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10月
第46話 反省はすべきだが後悔はすべきではない
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10月も後半戦になり行楽のシーズンになって久しい頃。今回の授業は「反省と後悔」についてだ。
「いいか小僧、反省は大いにすべきだが後悔は絶対にしてはいけない。
なぜかというと、後悔というのは「過去にやったことに対して」「後」になって「悔む」と書く。つまり視点が「現在から過去」に向いているわけだ。
だが過去を変えることは今の段階では出来ない。それこそタイムマシンでも発明されなければ過去を変えることは不可能だ。
歴史を変えるというのは人類の夢の一つで、今も昔もフィクションにおいては過去を変える話が絶えないが、それだけ多くの者が望んでいるからだろう。
だがそれが出来るのはあくまで作り話の中だけだ。現実と虚構をごちゃまぜにはするなよ。
一方で、反省というのは「過去にやったことに対して」「反復」して「省」つまりは「細かく見る」という意味がある。
オレはこれを「何度も精密検査する」と解釈している。これは視点が「現在から未来」に向いている。現在を、そして未来を変えるという意味では反省はすべきだ」
反省はすべきだが後悔はしてはいけない。ススムは進に対してそう説く。
「他にも、後悔というのは感情的だが反省というのは理性的なんだ。
後悔を英語に訳すと「regret」となる。reは再度、gretは泣くという意味で、何度も何度も大泣きするようなイメージだ。
一方で反省を英語に訳すと「reconsider」となる。reは再度、conは一緒に、siderが星をみて占う、となる。
日本語で言えば「見直し」程度という意味だ。これは理性的な意味合いを持つ。
4月の末にも「感情の奴隷になるな」と言ったが後悔というのは感情的なものだ。だから感情的になってはいけない、反省という理性的になれ。
そういう意味でも、反省はすべきだが後悔はしてはいけないんだ」
ススムは反省はすべきだが後悔はしてはいけないと改めて強く言う。重要なことなんだろう。
「さらに言えば、とあるお坊さんの言葉を借りると「相手に迷惑をかけて申し訳なかった、これからはそうならないようにしたい」というのが反省で、
「相手に迷惑をかけて申し訳なかった、これで私がどう思われるか心配」というのが後悔だ。
反省は相手に視点が向いていて相手の事を思っており、後悔は自分に視点が向いていて自分の事しか考えていない。
どちらが好ましいかはわざわざ言わなくても分かるだろ? 後悔というのは自己中心的なんだ」
ススムの説法は続く。
「他にも、後悔というのは「運が悪かった」とか「たまたま起こったからだ」とか「周りのせいだ」とか言って、「自分のせいではない」と正当化しだす。
一方で反省というのは「自分のせいだ」とか「問題の責任を取るべきだった」とか「努力が足らなかった」のように「原因は自分にある」と考える。
前に貧乏人というのは悪いことは他人のせいにしがちで、自分で責任を背負うことはしないと言ったが、その点が後悔と反省でも出がちだ。
貧乏人というのは後悔はするが反省はしない。だから貧乏人のままなんだ。
そういう意味でも後悔というのはしたところで何にもならない、したところで時間の無駄だ。普通の人間は後悔しがちで反省はしたがらないがな」
「そ、そうですか。でもなぜ人は後悔しがちで反省はしたがらないんですか?」
ススムの言葉に進は疑問をぶつける。
「ふーむ……なぜ後悔してばかりなのか、と来たか。いいとこを突くな。良いだろう、教えてやってもいいぞ。
なぜ後悔してばかりか? というと、後悔というのは反省するよりエネルギーを使わなくて済むんだ。
さっきも言ったが反省というのは「何度も精密検査する」ようなものだ。それには多大なエネルギーが必要だ。
それよりは後悔したほうがエネルギーの消費も少ないし、何よりある種の「悲劇のヒロインになれる」からある意味「キモチイイ」わけだ」
「ひ、悲劇のヒロインですか……」
進は多少引きながらも師の教えにあいづちを打つ。
「小僧、お前は引いてるようだが決して的外れな考えではないぞ。悲劇のヒロインになりたがる奴は女も男も含めてお前が想像する以上に多い。
「私はなんて不幸な人なんだ、みんな同情してほしい」と思ってるだけの連中は実はかなりいるんだぞ。
同情や共感したところで過去も現在も未来も変わらないというのに、それを求めたがるというのが真の貧乏人だ。
貧乏人というのは「今が良ければ未来はどうなったってかまわない」という思考をしている。というか「未来」という概念自体が無いんだろうな。
意識は「今」に集中しすぎていて、前にも言ったが「今日より明日」ではなく「明日より今日」という考えなんだろうな。だから金持ちになれない貧乏人なんだ」
ススムはそう言って貧乏人をバッサリと斬る。
「小僧、前にも言ったが感情の奴隷にはなるな。感情は本能と直結しているから感情に振り回される事は本能に振り回されている事と一緒だ。
前に「本能を飼い慣らせ」と言ったがそれは感情にも当てはまる。感情的になるな、理性的になれ。それが出来ないようでは永遠に貧乏人のままだ。
金持ちになりたいのなら感情に振り回されるな。感情を飼い慣らさない事には金持ちにはなれんぞ。覚えておけ」
「後悔は感情的で反省は理性的、理性を働かせなければ金持ちにはなれない」今日のお話はそういう内容だった。
