕事としているから、裕福なものが多い。
無論金持ちにも利己的なやつだっているし、利他的だから貧乏人というやつもいるだろう。
だが大まかな傾向としては貧乏人は「利己的」で金持ちは「利他的」というのは確実にある。オレの友人を見てもそうだ。
金持ちは現代で言う「マッチング」をしている奴が多いぞ。昔の言葉で「持ちつ持たれつ」ってやつだな」
ススムは金持ちと貧乏人の違いをさらに解説する。
「他にも金持ちと貧乏人の違いはまだまだあるし、それだけで1時間は軽くしゃべれるが今日はこの辺にしとくか。
いいか小僧、金持ちというのは優先順位が圧倒的多数の貧乏人とは全く違う。むしろ正反対とさえ言えるケースが数多い。だから金持ちの絶対数が少ないんだ。
強盗は押し入った家にある現金や通帳、それにパソコンや金目のモノを盗んでいくが本は一切盗まない。
だから強盗なんていう犯罪行為を仕事にしなくてはならないほど追い詰められているんだ。
小僧、お前はカネに関する本を読ませているがそれだけでも大多数の貧乏人とは違っていて、そこは優れていると言ってもいい」
「……そういうものなんですか?」
「そういうものだ。将来お前はオレに感謝すると思うぞ。賭けてもいいぞ」
ススムは一瞬だけ、ニヤリと笑った……気がした。
【次回予告】
『正解は無限にあってそれと同時にただの1つも存在しない』
何かの謎かけのようなことを言うススム。その意図とは?
第56話 「矛盾するのは当たり前」
「いいか小僧、金持ちと貧乏人を分ける差の一つが「優先基準の違い」だ。
例えばの話だが、金持ちと言うのは『カネは使うがカネは使わない』ものだ。一方貧乏人は『カネは使わないがカネは使う』ものだ。小僧、どういう意味か分かるか?」
「?? いえ……似たようなこと言って何のつもりなんですか?」
進にとっては全く意味が分からないことを言うススムに少々戸惑いながらも言葉を返す。
「ふーむ、分からんと来たか。仕方ないな、小僧には少々難しい事だったようだな。良いだろう、教えてやってもいい。
前に「金持ちはケチか?」という話でもしたが、貧乏人は無駄遣いをしているから貧乏なんだ。
これも前に言ったが貧乏人は特にこれという理由もなく会社帰りの自販機で毎日缶コーヒーを買って飲むものさ。
これを辞めるだけでも月20日働くとしたら2600円の得になる。上手くやれば本が2冊は買えるだろう。
それだけの無駄遣いをしているのに気づいていないからこそ貧乏人は貧乏人のままなんだ」
ススムは、貧乏人は『カネは使わないがカネは使う』という言葉にそう補足説明をつける。
「逆に金持ちはカネを使う優先順位を厳格に決めていて、払わない、もしくは払う価値が無いと思ったら何があっても払わん。逆に必要なことにはいくらでもカネを惜しまない。
自販機は余程の事でもない限り利用しないが、もし友人が入院するほどの病気になったら1億でも2億でもためらわずに払うものさ。
貧乏人はそれとは完全に正反対だ。優先順位を決めていないか、決めていても間違った順位になっている。
無駄遣いをしてばかりで肝心なことには一切カネを払わない。これではどう頑張っても貧乏になるのは当然の事だ。
当たり前のことが当たり前に起こっているだけだ。不思議も謎も一切無い」
優先順位の付け方こそ金持ちと貧乏人を別つもの……ススムはそう断言する。
「例を挙げるとどんなことがあるんですか?」
「フム、例と来たか……例えば貧乏人は芸能人が不倫したとか、あるいは政治家が不祥事を起こしたといったスキャンダルなニュースが大好物だ。
不倫や不祥事というのは誰からも後ろ指を指されずに安心してぶん殴れるサンドバッグだからな。
他にも自分より良い給料をもらってる連中を叩くのが何よりも大好きだし、パチンコ、競馬、競輪に競艇といったギャンブルの話もよくする。
そういう下らなくて何の価値もない話ばかりを重要視する。だから死ぬまで貧乏人なんだ」
そういう話ばかりしてるから死ぬまで貧乏なんだ。とススムはバッサリ斬り捨てる。
「それに、車を買うのなら貧乏人は新車をローンを組んででも買い、金持ちは中古を「仕方なく」買うものだ。何故なら金持ちは車は金食い虫だというのを知っているからな。
まず乗らずに持っているだけでも自動車税と自動車重量税がかかる。それに2年や3年ごとの車検にもカネがかかるし、事故を起こした際の保険も必要だ。
もしも人を轢き殺してしまったら何億というカネを払わなくてはならないから自賠責保険だけでは到底足らん。
世の中には『車は欲しいけど維持費が払えないから買えない』という人間だっているんだぞ? それくらい自動車というのはカネがかかる物だ。
高級外車を見せびらかすように乗ってる奴はせいぜいが成金だ。本物の金持ちとは程遠い」
ススムは車を話題にして金持ちと貧乏人の違いを説く。
「他にも選挙に行くか行かないかの違いもでかい。貧乏人は「自分の1票で結果なんて変わるわけがない」と選挙に行かない。
だが金持ちは「自分の意志を政治家に叩きつける唯一の機会だ」と進んで投票所へと向かう。
海外のデータになるが、金持ちの投票率が貧乏人より高いという調査結果だってあるんだぞ」
ススムは他にも選挙に関して金持ちと貧乏人の違いをさらに説く。
「あとはそうだな。全部そうとは言えないが大まかな傾向として貧乏人は「利己的」で金持ちは「利他的」なんだ。
カネというのは人と人の間を循環しているものだが、大まかな傾向としてカネは利他的な人間に流れやすいというデータがある。
例えば貿易商なんかがそうだ。彼らは物や人や情報、それにアイディアをつなげることを仕事としているから、裕福なものが多い。
無論金持ちにも利己的なやつだっているし、利他的だから貧乏人というやつもいるだろう。
だが大まかな傾向としては貧乏人は「利己的」で金持ちは「利他的」というのは確実にある。オレの友人を見てもそうだ。
金持ちは現代で言う「マッチング」をしている奴が多いぞ。昔の言葉で「持ちつ持たれつ」ってやつだな」
ススムは金持ちと貧乏人の違いをさらに解説する。
「他にも金持ちと貧乏人の違いはまだまだあるし、それだけで1時間は軽くしゃべれるが今日はこの辺にしとくか。
いいか小僧、金持ちというのは優先順位が圧倒的多数の貧乏人とは全く違う。むしろ正反対とさえ言えるケースが数多い。だから金持ちの絶対数が少ないんだ。
強盗は押し入った家にある現金や通帳、それにパソコンや金目のモノを盗んでいくが本は一切盗まない。
だから強盗なんていう犯罪行為を仕事にしなくてはならないほど追い詰められているんだ。
小僧、お前はカネに関する本を読ませているがそれだけでも大多数の貧乏人とは違っていて、そこは優れていると言ってもいい」
「……そういうものなんですか?」
「そういうものだ。将来お前はオレに感謝すると思うぞ。賭けてもいいぞ」
ススムは一瞬だけ、ニヤリと笑った……気がした。
【次回予告】
『正解は無限にあってそれと同時にただの1つも存在しない』
何かの謎かけのようなことを言うススム。その意図とは?
第56話 「矛盾するのは当たり前」
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