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9月
第36話 成功したければ責任を背負え
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9月になり近くにある学校の生徒達の2学期が始まったのか、登下校する光景が朝夕みられるようになった。
まだまだ残暑が厳しい季節だが、ススムの授業は続く。
「小僧、お前はまだ借金を返すのが最優先事項だが、金持ちになりたければ『責任を背負う』事が何よりも大切なことになるぞ。
例えば、だ……『満員電車に乗って通勤していた者が1月にインフルエンザにかかった』としたら誰のせいだと思う?」
「えっと……そりゃ1月だから運が悪かったとしか言えないですよ」
『普通の』人間からしたらごく当たり前の答えを言う進にススムはハァ。とため息をついた。
「言うと思った。そんな考えでは永遠に金持ちにはなれんぞ。
小僧、いいか? 金持ちというのは自分が不幸な目に遭うのは全部自分のせいだ、と責任を背負える者だ。
さっきの例なら電車に乗らずに車やバイク、原付で通勤できたし、会社に徒歩や自転車で通えるほど近い場所に引っ越すことだってできた。
どうしても電車に乗らざるを得ないというのならグリーン席に座ることだってできるし、それすら無理ならインフルエンザワクチンを打つことだってできた。
これだけの対処方法があるというのに何一つやらずに周りのせいにしているのなら永遠に成功できん。そう、永遠にだ」
「そんな……」
進はあまりにも自分に厳しすぎる金持ちの実態を見せつけられて一種の絶望を味わう。
「貧乏人と金持ちを分ける差はここだ。貧乏人は他人に自分の責任を求めすぎている。
親のせい、友人のせい、同僚のせい、配偶者のせい、子供のせい、ツキや運のせい、
更には会社のせい、社会のせい、景気のせい、日本のせい、中国やアメリカのせい、世界のせいにして、自分は哀れな被害者だと言いたがる。
だがそう言っている間は反省も成長もしないから永遠に同じところをグルグル回ってるだけに過ぎん。こういう考えでは一生大成できんぞ」
「そ、そんな……」
その言葉に進は委縮してしまう。
「厳しい事を言ったかもしれんが、まぁこれが普通の人間の限界なのだろうな。
『上手くいったのは自分のおかげ、上手くいかなかったら他人のせい』にしないと「自我が崩壊してしまう」人間が『普通の』人間というものだ。
そんなこと他人から言われても嫌われるだけだというのに、どいつもこいつも「自分だけは特別な例外」だと思い込む。
そんなことを言う自分はとてつもない愚か者だとこれっぽちも思わない。
『上手くいったのは他人のおかげ、上手くいかなかったら自分のせい』が本当のところなんだがこれは本能に真っ向から対立する。
だから本能を抑えることも飼い慣らすこともできずに本能のままに生きていると成功できないのだろうな。そんなの野生のサルと一緒だ」
ススムは貧乏人はサルと大して変わらないと断言する。
「いいか小僧、成功したいのなら「本能とうまく付き合う」事が重要だ。『本能』は成功の道の途中、いたるところにワナを仕掛けている。
その罠は一見『とても素晴らしい物』に見えるがハマると抜け出せなくなる。
どこかのお坊さんが言ったことだが「本物の鬼や悪魔は、あなたが一番好きな形で現れる」という。本能もこれと一緒だ。
本能は常にお前が一番好きな形で待ち構えている。だがそれにハマるな。
本能を『飼い慣らす』のだ。「本能のままに生きる」のでもなく「本能を押しつぶす」のでもなく「本能を飼い慣らす」これが重要だ。
今は出来なくてもいい。でも覚えておけ。必ず必要になるだろうからな。
……まぁ今日はこの辺にしとくか」
その日の授業は終わった。
【次回予告】
「貧乏は作れる」とススムは言う。
貧乏には再現性があるという意味なのだがその真意は?
第37話 「貧乏人がさらに貧乏になる理由」
まだまだ残暑が厳しい季節だが、ススムの授業は続く。
「小僧、お前はまだ借金を返すのが最優先事項だが、金持ちになりたければ『責任を背負う』事が何よりも大切なことになるぞ。
例えば、だ……『満員電車に乗って通勤していた者が1月にインフルエンザにかかった』としたら誰のせいだと思う?」
「えっと……そりゃ1月だから運が悪かったとしか言えないですよ」
『普通の』人間からしたらごく当たり前の答えを言う進にススムはハァ。とため息をついた。
「言うと思った。そんな考えでは永遠に金持ちにはなれんぞ。
小僧、いいか? 金持ちというのは自分が不幸な目に遭うのは全部自分のせいだ、と責任を背負える者だ。
さっきの例なら電車に乗らずに車やバイク、原付で通勤できたし、会社に徒歩や自転車で通えるほど近い場所に引っ越すことだってできた。
どうしても電車に乗らざるを得ないというのならグリーン席に座ることだってできるし、それすら無理ならインフルエンザワクチンを打つことだってできた。
これだけの対処方法があるというのに何一つやらずに周りのせいにしているのなら永遠に成功できん。そう、永遠にだ」
「そんな……」
進はあまりにも自分に厳しすぎる金持ちの実態を見せつけられて一種の絶望を味わう。
「貧乏人と金持ちを分ける差はここだ。貧乏人は他人に自分の責任を求めすぎている。
親のせい、友人のせい、同僚のせい、配偶者のせい、子供のせい、ツキや運のせい、
更には会社のせい、社会のせい、景気のせい、日本のせい、中国やアメリカのせい、世界のせいにして、自分は哀れな被害者だと言いたがる。
だがそう言っている間は反省も成長もしないから永遠に同じところをグルグル回ってるだけに過ぎん。こういう考えでは一生大成できんぞ」
「そ、そんな……」
その言葉に進は委縮してしまう。
「厳しい事を言ったかもしれんが、まぁこれが普通の人間の限界なのだろうな。
『上手くいったのは自分のおかげ、上手くいかなかったら他人のせい』にしないと「自我が崩壊してしまう」人間が『普通の』人間というものだ。
そんなこと他人から言われても嫌われるだけだというのに、どいつもこいつも「自分だけは特別な例外」だと思い込む。
そんなことを言う自分はとてつもない愚か者だとこれっぽちも思わない。
『上手くいったのは他人のおかげ、上手くいかなかったら自分のせい』が本当のところなんだがこれは本能に真っ向から対立する。
だから本能を抑えることも飼い慣らすこともできずに本能のままに生きていると成功できないのだろうな。そんなの野生のサルと一緒だ」
ススムは貧乏人はサルと大して変わらないと断言する。
「いいか小僧、成功したいのなら「本能とうまく付き合う」事が重要だ。『本能』は成功の道の途中、いたるところにワナを仕掛けている。
その罠は一見『とても素晴らしい物』に見えるがハマると抜け出せなくなる。
どこかのお坊さんが言ったことだが「本物の鬼や悪魔は、あなたが一番好きな形で現れる」という。本能もこれと一緒だ。
本能は常にお前が一番好きな形で待ち構えている。だがそれにハマるな。
本能を『飼い慣らす』のだ。「本能のままに生きる」のでもなく「本能を押しつぶす」のでもなく「本能を飼い慣らす」これが重要だ。
今は出来なくてもいい。でも覚えておけ。必ず必要になるだろうからな。
……まぁ今日はこの辺にしとくか」
その日の授業は終わった。
【次回予告】
「貧乏は作れる」とススムは言う。
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