【次回予告】
自分の身体の中に入ってくるものは、明日の自分を形作る材料になる。
だから気をつけろという話。
第47話 「自分の身体に入るモノには気を使え」
「いいか小僧、反省は大いにすべきだが後悔は絶対にしてはいけない。
なぜかというと、後悔というのは「過去にやったことに対して」「後」になって「悔む」と書く。つまり視点が「現在から過去」に向いているわけだ。
だが過去を変えることは今の段階では出来ない。それこそタイムマシンでも発明されなければ過去を変えることは不可能だ。
歴史を変えるというのは人類の夢の一つで、今も昔もフィクションにおいては過去を変える話が絶えないが、それだけ多くの者が望んでいるからだろう。
だがそれが出来るのはあくまで作り話の中だけだ。現実と虚構をごちゃまぜにはするなよ。
一方で、反省というのは「過去にやったことに対して」「反復」して「省」つまりは「細かく見る」という意味がある。
オレはこれを「何度も精密検査する」と解釈している。これは視点が「現在から未来」に向いている。現在を、そして未来を変えるという意味では反省はすべきだ」
反省はすべきだが後悔はしてはいけない。ススムは進に対してそう説く。
「他にも、後悔というのは感情的だが反省というのは理性的なんだ。
後悔を英語に訳すと「regret」となる。reは再度、gretは泣くという意味で、何度も何度も大泣きするようなイメージだ。
一方で反省を英語に訳すと「reconsider」となる。reは再度、conは一緒に、siderが星をみて占う、となる。
日本語で言えば「見直し」程度という意味だ。これは理性的な意味合いを持つ。
4月の末にも「感情の奴隷になるな」と言ったが後悔というのは感情的なものだ。だから感情的になってはいけない、反省という理性的になれ。
そういう意味でも、反省はすべきだが後悔はしてはいけないんだ」
ススムは反省はすべきだが後悔はしてはいけないと改めて強く言う。重要なことなんだろう。
「さらに言えば、とあるお坊さんの言葉を借りると「相手に迷惑をかけて申し訳なかった、これからはそうならないようにしたい」というのが反省で、
「相手に迷惑をかけて申し訳なかった、これで私がどう思われるか心配」というのが後悔だ。
反省は相手に視点が向いていて相手の事を思っており、後悔は自分に視点が向いていて自分の事しか考えていない。
どちらが好ましいかはわざわざ言わなくても分かるだろ? 後悔というのは自己中心的なんだ」
ススムの説法は続く。
「他にも、後悔というのは「運が悪かった」とか「たまたま起こったからだ」とか「周りのせいだ」とか言って、「自分のせいではない」と正当化しだす。
一方で反省というのは「自分のせいだ」とか「問題の責任を取るべきだった」とか「努力が足らなかった」のように「原因は自分にある」と考える。
前に貧乏人というのは悪いことは他人のせいにしがちで、自分で責任を背負うことはしないと言ったが、その点が後悔と反省でも出がちだ。
貧乏人というのは後悔はするが反省はしない。だから貧乏人のままなんだ。
そういう意味でも後悔というのはしたところで何にもならない、したところで時間の無駄だ。普通の人間は後悔しがちで反省はしたがらないがな」
「そ、そうですか。でもなぜ人は後悔しがちで反省はしたがらないんですか?」
ススムの言葉に進は疑問をぶつける。
「ふーむ……なぜ後悔してばかりなのか、と来たか。いいとこを突くな。良いだろう、教えてやってもいいぞ。
なぜ後悔してばかりか? というと、後悔というのは反省するよりエネルギーを使わなくて済むんだ。
さっきも言ったが反省というのは「何度も精密検査する」ようなものだ。それには多大なエネルギーが必要だ。
それよりは後悔したほうがエネルギーの消費も少ないし、何よりある種の「悲劇のヒロインになれる」からある意味「キモチイイ」わけだ」
「ひ、悲劇のヒロインですか……」
進は多少引きながらも師の教えにあいづちを打つ。
「小僧、お前は引いてるようだが決して的外れな考えではないぞ。悲劇のヒロインになりたがる奴は女も男も含めてお前が想像する以上に多い。
「私はなんて不幸な人なんだ、みんな同情してほしい」と思ってるだけの連中は実はかなりいるんだぞ。
同情や共感したところで過去も現在も未来も変わらないというのに、それを求めたがるというのが真の貧乏人だ。
貧乏人というのは「今が良ければ未来はどうなったってかまわない」という思考をしている。というか「未来」という概念自体が無いんだろうな。
意識は「今」に集中しすぎていて、前にも言ったが「今日より明日」ではなく「明日より今日」という考えなんだろうな。だから金持ちになれない貧乏人なんだ」
ススムはそう言って貧乏人をバッサリと斬る。
「小僧、前にも言ったが感情の奴隷にはなるな。感情は本能と直結しているから感情に振り回される事は本能に振り回されている事と一緒だ。
前に「本能を飼い慣らせ」と言ったがそれは感情にも当てはまる。感情的になるな、理性的になれ。それが出来ないようでは永遠に貧乏人のままだ。
金持ちになりたいのなら感情に振り回されるな。感情を飼い慣らさない事には金持ちにはなれんぞ。覚えておけ」
「後悔は感情的で反省は理性的、理性を働かせなければ金持ちにはなれない」今日のお話はそういう内容だった。
【次回予告】
自分の身体の中に入ってくるものは、明日の自分を形作る材料になる。
だから気をつけろという話。
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