ススムが進に教えるお金持ちへの道

あがつま ゆい

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8月

第33話 常に時間を意識しろ

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 複利の力を進に教えたススムの話はまだ続いていた。

 内容は「複利の力」から「時間の大切さ」へと変わっていった。



「さっきも言ったが『複利』というのは元手が多ければ多いほど、時間をかければかけるほど大きくなる。

 小僧、お前にはカネは無いが時間はある。まだ30なんだろ? まだ間に合う。今から時間をかけて投資すれば大きなリターンが得られるぞ。

 時間というのは実に重要なものだ。これが無くなってからでは遅い。時間があるうちに早め早めに行動しないと手遅れになるぞ」

 お前には時間はある。ススムはそう説いていた。



「それと小僧、オレはまだいいが他の金持ちと交流するのなら時間だけは命の次くらい、時には命と同じかそれ以上に重要視しろ。

 金持ちは時間に極めつけにうるさい。

 彼らにとって無駄な時間をかけさせることは「最上級の侮辱ぶじょく」であり、こう言うのが許されるのなら「時間窃盗罪」という「犯罪行為」だとさえ言える。

 なぜだか分かるか?」

「? いえ。これだというのは無いのですが……」

 進はとまどいながらも答える。老人はそれに対して答えを示す。



「やれやれ、気づかないと来たか。まぁいい、誰も教えてくれなかったからな。いいか小僧、よく聞け。時間というのは特に重要な『資源』だからだ。

 もしお前が賢ければ前に「金持ちがなぜブランド物の財布やバッグを買うのか?」でも少し時間に関して述べたのを覚えているかもしれんが金持ちは時間を常に意識している。

 金持ちにとってはカネなんて失ってもまた稼げばいい。だが時間だけは失ったらいくら大金を積んでも戻ってこない。

 金持ちを1万人集めたらその1万人全員、一切の例外なく時間を最重要視する。それほど時間というのは重要なものだ」

 ススムは若者に英知を授ける。かなり重要なのか、いつも以上に力んでいた。



「前に話をした際にも少し触れたが金持ちはカネ以上に時間を優先する。

 時間は全ての人間において平等だ。資産が何兆円もある大富豪でも、1日1ドル以下で生活を送ってる極貧困層も、全員等しく1日は24時間だ。

 金持ちだから1日が25時間になるわけでも、貧乏人だから1日が23時間になることも無い。

 また時間はいくら大金を積んでも買うことが出来ない。それをわかっているからこそ金持ちは時間を大事にするし、時間を粗末に扱う奴を大変に嫌う。

『時間にだらしのない奴はカネに関してもだらしがない奴』というのは本当の事だぞ。

 貧乏人は時間の大切さやその凄さに気付いていない。だからこそ貧乏なんだ。そこに不思議や謎のたぐいは何もない」

 ススムは進にそう説く。時間というのはいかに大切なことかを教えていた。



「小僧、お前にも将来オレ以外の金持ちと交流する機会があるかもしれない。その時は時間を特に意識しろ。

 絶対に遅刻だけはするな。遅刻とは「計画性が無い」事の何より大きな証明だ。どうしても遅刻してしまうのなら先方になるべく早い段階で謝罪の電話を入れろ。

 そうしないと『コイツは人様の大切な時間を平然とした顔で踏みつぶすような奴だ』と思われそこまでだ。汚名返上のチャンスは金輪際こんりんざい無いと思え」

 老人は若者に対し、何重にも釘を刺した。



「……時間ってそんなに大事なものだったんですか? 正直意識してることはなかったですね」

「どうやら分かってきたようだな小僧。そうだ、貧乏人には時間の意識はない。水や空気みたいにいくらでもあると勘違いする。

 実際には『最も貴重な資源』であることに間違いがないほど重要な資源なんだがな。ここに気づかないと一生貧乏人のままで終わるぞ。

 実際、また聞きの話まで広げれば一生が貧乏人で終わりそうな奴は数えきれんほどいる。そいつらは時間の大切さに気付いてないからだ。

 昔のことわざに『時は金なり』というのがあるが、それは本当の事なんだぞ。昔の人間は間違ってはいなかったというわけだ」

 ススムの言葉はもう少しだけ続く。



「他にもサッカーの試合時間は前半45分、後半45分の計90分だ。選手や主催者が時間にだらしなくても100分になったり80分になったりはしない。

 そういう意味でも時間というのは重要なんだぞ。覚えておくんだな。

 小僧、お前には一生貧乏の人生を歩んでほしくはない。できれば成功した人生を送ってほしいとは思ってる。だから今回の話……複利の話と時間の話、よく覚えておくんだな」



【次回予告】

「たまたま運がよかっただけ」あるいは「たまたまチャンスに乗れただけ」と成功者は言う。

それは本当の事なのだろうか? ススムが言うにはそれらは「作れる」そうだが……

第34話 「運やチャンスは与えられるものか? それとも作れるものか?」
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